ソトブログ

映画と本、自然観察(あるいは30代後半、2児の父の日常)

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映画レビュー『マイノリティ・リポート』――あらゆる要素をまとめ上げるスピルバーグの“過剰さ”。

マイノリティ・リポート原題:Mirority Report製作年:2002年監督:スティーヴン・スピルバーグあらすじ:2054年のワシントン。プリコグと呼ばれる予知能力者が未来の殺人を予知、犯罪予防局が未然に逮捕することで犯罪が90%減少していた。犯罪予防局のアン…

映画レビュー『ベイビー・ドライバー』――独りでいた時間が、彼を育てた。

ベイビー・ドライバー原題:Baby Driver製作年:2017年監督:エドガー・ライトストーリー:天才的なドラインビングテクニックで犯罪者の逃走を手助けする「逃がし屋」をしているベイビーは、子どもの頃の事故の後遺症で耳鳴りに悩まされているが、音楽によっ…

左利きの左利きによる左利きのためのボールペン選び。【後編】feat.“雨の日は会えない、晴れた日は君を想う”

sotoblog.hatenablog.com ※本記事は上記前編からの続きです。 二幕目「ルックスや書き味だけでも決められないけど、実用性だけでは選びたくない。」 先日Chromebookの記事でも書いたのですが、個人のお気に入りの道具、というのは突き詰めるとフェティッシュ…

左利きの左利きによる左利きのためのボールペン選び。【前編】feat.“冷たい雨に撃て、約束の銃弾を”

一幕目「左利きにとっての筆記。その苦難の歴史」 一幕目「左利きにとっての筆記。その苦難の歴史」 両手で書いた黒板の話。 左利きの筆記の典型「押し書き」。 私の場合(冷たい雨に撃て、約束の銃弾を) 左利きはボールペンが書けない! 両手で書いた黒板…

“Chromebookにおいてテキストエディタ「Jota+」がウインドウサイズ可変で使えるようになった”、たったそれだけのことがこんなにも快適さをもたらすということ。

きみの言葉全部 ただ待っているんだただ待っているんだ心分かれては 高鳴っていたんだ高鳴って 痛んだ けもの「Someone That Loves You」歌詞より(※HONNE&Izzy Bizuの同名曲の日本語詞カヴァー) これを買うまで自宅のノートPCを毎日開くなどということはな…

映画レビュー『上海の伯爵夫人』――カズオ・イシグロ脚本で描く、世界史よりも広大な個人の内的世界とは?

上海の伯爵夫人原題:The White Countess 製作年:2005年監督:ジェームズ・アイヴォリーあらすじ:1930年代の上海。ロシア貴族のソフィアは、祖国を逃れて上海で暮らしている。夫はすでになく、夫の側の親族と暮らしていた。ソフィアはクラブでホステス(タ…

市街地から車で10分の奇景、“奇絶峡”(きぜつきょう)

河口から7km、車で10分の奇景の峡谷。 孤高の博物学者、南方熊楠のフィールドとしても有名な和歌山県の紀南地方、田辺市や白浜町には様々な景勝地がありますが、市街地のある河口から7km程度、車で約10~15分で行けるところに、その名も“奇絶峡”(きぜつきょ…

朝。起きて、息子と二人。カワウの群れを追って。

Wikipediaより。カワウのV字飛行。 カワウ - Wikipedia 毎朝、カワウの群れを見ながら学校へ 日曜日の朝。前の晩に約束していたとおり、6時半に起きて小学生の長男と二人、カワウの群れを追いかけに行きました。 彼は毎朝、7時過ぎに家を出ると、緩やかな勾…

【書評】『ダンケルク』をきっかけに再読したい、物語を超越した「戦争小説」7選。

今週のお題「読書の秋」 写真は、映画『真夜中の戦場/クリスマスを贈ります』(原題:A Midnight Clear、1992年)より。 映画『ダンケルク』に物語がない、というのは実はウソというか、雑な言い方で、端的な語り口の問題だと思います。しかしながら、戦争…

映画レビュー『カイロ・タイム 異邦人』――アメリカの"YOU"ことパトリシア・クラークソンが魅せる、大人の関係。

カイロ・タイム 異邦人Cairo Time製作年:2009年監督:ルバ・ナッダあらすじ:女性誌の編集者、ジュリエット。彼女はパレスチナのガザ地区で働く国連職員の夫と休暇を過ごすため、エジプトの首都、カイロを訪れる。ところが夫はトラブルで到着が遅れることに…

映画レビュー『スウィート17モンスター』――“あの頃に戻りたい”なんて思わせない。青春映画の正しいあり方。

スウィート17モンスター原題:The Edge Of Seventeen製作年:2016年監督:ケリー・フレモン・クレイグあらすじ:17歳の高校生、ネイディーンは妄想癖と自己嫌悪感で空回り気味のスクールライフを送っている。唯一の親友、クリスタが、イケメン・勝ち組で自身…

Chromebookでのテキストエディタ「Jota+」の使用感。「書きたいと思ったときにすぐ書ける」を実現する最良の組み合わせのひとつかも。

愛用しているChromebook、Asus C202SAでAndroidアプリが使えるようになり、その使用、特にAndroid用テキストエディタとして評判の高い「Jota+」を入れるかどうか迷っていることは先日書きましたが、結局は試してみなきゃわからない。と思い使い始めています…

“スウィート7(なな)モンスター”

“トイケン”/少年時代は覚えていない/父親はクルマのなかで歌をうたう 自分の子どものことだからといってこういうところに何でも書いてしまうのは、子どもに対してフェアじゃないような気もして少し気が引けるので詳細には書かないけれど、先日の日曜日は運…

映画レビュー『ダンケルク』――物語らない、あるいはノーランと田中小実昌。船底の穴と寝台の穴。

ダンケルク原題:Dunkirk製作年:2017年監督:クリストファー・ノーラン wwws.warnerbros.co.jp クリストファー・ノーラン監督の新作『ダンケルク』を観て、ダンケルク海岸で死んだ兵士も、生きて帰った者も、この映画によって、「今もあの時間のなかで生き…

祖母と“第三の新人”たち、祖父とビルマ戦線――小島信夫から『ダンケルク』まで。

今週のお題「私のおじいちゃん、おばあちゃん」 先日私は自身で書いた祖母の告別式での挨拶を引用し、祖母の思い出について書きました。そこで私は、祖母と同世代の作家たちが晩年に書いた小説について触れています。 sotoblog.hatenablog.com わたしはおば…

映画レビュー『ズートピア』――過ちを認めうること/"Try, Try, Try"

ズートピア原題:Zootopia製作年:2016年監督:リッチ・ムーア、バイロン・ハワード あらすじ:どんな動物も快適な暮らしができる環境が整えられた世界。各々の動物たちには決められた役割があり、農場でニンジン作りに従事するのがウサギの務めだったが、ウ…

ホラー嫌いのためのホラー映画選「“ブルー・マンデー”だけは投げないで!」

私自身、元来「ホラーというだけで観ない(恐いから)」というホラー映画(食わず)嫌いだったのですが、映画を日常的に観るようになってくると、「どうも映画好きの人ほどホラー映画が好きらしく、ホラー映画には映画本来の魅力の本質が詰まっているらしい…

映画レビュー『わたしは、ダニエル・ブレイク』――悪夢的不条理に立ち向かう、私たちの“スーパーヒーロー”。

わたしは、ダニエル・ブレイク 原題:I, Daniel Blake 製作年:2016年 監督:ケン・ローチ あらすじ: イギリス北東部ニューカッスルで大工として働くダニエル・ブレイク。心臓に病を患ったダニエルは、医者から仕事を止められ、国からの援助を受けようとし…

使用3ヶ月目のChromebook C202SAレビュー。―落ち着いた個性。デイリーユースにおいて不具合や不満の少ない、ベターな日常の道具。

私にとっての初めてのChromebook、ASUS C202SAとの日々もはや3ヶ月が過ぎ、少し落ち着いて使用感を振り返り、評価してみようと思います。とはいえ基本的なスタンスとしては、購入時に他機種と迷ったものの、基本的には始めから惚れていたし、今もそれは替わ…

「2017年の夏に、“けもの”のニューアルバム『めたもるシティ』がリリースされた。」という奇跡的で幸福な事実について。

今年の夏、いちばん聴いた「CD」であり「アルバム」が、SSW、青羊(あめ)さんのソロプロジェクト、“けもの”のニューアルバムにして、初メジャー作となったこの『めたもるシティ』です。 2017年SSという時を刻んだけもの『めたもるセブン』 このブログでは、…

映画レビュー『キツツキと雨』――歓びが生まれる瞬間を何度でも。

キツツキと雨製作年:2012年監督:沖田修一あらすじ:とあるのどかな山村に、ある日突然、ゾンビ映画の撮影隊がやってくる。ひょんなことから撮影を手伝うことになった60歳の木こりの克彦と、その気弱さゆえにスタッフをまとめられず狼狽する25歳の新人監督…

映画レビュー『ストレイト・ストーリー』――おもいどおりにうごかない(またはデヴィッド・リンチはいつだって私たちの隣人)。

ストレイト・ストーリー原題:The Straight Story製作年:1999年監督:デヴィッド・リンチあらすじ:アメリカ・アイオワ州に住む73歳のアルヴィン・ストレイトは、娘のローズと二人暮らし。ある日、10年来仲違いしていた76歳の兄ライルが心臓発作で倒れたと…

幸せだった頃、したように――私のママ・グランデの葬儀。

お題「もう一度行きたい場所」 もう一度行きたい場所 このはてなブログでは、自己紹介めいた文章とか、作品や対象について書かない本当の雑文はいままで書いていなかったのですが、「お題スロット」というものに触発されて、少し個人的なことを書いてみます…

洋画サントラ10選、楽曲リンク集【2010年以降編】その2

Teenage Fanclub(映画『ヤング≒アダルト』に楽曲提供) sotoblog.hatenablog.com 上記記事の楽曲リンク集、その2です。『キャロル』以下の5作品。 …余談ですが、今回取り上げたサントラ、リンクした楽曲はポップソングの体裁をとったものが多いですが、サン…

洋画サントラ10選、楽曲リンク集【2010年以降編】その1

『はじまりのうた』Begin Again sotoblog.hatenablog.com 上記記事で紹介したサウンドトラックの楽曲への、各アルバム1曲ずつのリンク集(YouTube)です。記事ではちょっと無粋かな、と楽曲へのリンクは貼らなかったのですが、聴かれなかったら意味がないか…

洋画サウンドトラック10選―デヴィッド・ボウイ"Modern Love"にのせて彼女は走る。【2010年以降編】

『フランシス・ハ』Frances Ha ここ最近、とくに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のヒット以降、映画のサウンドトラックがまた面白くなっています。また、『シング・ストリート 未来へのうた』など音楽そのものがテーマになった映画の場合、劇中の人…

映画レビュー『ことの終わり』――“神”というオールマイティカード。

ことの終わり原題:The End of the Affair製作年:1999年監督:ニール・ジョーダン原作:グレアム・グリーン『情事の終り』(Graham Greene "The End of the Affair")あらすじ:1946年、ロンドン。小説家のモーリス・ベンドリックス(レイフ・ファインズ)…

『皆既日食を1998年製のゲームボーイ用「ポケットカメラ」で撮影』というニュースを見て、手持ちのMDウォークマンの用途を考えてみる。

This Guy Shot the Solar Eclipse with a Game Boy Camera ( petapixel.com ) 先日たまたま見かけた二つの記事。 gigazine.net “アメリカ大陸を横断した皆既日食を1998年製のゲームボーイ用「ポケットカメラ」で撮影” gigazine.net “ゲームボーイの「ポケッ…

こんな文章が、書けたなら――。片岡義男『彼らと愉快に過ごす 僕の好きな道具について』

文章を書くうえで、おおきな影響を受けた作家が何人かいます。はじめに、高橋源一郎。小説や、文章で表現できること(してもいいんだ、ということ)の可能性の拡がりを教えてもらった。そして、リチャード・ブローティガン。「針の穴を通して世界を見る」よ…

釣りをしない人間が見た『釣りよかでしょう。』――あるいは小学2年生をも魅了するブロマンス世界。

写真:Thomas Leuthard 小学2年生の長男が現在ハマっているものに、『釣りよかでしょう。』というYouTubeチャンネルがあります。 www.youtube.com 釣りオンチの父親にして…。 釣りについて、私自身は知識も経験もないのですが、住んでいるのが海辺の街であり…