シリーズ「読む探鳥、観るバードウォッチング」
本を読みながら映画を観ながらそののなかに野鳥を探す、「読む探鳥、観るバードウォッチング」シリーズ、今回は植物についての人文学的考察、藤原辰史『植物考』で、いざ探鳥行。
文学作品やのなかに鳥を探す「読む探鳥」のシリーズ、今回は黒川創の小説『かもめの日』から、その着想の元もあるチェーホフの戯曲『かもめ』、劇作家・宮沢章夫による「かもめ」の読み、『チェーホフの戦争』まで。
身のまわりのあらゆる物が<雑貨化>し、果ては物と雑貨の壁が壊れ、やがて「モノからコト」へ。雑貨とは何かについて系統立てて論じた世界唯一の文筆家にして雑貨店主、三品輝起の傑作を、「野鳥文芸」として読み解きました。
友部正人さんによる、2015年の詩集『バス停に立ち宇宙船を待つ』に収められた全35篇のうちに、鳥の出てくる詩が2篇あります、そのひとつ、「ウォーカー・バレー」という詩がわたしは好きです、その詩はわたしたちと鳥たち、わたしたちとわたしたちどうしを遮…
小説家・保坂和志さんの愛猫、花ちゃんとの18年8カ月を描く小説「ハレルヤ」。そこにもいた飛び回り、鳴き交わす鳥たち。踊る猫と鳥たちは、生きていても死んでいてもかけがえがない。
岸本佐知子さんの名訳で、日本でも広く反響を呼んだルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』。そのなかにも野鳥をみつけるのが、文化系バーダー・ブロガーの本懐。なんて手前味噌よりも、既にそこにいるものたちを描くルシア・ベルリンの凄み。
鳥とは縁もゆかりもないはずの本、マイク・スピーノ『ほんとうのランニング』で野鳥に出逢い、ジョギングを始めたら、外にはいつものようにいる鳥たちがわたしを励ましてくれている(ような気がする)。本はつまり、役に立つ!
坂口恭平『土になる』は、読者として、書かれていることすべてが著者にとって本当のことだと1ミリの疑いもなく感じられる、本当に稀有な一冊。そして全ページ中9.2%のページに鳥が出てくる。鳥の本じゃないのに。バーダーにとっても奇跡みたいな本。
カラスを意味する姓を持つフランツ・カフカの個人全訳で知られる翻訳家、池内紀さんの山の本、『海山のあいだ』。本書に何度か、印象的に登場する「黒い鳥」に触れながら、文筆家としての、池内紀さんの魅力を紹介します。
「不世出の幻想作家」、山尾悠子の傑作『飛ぶ孔雀』は、めくるめく空想世界が描かれながら、野鳥にまつわる実在のある「組織」が記述されています。その登場に驚きとともに、野鳥と読書を愛するものとして、歓びを感じています。
トマス・ハーディ『呪われた腕 ハーディ傑作選』(河野一郎 訳、新潮文庫)は、19世紀末英国ヴィクトリア朝時代の作家、トマス・ハーディの短編集。ハーディを読みながら「小説のなかで描写されている鳥たちを数える。」という遊戯を通して、古典を読む愉し…
息子と4年半前に鳥見を始めるまでずっと、音楽好き/映画好き/文学好きのインドア人間だった私には、Fishmans(フィッシュマンズ)”、という大好きなバンドがありますが、今回取り上げる作品は魚ではなく鳥――フランスで“バードマン”の愛称で親しまれている…
鳥たちは空を飛ぶ。/風に乗り、陽光を浴び、愉しげに、歌いながら自由に。――そんな書き出しで始まる本書は、わたしたちヒトからみれば羨ましいくらいに自由に空を翔ける鳥たちが、なぜ飛べるようになったのか、本書のことばを借りれば、「あなたたちを飛べ…
元々外で身体を動かすよりも部屋のなかで本や映画、音楽に浸ることをよしとしてきたインドア系birderのわたしは、屋外での野鳥観察と同時に、鳥にまつわる作品を見つけては、愉しんでいるのですが、今回は一枚のアルバムを紹介したいと思います。2018年にリ…
今回紹介するのは「野鳥フィクション」のなかでも本命中の本命のハードコア、おそらく現代野鳥文芸、あるいは野生動物文芸のなかでも金字塔のひとつであると思われる作品。それが、ある鳥の誕生の瞬間から、渡りの足跡、繁殖、そして死までを「鳥自身」の視…
例年より短くなった2020年の夏休み。この数年のバードウォッチングの成果をまとめた長男の自由研究を手伝いつつ、私がこの夏に観たのは、“時価10億円以上の鳥の絵”、ことオーデュボンの「アメリカの鳥類」を盗み出す大学生の実話を描いた、映画『アメリカン…
カーソン・マッカラーズ『結婚式のメンバー』(村上春樹訳、新潮文庫、2016年)は、これまで知らなかったことを悔やむくらいとても素晴らしい小説で、一読しての感想は、本書(原著“The Member of the Wedding”は1946年に刊行)と同時代のJ.D.サリンジャー『…