ソトブログ

文化系バーダー・ブログ。映画と本、野鳥/自然観察。時々ガジェット。

ソトブログ

“まだらの大きな鳥(Great Specled Bird)”――Birders' Songs(バーダーのためのプレイリスト)011

 

この記事をシェアする

Birders-Songs-011 写真はヒヨドリ(2021.10)。※本文とは関係ありません。

 

本を読んで、ジョギングもランニングも趣味としていないわたしが、始めてもいないランニングの虜になりかけているように。

 

 外を歩いて、街や自然のなかの様々な場所で野鳥を探すレジャー/アクティビティ。それが野鳥観察、バードウォッチングだけれど、わたしのようにたった数年のキャリアでも、マンネリを感じることはあります。マンネリ=マンネリズムはマニエリスムが語源ですが、「オルタナティブな鳥見としての音楽鑑賞」、すなわち野鳥をテーマに取り入れたプレイリストをAmazon Music Primeで作り、愉しむ、この「Birders' Songs(バーダーのためのプレイリスト)」というシリーズも、11回目を数え、マニエリスム期を迎えてきたような気がします。

 

 私が取り組んでいるのは“ジョギング”と呼べるものではない。むしろ、精神と可能性の感覚を呼び起こすための“ランニング”の方法だ。この精神はさまざまなかたちで現れ、計画的なものもあれば、ごく自然に起こるものもある。たとえば、私はよくサンフランシスコのセントフランシス・ヨットハーバーから海岸沿いをゴールデンゲート・ブリッジまで走る。1000回やっても同じ体験はふたつとないランだ。この4マイル(約6.4キロ)の途中、海を見下ろす断崖で足を止め、前触れを探す。海に出ているどんな船が、どんな海の色が、どんな潮がきょうの意味を示してくれるのか?

マイク・スピーノ『ほんとうのランニング』(近藤隆文 訳、木星社)より。原題:“Beyond Jogging : The Innerspaces of Running”、原著1976年、日本語版2021年刊。

 

 今回のプレイリストについて:
 前半、Amazon MusicのわたしへのレコメンドをPCのキーボードの指を滑らせてなぞり、繋いだイヤフォンを流し聴いて繋げた5曲目までは、古今のカントリー・ミュージックがわたしの意図を超えて、並んでいきました。そこで御大、ジョニー・キャッシュの「Great Specled Birdという曲名がみつかり、「バーダーのためのプレイリスト」という面目を確保したと考えたわたしは、わたしの好みはありますが、できればわたしの耳の許容する範囲で、あらゆるジャンルを聴きたい、聴きながら歩きたい、走りたい。
 という思いがありますのでそこで流れを止めて、Amazon Ai氏からのお勧めを別方向から辿り直し、日本のSSW、青葉市子さんの、鳴禽の美しいさえずりがサンプリングされたアンビエントなインストゥルメンタルから、青葉さんの歌曲、マーキュリー・レヴ(こちらはマーゴ・プライスというカントリー・シンガーをfeat.した曲だったりしますが)、ピート・ヨーン&スカーレット・ヨハンソンといったインディー・ロック、フォークへ。
 MCUでブラック・ウィドウを演じるスカヨハが音楽ではインディー・ロックという事実にも興趣が尽きないのですが、加瀬亮の語り(英語)を中央に据え、子どもたちのお喋りや鍵盤、パーカッション、水音など、飽きさせないエクスペリメンタル・トラック、OLAibi「seed feat. 加瀬亮&高木正勝から続くラスト2曲はヒップホップ、R&Bへ。現代のシンガーながらビートを除いてはややオールド・スクールというか、90年代風にも聴こえるジャスティン・スカイ「Maybeで終わるプレイリストを聴きながら――たとえばその日は、少し遠くの探鳥地へクルマを走らせてカーステレオで流しながら、今日はどんな鳥に出逢えるのかと思いを馳せる休日の朝。

 

 先に引用した文章は、昨日から偶々読み始めたマイク・スピーノ『ほんとうのランニング』“Beyond Jogging : The Innerspaces of Running”という本から。アメリカで50年前に上梓された、「マインドフル・ランニングの名著」という惹句に文字通り惹かれ、ジョギングもランニングもホビーとしていないわたしでさえ、早くも始めてもいないランニングの虜になりかけているように、このわたしのテキストを読み、プレイリストを聴いたあなたがバーダーではなくても、わたしがいま書いたような休日を思い浮かべ、鳥見を始めたい。と思ったのなら、わたしはどんなにか、嬉しいでしょう。そんなことが起こらなかったとしても、わたしはこれら美しい音楽をこの世界に産み落としたアーティストたちに敬意を払いつつ、この一週間を愉しみたいと思っています。

 

プレイリスト「2022.01_Great Specled Bird」

※以下、選曲は全て、「演者/曲名」で表記しています。
※プレイリストのリンクをクリックすると、Amazonプライム会員の方は、Amazon Musicで聴くことができます。

 2022.01_Great Specled Bird」(選曲:ソト

M01. Heartless Bastards/Marathon
M02. First Aid Kit/ My Silver Lining
M03. Johnny Cash/Great Speckled Bird
M04. Emmylou Harris & Rodney Crowell/Higher Mountains
M05. Tift Merritt/Traveling Alone
M06. 青葉市子/Parfum d'étoiles
M07. 青葉市子/Porcelain
M08. Mercury Rev/Sermon (feat. Margo Price)
M09. Pete Yorn & Scarlett Johansson/Search Your Heart
M10. Aimee Mann/Nothing Is Good Enough (Music from the Motion Picture "Magnolia")
M11. OLAibi/seed feat. 加瀬亮&高木正勝
M12. Omar Apollo/Hit Me Up
M13. Justine Skye/Maybe

Ichiko Aoba - Porcelain (Official Music Video) - YouTube

 

 今回のMVは、M07の 青葉市子「Porcelain。ごく一部を除いて初めて聴いた曲ばかりを並べた今回のプレイリストのなかで、これは大友良英さんのラジオ番組を通して一聴したことがあったもの。奄美大島の自然のなかで撮影されたという映像を観ながら聴くと、より鳥見にもふさわしい音楽だと感じられ――歌詞には潮の満ち引きやハナゴンドウが歌われたり、MVも海、水のイメージが頻出するので、水鳥たちがふさわしいかもしれません――、こういう形でプレイリストとして聴くのもいいな、と思えました。

 

【Amazon Music オフィシャルサイト】
Amazon Music Prime
Amazon.co.jp: Amazon Music Unlimited

 

【当ブログの「Birders' Songs」および、音楽、野鳥観察についての記事一覧はこちら。】