ソトブログ

文化系バーダー・ブログ。映画と本、野鳥/自然観察。時々ガジェット。

ソトブログ

“When the owl sleeps(フクロウの眠るとき)”――Birders' Songs(バーダーのためのプレイリスト)004

 

この記事をシェアする

Birders-Songs-004

「偶然の出逢い」からの「偶然の一致」

 

 インドア派バーダー(野鳥愛好家)を自任するわたしが、バーダーのためのミュージック・プレイリストをAmazon Musicで選曲する。アウトドアのフィールドで野鳥たちに出逢ったときの昂揚の、アナロジーであるような、ないような、そんなプレイリストを。――そんな気持ちで、始めたこの企画「Birders' Songs(バーダーのためのプレイリスト)」も今回で4回目。

 

 続けてみると気づくことがあるもので、第1回目、2021.11.17の「Birders' Songs: バーダーのためのプレイリスト 001_“Featherweight”」に、アメリカのインディーロック・バンド、Death Cab For Cutieの「Transatlanticism」を選曲しました。そしてちょどそのころ読んでいたのが、山尾悠子さんの幻想小説『飛ぶ孔雀。2021.11.12に掲載した記事「ブックレビュー“読む探鳥”: 山尾悠子『飛ぶ孔雀』――現実と空想世界を繋ぐPellets, Inc.」にも書いたように、『飛ぶ孔雀』にはフクロウの吐くペリット(鳥が一度飲み込んだものの、未消化のまま口から吐き出されたもの。ペレット。)を研究用や学習用に収集・販売する会社、ペリット社(Pellets, Inc.)のことが登場します。


 ここにある偶然の一致は、Death Cab For Cutieというバンドの出身地と、Pellets, Inc.の所在地はともに、アメリカ、ワシントン州ベリンハム(Bellingham)(左記リンクは英語版Wikipedia)であること。そういえば、Death Cab For Cutie『Transatlanticism』のアルバム・ジャケットはカラスと思われる黒い鳥に、赤い糸を巻きつけたイラストレーションでした。

Death Cab For Cutie、2003年のアルバム『Transatlanticism

 

 些細な偶然が愉しくて――今回のM03、M04のThe Appleseed Castのアルバムタイトルはこちらも偶然『Low Level Owl: Volume I 』というフクロウ繋がりだったり――、今回の1曲目は同じくDeath Cab For Cutieの「Little Wanderer」にしてみました。未知の鳥に出逢う偶然の僥倖のように、できるだけ知らない曲を、初めて見る名前のミュージシャンを選んでいるこのプレイリストですが、わたしの音楽的趣味・嗜好から、気がつくとインディーロック/ポップ、ピッチフォークっぽいものが並んでしまうのですが、今回のプレイリストには曲の並びからも異色のヒップホップ、TSUBAME「GOOD NIGHT feat. おかもとえみ & Rachel」が入っています。ラップ/ヒップホップには昏く、TOKYO HEALTH CLUBというユニットのDJ/トラックメーカーだというTSUBAMEさんは存じ上げなかったのですが、Amazon Musicのなか(森とかジャングルとかいう比喩はちょっと恥ずかしくなってきたのでやめておきますね)を彷徨していると、検索ワードで「鳥」とか、鳥の名前を入れて検索するようなことはしていないのに、こういう名前が飛び込んで来たりする偶然もまた、愉しいものです。

 

「聴くと読みたくなる」からの新たな出逢いへ――。

 

 そして今回のトラックのなかでわたしにとっての白眉は、坂口恭平「あの声」。坂口恭平さんは、わたしの同世代(1978年生まれ)ということもあり、ずっと気になっている方だったのですが、作家、建築家、音楽家、画家……と活動があまりにも多岐にわたるために掴みどころがないというか、何をきっかけに作品に触れていけばいいのかわからずにいたのですが、不思議な温かみのあるヴァースとフック、そして演奏の、ポップなラップでありバンド・サウンド。――この曲を聴いていると不思議となぜか、彼の著作に触れてみたくなりました。

 

アポロン

アポロン

Amazon

坂口恭平「あの声」収録のアルバム、『アポロン

 

土になる

土になる

Amazon

「今、僕は自分自身と完全に一つになったような気がする。それ以上の平安がどこにあるだろうか。それが鳥であり、猫であり、虫じゃないか。地に足をつけるとは、このことを言うのではないか。土に聞くまでもない。僕が土になったのだから――。」という、本文から採られたと思しき出版社オフィシャルの惹句が個人的にとても刺さる、著者最近作(2021.12.6現在)。

 

プレイリスト「2021.12_When the owl sleeps」

※以下、選曲は全て、「演者/曲名」で表記しています。
※プレイリストのリンクをクリックすると、Amazonプライム会員の方は、Amazon Musicで聴くことができます。

2021.12_When the owl sleeps」(選曲:ソト

M01.  Death Cab For Cutie/Little Wanderer
M02. PoPoyans/When the owl sleeps
M03. The Appleseed Cast/Bird Of Paradise
M04. The Appleseed Cast/Mile Marker
M05. Marble Sounds/Sky High
M06. ROTH BART BARON/けもののなまえ (feat.HANA)
M07. TSUBAME/GOOD NIGHT feat. おかもとえみ & Rachel
M08. 七尾旅人/天まで飛ばそ
M09. 坂口恭平/あの声
M10. イノトモ/遠くまで (feat. 岸田繁)
M11. Mary Lattimore & Meg Baird/Fair Annie
M12. Catherine Ireton & Go Away Birds/Green Jackets

 


TSUBAME「GOOD NIGHT feat. おかもとえみ & Rachel」オフィシャルMV。ふだんはあまり聴かない音楽だけれど、こうしてプレイリストに入れて聴くととてもいい。

 

 当「Birders' Songs(バーダーのためのプレイリスト)」という記事シリーズは、毎週月曜更新予定です。次回もお楽しみに!

 

【以前の記事から:プレイリストの曲「Shorebird」を知ったことからフィジカル(CD)を購入した、当真伊都子さんのことなど。】

知りたいと思う気持ちの発動:Birders' Songs(バーダーのためのプレイリスト)003_“2021.11_Shorebird” - ソトブログ

 

【以前の記事から:今回のアイキャッチに使ったフクロウの写真を撮影したときの記録。】

レペゼン紀南、インドアからアウトドアに転向したわたしの、GW探鳥記録。 - ソトブログ

 

【当ブログの「Birders' Songs」および、音楽、野鳥観察についての記事一覧はこちら。】