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“スワン、二羽、この道。”――Birders' Songs(バーダーのためのプレイリスト)010

 

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Birders-Songs-010 写真はコハクチョウ(2020.12、和歌山県某所)。※本文とは関係ありません。

探鳥のお供に、あるいは室内で読書や勉強や家事をしながら。

 

 インドア派/文化系バーダーを自称する者として、「屋内で鳥見気分に浸る」ことをソリューションとしたプレイリストを作る。という謎コンセプトで、Amazon Musicのプレイリスト作成していくシリーズ「Birders' Songs」も、今回で10回目になりました。
 

見知らぬ同士が出逢う法悦と、その消滅。/“Seven Swans, seagulls, Quetzal”――Birders' Songs(バーダーのためのプレイリスト)008 - ソトブログ

 

 上記、前々回の記事で、「わたしの選曲方法」として書いたことをもっと単純化していうと、――「鳥っぽい曲を含めて、触り聴きして自分好みっぽい曲を、空のプレイリストに放り込む」という、ただそれだけ。この方法で、12、3曲、1時間前後のプレイリストは、30分から1時間程度で完成します。こんなことを毎週続けているとわかるのは、数多のミュージシャンたちが、気軽なモティーフとして/あるいはアンコンシャスで根源的な衝動を託すように、曲名や歌詞、サウンドに鳥を用いている、ということ。
 いま「サウンド」と書きましたが、これは聴いてみて初めてわかることがあって、今回のM03、matryoshkaの「Silver Trees (feat. Craneuhm.)は、純然たる格好いいビート・トラック。としか貧困なわたしの音楽知識/語彙では表現しようがないのですが、鳴禽らしい細くて高い声の野鳥のさえずりがサンプリングされています(あるいはそれも電子音なのかもしれませんが)。こういうのは偶々見つけると本当に嬉しい。探鳥を兼ねた登山行、あるいは登山を兼ねた探鳥行で、思わぬ鳥に出逢えたときのような気持ちが蘇ります。

 

 今回は、ガスター・デル・ソル、バーディー、町田康のバンド「汝、我が民に非ズ」、曽我部恵一、塚本功、エマーソン北村、フリート・フォクシーズと、わたしには旧知のアーティストも多く入れましたが、曲は初めて聴いたものばかり。それも自分にとって初めての鳥を見つける、ということとのアナロジーなのですが、町田康のクセのあるねっとりとした歌声、そして一癖以上ある辛辣にもみえる歌詞が、「汝、我が民に非ズ」のバンドの、巧みでルーズな演奏に乗せられると――そしてそれを田舎道を歩きながら聴くと――意外にも心地よいことを知ったり。曽我部恵一「スワン」は、ストレートなロックミュージック、そしてラブソングの名曲だと思えたり。プレイリストのタイトルは、エマーソン北村氏の楽曲「ニワ」を、勝手に「二羽」に読み替えてみたもの。今回も、探鳥のお供に、あるいは室内で読書や勉強や家事をしながら聴ける、愉しいプレイリストになったと自負しています。

 

 この季節、わたしが受験生だった20数年前にタイムスリップできるなら、そのときのわたしにこのプレイリストを、カセットで渡したいと思います。某国立大の一次試験に落ち、英語と論作文だけの二次試験を半ば投げやりな気持ちで受けに向かう新幹線のなかで、グリーン・デイの「Basket Case」を聴き、ハインラインの『夏への扉』を読んでいたあの頃のわたしに。

 

プレイリスト「2022.01_スワン、二羽、この道。」

※以下、選曲は全て、「演者/曲名」で表記しています。
※プレイリストのリンクをクリックすると、Amazonプライム会員の方は、Amazon Musicで聴くことができます。

2022.01_スワン、二羽、この道。」(選曲:ソト

M01. 村田有希/a white bird
M02. Birdy/Wings (Acoustic)
M03. KASHIWA Daisuke/Jazz pour une infante défunte
M04. matryoshka/Silver Trees (feat. Craneuhm.)
M05. Gastr Del Sol/The Seasons Reverse
M06. 汝、我が民に非ズ/つらい思いを抱きしめて
M07. 曽我部恵一/スワン
M08. La Roux/Automatic Driver
M09. 塚本功/この道
M10. エマーソン北村/ニワ
M11. Phoebe Bridgers/Garden Song
M12. Fleet Foxes/Mykonos

La Roux - Automatic Driver (official video) - YouTube

 

 今回のMVはM08、 英国のデュオ、ラ・ルー(La Roux)。いっそダサいくらいの能天気なエレクトロ・ポップで、好きか嫌いかといえば、「大好き!」な曲だと思いました(聴いたのは今回初めて)。野鳥とは全く関係のない歌詞、MVなのに、3:49あたりで、シンガーの背後に水鳥らしい群れが飛んでいる! のに驚きました。続けているとこういうことがあるから愉しい。カメラマンも、屋外で背景に空があれば、何か飛んでいる方がいいんだろうな。

 

【Amazon Music オフィシャルサイト】
Amazon Music Prime
Amazon.co.jp: Amazon Music Unlimited

 

【以前の記事から:以前、和歌山でコハクチョウ一羽が見られたときの記録。】

ハクチョウの歌なんか聞えない――コハクチョウの来訪に寄せて。 - ソトブログ

 

【当ブログの「Birders' Songs」および、音楽、野鳥観察についての記事一覧はこちら。】