“Fly, Little Bird”――野鳥とランニング、ジョギングのための音楽プレイリスト：Music for Slow Joggers #007／Birders' Songs #025

「遅れてきたアウトドアラー」から、全ての野鳥好きやランナー、ジョガーに贈るプレイリストです。
プレイリスト「2022.05_Fly, Little Bird」

「遅れてきたアウトドアラー」から、全ての野鳥好きやランナー、ジョガーに贈るプレイリストです。

「ジョグやランのBGMとして、あるいは＜室内探鳥＞と成り得るヴァーチャル鳥見音楽として。」――そんなモットーで音楽サブスク・Amazon Music Primeでプレイリストを作成、シェアする試みが、この「Music for Slow Joggers／Birders' Songs」というシリーズです。
　そんな酔狂な企画を続けているのは、わたしが息子とともに、アラフォーからバードウォッチングに目覚めた「遅れてきたアウトドアラー」で、音楽／映画／文学があれば、どれだけでも部屋のなかで過ごしていられる超絶インドア人間であるからですが、最近、「キットパス」という素敵な画材を手に入れて（地元の素敵な画材やさん「画材のいろは」さんで色んな画材のなかからご紹介下さって、購入しました）、野鳥イラストを描き始めました。絵は素人ですし、バーダーとしても半人前なので、写真を見ながらでもその再現性には自信がないのですが、また新たな「インドア探鳥」なホビーを手に入れて、ひとりほくそ笑んでいる今日この頃です。

日本理化学キットパスミディアムライスワックス 12色 KMRW-12C

日本理化学

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「キットパス」は、学校での授業に欠かせない「チョーク」のトップ・メーカーとして知られる、日本理化学工業の開発した固形マーカー。米ぬかから抽出したライスワックス（お米のワックス）を主成分として作られているそう。クレヨンに似た書き味ですが、水溶性で水彩画にも使える、愉しい画材。
公式サイト：キットパス商品説明／日本理化学工業株式会社

　江戸の「花鳥画」の絵師は実際に鳥を飼っていたので、人間と目を合わせない構造になっている鳥の目の位置や爪の鋭さ、飛翔の加速度の力を実感していたと思われる。
　第一章で述べたように、人間は鳥に対して「憧れ」と「怖れ」の両面を抱いている。とくに西欧では、鳥の飛翔に対する怖れが強い。鳥は人間に敵対する、あるいは人間にコントロールできない不気味な存在として、表象されている場合が多い。
　同様に日本人も、鳥には「憧れ」と「怖れ」の両面を抱いているにもかかわらず、「花鳥風月」という美しい言説で受け入れられていたところに、両義性が反映されていた。
　近世の浮世絵や物語などでも、鳥は人間を超越した存在として描かれている場合が多い。たとえば、歌川広重（一七九七―一八五八年）の『名所江戸百景』のうち「深川洲崎十万坪」では、一八五五年二月の安政大地震と大津波によって壊滅した広大な土地を、巨大なワシが空から眺めているという現代美術も顔負けの大胆な構図で、今でもコレクターの間では「役絵」と呼ばれているほど人気がある。

奥野卓司『鳥と人間の文化誌』（筑摩書房、2019）より

　肝心のプレイリストは、前回に引き続きバングルスやバズコックス、トーキング・ヘッズからミシェル・ンデゲオチェロといったロック／ポップス／ソウル・クラシックスから、テイラー・スウィフトを経由して、ショーン・メンデス、シャイ・マーティン、ビッグ・シーフといった近年のオン・ジ・エッジなアーティストまで。あえて強く「鳥」「ラン」「ジョグ」を意識せずに、ゆるくそれらを感じさせる、あるいは走ることが愉しくなり、家のなかにいつつ野鳥たちに思いを馳せる時間が心地よく感じられるような、そんな曲を集めてみました。奥野卓司先生の仰る通り、わたしたち人間にとって「憧れ」と「怖れ」の対象であり、近くて遠い存在である、野鳥たちを遠くに眺めつつ――、彼らの歌声（Song=さえずり）とトーク（Call=地鳴き）を聞きながら――、ジョギング／ランニングするときの気分を思い出しながらセレクトした13曲です。

プレイリスト「2022.05_Fly, Little Bird」

※以下、選曲は全て、「演者／曲名」で表記しています。
※プレイリストのリンクをクリックすると、Amazonプライム会員の方は、Amazon Musicで聴くことができます。

「2022.05_Fly, Little Bird」（選曲：ソト）

M01. エミ・マイヤー／ウイングス
M02. Alessia Cara／Know-It-All (Deluxe)
M03. Taylor Swift／cardigan
M04. The Bangles／Manic Monday
M05. Buzzcocks／Running Free (2001 Remastered Version)
M06. The Polyphonic Spree／Move on Up (Extended Version)
M07. James Arthur／Phoenix
M08. Me'Shell Ndegeocello／Bittersweet
M09. Shawn Mendes／Air [feat. Astrid S]
M10. Big Thief／Red Moon
M11. Talking Heads／Wild Wild Life (2003 Remaster)
M12. Jason Mraz／Lucky (feat. Colbie Caillat)
M13. Shy Martin／Spaceship (Bonus Track)