ソトブログ

文化系バーダー・ブログ。映画と本、野鳥/自然観察。時々ガジェット。

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2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

映画レビュー『スウィート17モンスター』――“あの頃に戻りたい”なんて思わせない。青春映画の正しいあり方。

夜見る夢のなかでは、学生に戻っていたり、会社の同僚に今はもう会うこともない学生時代の友人たちがいたりして、それについてどう解釈するべきなのか、私にはわかりませんが、私は大人になって、「学生時代に戻りたい」と思ったことはありません。“リア充”…

Chromebookでのテキストエディタ「Jota+」の使用感。「書きたいと思ったときにすぐ書ける」を実現する最良の組み合わせのひとつかも。

愛用しているChromebook、Asus C202SAでAndroidアプリが使えるようになり、その使用、特にAndroid用テキストエディタとして評判の高い「Jota+」を入れるかどうか迷っていることは先日書きましたが、結局は試してみなきゃわからない。と思い使い始めています。

“スウィート7(なな)モンスター”

自分の子どものことだからといってこういうところに何でも書いてしまうのは、子どもに対してフェアじゃないような気もして少し気が引けるので詳細には書かないけれど、先日の日曜日は運動会で、小学2年の長男は「風邪をひくか怪我でもして休めればいいのに。…

映画レビュー『ダンケルク』――物語らない、あるいはノーランと田中小実昌。船底の穴と寝台の穴。

クリストファー・ノーラン監督の新作『ダンケルク』を観て、ダンケルク海岸で死んだ兵士も、生きて帰った者も、この映画によって、「今もあの時間のなかで生き続けている」ことになった、あるいは、「今もあの時間のなかで生き続けていることが証明された」…

祖母と“第三の新人”たち、祖父とビルマ戦線――小島信夫から『ダンケルク』まで。

先日私は自身で書いた祖母の告別式での挨拶を引用し、祖母の思い出について書きました。そこで私は、祖母と同世代の作家たちが晩年に書いた小説について触れています。(…)

映画レビュー『ズートピア』――過ちを認めうること/"Try, Try, Try"

昨年の公開時、興行的にも批評的にも大きな評判を呼んだ本作。当時、“欠点がないのが唯一の弱点”といった評も耳にしつつ、私は今日まで、この『ズートピア』を観ていませんでした。「観たら絶対面白いし、感動することもわかっているのだけど……。」そう思っ…

ホラー嫌いのためのホラー映画選「“ブルー・マンデー”だけは投げないで!」

私自身、元来「ホラーというだけで観ない(恐いから)」というホラー映画(食わず)嫌いだったのですが、映画を日常的に観るようになってくると、「どうも映画好きの人ほどホラー映画が好きらしく、ホラー映画には映画本来の魅力の本質が詰まっているらしい…

映画レビュー『わたしは、ダニエル・ブレイク』――悪夢的不条理に立ち向かう、私たちの“スーパーヒーロー”。

「官僚機構の不条理」というと使い古された常套句ですが、ここまでひどいと笑うしかありません。 心臓発作のためにドクターストップがかかり休職中の大工、ダニエル・ブレイクは、国からの手当を受けようと役所に行きます。しかし、面談の結果、「就労が可能…

使用3ヶ月目のChromebook C202SAレビュー。―落ち着いた個性。デイリーユースにおいて不具合や不満の少ない、ベターな日常の道具。

私にとっての初めてのChromebook、ASUS C202SAとの日々もはや3ヶ月が過ぎ、少し落ち着いて使用感を振り返り、評価してみようと思います。とはいえ基本的なスタンスとしては、購入時に他機種と迷ったものの、基本的には始めから惚れていたし、今もそれは替わ…

「2017年の夏に、“けもの”のニューアルバム『めたもるシティ』がリリースされた。」という奇跡的で幸福な事実について。

今年の夏、いちばん聴いた「CD」であり「アルバム」が、SSW、青羊(あめ)さんのソロプロジェクト、“けもの”のニューアルバムにして、初メジャー作となったこの『めたもるシティ』です。

映画レビュー『キツツキと雨』――歓びが生まれる瞬間を何度でも。

役所広司扮する林業に従事する寡夫の克彦。朝、ひとり黙々と朝食を済ませつつ昼食の弁当を詰めて妻の遺影に手を合わせます。山林で黙々とチェーンソーを振るい木を切り倒す。夜は同業の仲間たちと酒を飲み、家ではいい年をして無職の長男といつもの言い争い…

映画レビュー『ストレイト・ストーリー』――おもいどおりにうごかない(またはデヴィッド・リンチはいつだって私たちの隣人)。

1999年に公開された本作は、デヴィッド・リンチ監督作としては異色の人情物だと言われています。しかし、デヴィッド・リンチの映画が感動のヒューマン・ドラマでなかったことは一度もなかったのではないか。私は『ストレイト・ストーリー』を観ながら何故か…

幸せだった頃、したように――私のママ・グランデの葬儀。

このはてなブログでは、自己紹介めいた文章とか、作品や対象について書かない本当の雑文はいままで書いていなかったのですが、「お題スロット」というものに触発されて、少し個人的なことを書いてみます。「もう一度行きたい場所」について――。

洋画サウンドトラック10選―デヴィッド・ボウイ"Modern Love"にのせて彼女は走る。【2010年以降編】

ここ最近、とくに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のヒット以降、映画のサウンドトラックがまた面白くなっています。 また、『シング・ストリート 未来へのうた』など音楽そのものがテーマになった映画の場合、劇中の人物(バンド等)の作品がそのま…

映画レビュー『ことの終わり』――“神”というオールマイティカード。

『第三の男』を書いた英文学の巨匠、グレアム・グリーン原作とあって、先に小説を、と思い『情事の終り』を読んだのが一年以上前で、面白かった記憶はあるけれど、内容も何もすっかり忘れ去っていました。映画を観ていなかったのにはとくに理由はないのです…

『皆既日食を1998年製のゲームボーイ用「ポケットカメラ」で撮影』というニュースを見て、手持ちのMDウォークマンの用途を考えてみる。

任天堂のゲームボーイ用ソフト「ポケットカメラ」は、普通のゲームカートリッジのように本体に差し込んで起動することで、本体の液晶画面で確認しながら写真撮影ができ、専用プリンタおよび専用紙(感熱式のシール用紙)で印刷できるというもの。 先日たまた…

こんな文章が、書けたなら――。片岡義男『彼らと愉快に過ごす 僕の好きな道具について』

文章を書くうえで、おおきな影響を受けた作家が何人かいます。はじめに、高橋源一郎。小説や、文章で表現できること(してもいいんだ、ということ)の可能性の拡がりを教えてもらった。そして、リチャード・ブローティガン。「針の穴を通して世界を見る」よ…