ソトブログ

文化系バーダー・ブログ。映画と本、野鳥/自然観察。時々ガジェット。

ソトブログ

全ての野鳥好き、バーダーに贈る、野鳥ソングベスト盤的プレイリスト。――“梢のはざまから”( Best Songs for Birders Vol.1)

 

この記事をシェアする

Best-Songs-vol1写真はウチヤマセンニュウ(2021.6)※本文とは関係ありません。

野鳥好きのための、「鳥曲」だけを集めたベスト盤的プレイリストを作ってみました。

 

 野鳥好きで音楽好き、現在は野鳥観察を主にアウトドア・ライフも愉しみつつ、本来筋金入りのインドア派・ソトことわたしが、「インドア鳥見としてのミュージック・プレイリスト」をAmazon Music Primeで作成し、紹介する連載として、この「ソトブログ」でシリーズ「Birders' Songs(バーダーのためのプレイリスト)」を11回に渡って続けてきました。

 今回はこれまでの11回からのベスト盤、という趣向で、各回は鳥をタイトルやテーマ、歌詞にした曲は数曲程度しか入っていなかったところ、各回から鳥にまつわる曲だけ(若干の例外あり)を集めたベスト・プレイリストを作成しました。

 また、これまでのものから選曲するだけでは(わたし自身が)つまらない、というか飽きてしまうので、これまでに紹介したアーティストの、他の「鳥曲」を取り上げたものもあります。

 

今回初めて取り上げた曲について。

 

 今回のプレイリストについて、ベスト盤とはいいながら、前述の通りこれまでのプレイリストには入れていなかった曲たちがありますので、それらのいくつかについて、以下で、少し触れておきたいと思います。

 

Ooyoshikiri-202006写真はオオヨシキリ(2020.6)※本文とは関係ありません。

 

 M01は「赤い実」といってもピラカンサ、マユミ、グミといった日本の野鳥の好む、赤い実ではありません。寺尾紗穂さんが版画家・奥山義人の代表作「珈琲版画」の映像化作品「版画珈琲物語」(DVD)のサウンドトラックとして作成したアルバム『版画珈琲物語オリジナル・サウンドトラック』からの1曲ということで、コーヒーの実でしょう。コーヒーの実と鳥というと、ジャクー・コーヒー――ブラジルのジャクーという鳥の糞から採取した豆を用いる高級コーヒー――が有名ですが、寺尾さんの軽やかなピアノ曲を聴いて、そんなよもやま話でも思いつきつつ音楽に身を委ね野鳥に思いを馳せて、本プレイリストは始まります。

 M03は、ザ・ビートルズ。当ブログのシリーズ「Birders' Songs」では「ノルウェーの森(Norwegian Wood)」を紹介しましたが、ビートルズの鳥曲といえばすぐに思いつくのは「And Your Bird Can Sing 」とこの曲「Free As A Bird」でしょう。ジョン・レノンの未完作を他の三人の手で完成させ、『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』の目玉として1995年に発表。当時わたしは高校生だったので、ニュースに大々的に報道されていたのをよく覚えています。わたし自身が好んで聴いていた、アメリカン・オルタナティヴやブリット・ポップといった90年代当時のロック・ミュージックが地上波で取り上げられることは殆どなかったので、ビートルズのポピュラリティを思い知った出来事でした。

 M05、作家や画家としても、目覚ましい活躍をされている坂口恭平さん。1978年生でわたしは同年齢ということもあって以前からとても気になる方だったのですが、音楽をやられていることはつい最近知りました。今回のプレイリストのタイトルは本曲の歌詞の一部から。コーラスとしてM01の 寺尾紗穂さんも参加されています。本曲も含めアルバム『アポロン』(2018)には、わたしの聴く限りで3曲、歌詞のなかで鳥が歌われていて、シンプルでアコースティックな構成も素晴らしくそして愉しく、日々の野鳥観察のお供にしたい楽曲たち。

 M06、M07では以前「鳥」を紹介した折坂悠太さんには「鶫(つぐみ)」という歌が、Penguin Cafe OrchestraからPenguin Cafeと、編成やバンド名が変わりつつも活動を続ける英国の楽団には、「Blue Jay」(アオカケス)という曲があるのをみつけました。カナダのMLBチーム「トロント・ブルージェイズ」の愛称となっているあの鳥です。

 M12、日本のバンド、ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)。以前「けもののなまえ」という、野鳥には言及のない曲をプレイリストに収録しましたが、彼らにも、“あの大きな鳥の巣に”という歌詞から始まる「000Big Bird000」という楽曲が。センシティブな感情を扱った歌詞で、決して明るい歌ではありませんが、人類の文化史のなかで、人々の様々な心情を託されてきた鳥たちの懐と、音楽家との交歓を感じられる名曲で、わたしは一層、ROTH BART BARONというバンドが好きになりました。

 

プレイリスト「2022.02_梢のはざまから( Best Songs for Birders Vol.1)」

※以下、選曲は全て、「演者/曲名」で表記しています。
※下記プレイリスト名のリンクをクリックすると、Amazonプライム会員の方は、Amazon Musicで聴くことができます。

2022.02_梢のはざまから( Best Songs for Birders Vol.1)」(選曲:ソト

M01. 寺尾紗穂/赤い実
M02. 角銅真実/Ya Chaika
M03. The Beatles/Free As A Bird (Anthology 1 Version)
M04. Algernon Cadwallader/Parrot Flies
M05. 坂口恭平/春の亡霊
M06. 折坂悠太/鶫 (つぐみ)
M07. Penguin Cafe/Blue Jay
M08. Double Famous/я чайка (YA CHAIKA)
M09. 当真伊都子/Fantasia
M10. 森ゆに/An die Nachtigall/小夜啼鳥(ナイチンゲール)
M11. Fleet Foxes/Featherweight
M12. ROTH BART BARON/000Big Bird000
M13. PoPoyans/When the owl sleeps
M14. Johnny Cash/Great Speckled Bird

The Beatles - Free As A Bird - YouTube

 

Birders' Songs(バーダーのためのプレイリスト)」という記事シリーズは、今後も毎週月曜更新予定です。次回もお楽しみに!

 

【参考文献】

野鳥と木の実の関係については、叶内拓哉『野鳥と木の実ハンドブック』(文一総合出版)を、コーヒーと鳥、ジャクー・コーヒーについては、旦部幸博『珈琲の世界史』(講談社現代新書)を参考にさせていただきました。なお、『野鳥と木の実ハンドブック』についてはわたしの手許にあるのは2006年発行の原著(増補改訂前のもの)で、上記リンクは同著者により2021年に増補改訂版として上梓されたものです。

 

【Amazon Music オフィシャルサイト】
Amazon Music Prime
Amazon.co.jp: Amazon Music Unlimited

 

【当ブログの「Birders' Songs」および、音楽、野鳥観察についての記事一覧はこちら。】