ソトブログ

文化系バーダー・ブログ。映画と本、野鳥/自然観察。時々ガジェット。

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読書

ブックレビュー“読む探鳥”:ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』――既にそこにいるものたち。

岸本佐知子さんの名訳で、日本でも広く反響を呼んだルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』。そのなかにも野鳥をみつけるのが、文化系バーダー・ブロガーの本懐。なんて手前味噌よりも、既にそこにいるものたちを描くルシア・ベルリンの凄み。

“遠くへ急ぐ君を見たくて”――Music for Slow Joggers(スロージョギングのための音楽プレイリスト)002

走りながら聴いて愉しい音楽、特に、ゆっくり走る「スロージョギング」で聴きたい音楽をプレイリストにコンパイルするシリーズ、第2回。フィッシュマンズ、ミゲルからcero、HONNEなど。

森岡正博『人生相談を哲学する』(生きのびるブックス)を読んで。――「生きにくさ」という幸福から、絶望さえも下支えする根源的な希望へと。

哲学者・森岡正博さんの新刊、『人生相談を哲学する』(生きのびるブックス)。本書でもわたしは、わたしが心のなかにずっと持ち続けたい、と思える言葉に出合いました。

【連載小説】「踊る回る鳥みたいに」――第15回(最終回) “オンブラッセ・モワ”

連載小説「踊る回る鳥みたいに」第15回(最終回)。本作は今回で連載終了となりますが、今後加筆・修正の上KDPにて電子書籍として刊行する予定です。

「新しいピースで埋めていく」――梨木果歩『ほんとうのリーダーのみつけかた』/長男のオリーブ茶/『働くことの人類学』/ハラリ『サピエンス全史』/『ランニングをする前に読む本』/具志堅用高さん/「生きのびるブックス」のこと。

「あなたを構成する一部分が欠けてしまったときには、欠けた部分を、今までのあなたの持っているものとは違う、『新しいピース』で埋めましょう」そんなアドヴァイスから、考えたこと、「生きのびる」こと。

【連載小説】「踊る回る鳥みたいに」――第14回 “この現実が、映画や芝居のセットみたいなものだと考えたら”

連載小説「踊る回る鳥みたいに」第14回。/折口信夫原作、近藤ようこ作画『死者の書』。それを読んで、折口信夫をウィキペディアで調べた。「何でも調べられる世の中だから、何を調べて、何を調べないかを、あなたは試されているんだよ」いつも誰かにそうい…

【連載小説】「踊る回る鳥みたいに」――第13回 “童話の雪辱”

連載小説「踊る回る鳥みたいに」第13回。/ローカルニュースだった。ある動物園で動物たちの運動会をしていた。ウサギとカメが、「童話の再現」としてレースをしたんだそうだ。

ブックレビュー“読む探鳥”:マイク・スピーノ『ほんとうのランニング』――読んで鳥に出逢い、走れば傍に鳥たちが。

鳥とは縁もゆかりもないはずの本、マイク・スピーノ『ほんとうのランニング』で野鳥に出逢い、ジョギングを始めたら、外にはいつものようにいる鳥たちがわたしを励ましてくれている(ような気がする)。本はつまり、役に立つ!

【連載小説】「踊る回る鳥みたいに」――第12回 “ベースボールのフィールドではない場所はどこにもない”

連載小説「踊る回る鳥みたいに」第12回。/「野球ってさ、マウンドからホームベースまでの距離とか、ベースとベースのあいだの距離、角度とかは決まってるけど、ファウルゾーンの広さとか、ホームから外野フェンスまでの距離が決まっていないじゃない」

【連載小説】「踊る回る鳥みたいに」――第11回 “笛と鳴き声”

連載小説「踊る回る鳥みたいに」第11回。/カズちゃんが汽笛に合わせて、「プォーー」といった。/電線の上のカラスが飛び立って、「ガァーー」と濁って鳴いたのでハシボソガラスだった。

【連載小説】「踊る回る鳥みたいに」――第10回 “おっちゃんのリズム”

連載小説「踊る回る鳥みたいに」第10回。/おっちゃんのリズム。お守りみたいな言葉だと思った。/来た道をそのまま、当たり前だが逆方向に、ひとりで帰ることになるが来た道と帰る道は違った。

現実のオンライン――『おじいちゃんの くるま どこ?』(作・みねお みつ、「ちいさなかがくのとも」2022年3月号)を読んで。

福音館書店の月刊絵本「ちいさなかがくのとも」。その感想文の掲載誌『おじいちゃんの くるま どこ?』を送っていただいたので、今号の感想を、記事として書いてみました。

【連載小説】「踊る回る鳥みたいに」――第9回 “タイムリミット・サスペンス”

連載小説「踊る回る鳥みたいに」第9回。 やがて人類は貨幣を使わなくなるでしょう。/わたしはその言葉を当たり前のこととして聞いていた。同時に、そんな日が来るなんてまだ想像できなかった。妹のダンナの雅文くんがいった。

ブックレビュー“読む探鳥”:坂口恭平『土になる』――すべての美しい鳥=猫=畑=土=坂口恭平。

坂口恭平『土になる』は、読者として、書かれていることすべてが著者にとって本当のことだと1ミリの疑いもなく感じられる、本当に稀有な一冊。そして全ページ中9.2%のページに鳥が出てくる。鳥の本じゃないのに。バーダーにとっても奇跡みたいな本。

【連載小説】「踊る回る鳥みたいに」――第8回 “ムーミン谷は閉店中”

連載小説「踊る回る鳥みたいに」第8 回。歩くことでドラマが生まれる、もしくは、歩くことそのものがドラマ。それがどんなにささいなものでも。

ブックレビュー“読む探鳥”:池内紀『海山のあいだ』――海山のあいだの黒い鳥たち。

カラスを意味する姓を持つフランツ・カフカの個人全訳で知られる翻訳家、池内紀さんの山の本、『海山のあいだ』。本書に何度か、印象的に登場する「黒い鳥」に触れながら、文筆家としての、池内紀さんの魅力を紹介します。

詩 #005―― 「それが詩だと思えれば何でも」

自作詩の連載、5回目。今回のはさすがに詩といえないかもしれないが(これまでのも)、「詩」としてテキストを書こうとするときの、現時点での率直な感じ感について、書きました。

詩 #004―― 「私にとってナラティブの力は」

自作詩の連載、4回目。今回の詩は、書いた内容と同じように、書かれた(わたしがここに書いた)ものが全てで、行間には何もない、とわたし自身は思っています。

【連載小説】「踊る回る鳥みたいに」――第7回 “好きになるまでは呼び捨てなのに(あるいは、エッセンシャルオイルから化粧水を作るレシピ)”

連載小説「踊る回る鳥みたいに」第7 回。タイトル通り、エッセンシャルオイルから化粧水を作る、手を動かす作業そのものの愉しみと、考えるよしなしごと。

“ヤー・チャイカ #2、あるいは、永遠にループよね。”――Birders' Songs(バーダーのためのプレイリスト)009

インドア派/文化系バーダーを自称する者として、「屋外のフィールドで野鳥観察をすることと、部屋のなかでひとり静かに音楽を聴くことを、イコール、等価なものに変えるプレイリストを。」――という、どう見計らってもアンフェィヴァラァブル(Unfavorable)…

【連載小説】「踊る回る鳥みたいに」――第6回“透き通った最初の言葉を聞いて”

連載小説「踊る回る鳥みたいに」第6回。ウクレレのレッスンから、名画を読み解く画家のことばへ。

【レビュー】坂口恭平『土になる』――書籍の物質としての手触りや、重さを想像しながら。

わたしは「坂口恭平」という名前は知ってはいたが、彼の作品に触れたのはつい最近で、Amazon Music Primeでアルバムを一枚、ポッドキャストでの一部抜粋の著作の朗読を聞いただけ。それでも、坂口恭平という人が気になっているし、おそらくわたしは最低でも…

【連載小説】「踊る回る鳥みたいに」――第5回“もしも音楽に、苦痛が伴うとしたら”

当ブログ連載小説「踊る回る鳥みたいに」第5回。「音楽が、あらゆる芸術のなかで一番――」というのはラジオで、本当にある音楽家の言ったことば。

詩 #001―― 「ピー」

詩の連載を始めます。テーマは特に決めていませんが、今回は野鳥Pについて。

A Song for Birders――2022年。新しい朝に聴く、イ・ラン(이랑)の「イムジン河」。

2022年の元日の朝に聴くのにふさわしい曲は――?。と思い浮かべて、イ・ラン(韓国のSSW)の「イムジン河」がいいと直感した。好きな曲で大好きなヴァージョンだ。YouTubeにアップロードされているオフィシャルMVを久しぶりに見たら、そのMVがリリースされた…

【連載小説】「踊る回る鳥みたいに」――第4回“しおりさんのトリートメント”

連載小説「踊る回る鳥みたいに」、第4回です。ブログなので横書きですが、実際、書くときもテキストエディタで横書きで書いているので、それほど違和感を感じずに読むことができるのでは、と思っています。KDP出版時には、一般の小説と同じ縦書きでリリース…

写真/絵画/散文/野鳥/文化人類学/そしてひちょり。――2021年ソトブログのマイ・ベスト・ブックス。

今回紹介するわたしの2021年マイ・ベスト本は、全て今年出版されたもの。「TikTok売れ」が示すまでもなく、読者にとって、新刊かそうでないか、というのは本質的には関係のないことですが、どういうわけかわたしの2021年は、新刊本に縁がありました。そのな…

【連載小説】「踊る回る鳥みたいに」――第3回“冷凍パインを砕く”

当「ソトブログ」上での連載小説「踊る回る鳥みたいに」、第3回です。毎回2000~3000字程度の長さなので、気軽に読んでもらえたらな、と思っています。

2021年マイ・ベスト・ブック:絵本編『さわる たんけんたい』(月刊「かがくのとも」2021年12月号・通巻633号)/触る愉しさの再発見から、想いは戦場へ行った――。

2021年ももうすぐ終わり、今年読んでよかった本を選んでみました。今回は、絵本編。福音館書店の月刊絵本、「かがくのとも」2021年12月号『さわる たんけんたい』です。

【連載小説】「踊る回る鳥みたいに」――第2回“チューニング”

当ブログ・エクスクルーシブ連載小説「踊る回る鳥みたいに」第2回。毎週金曜掲載予定。毎回挿絵的に添えている写真は、わたしの妻撮影のもの。機材はAsahi Pentax SPというフィルムカメラ、往年のスタンダード一眼レフです。