ソトブログ

文化系バーダー・ブログ。映画と本、野鳥/自然観察。時々ガジェット。

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地元の低山に登り、カフェで映画談義――。日常を描いた小説集『踊る回る鳥みたいに』、リアル店舗展開中です。【書店以外編】

「そういう声に、みんなもっと従うべきなんですよ」
 とわたしはいった。聞いていたハジメちゃんとしおりさんがどういう反応をするか、わたしは会話の先を想像しないわけではないが、当たったことはない。ハジメちゃんは、
「でも結局はそれ、自分なんでしょ?」
 といった。「侑ちゃんは人に興味があるように見えて、本当は自分にだけ興味があるんだよね」
「そうだっけ。それって、」
「悪口じゃないよ。そういうところがわたしは楽だったんだよ」
「わたしはでも、いつもそんな感じだよ」としおりさんはいった。「絶えず自分の心や身体と対話してる」
「ああー、お姉ちゃん」とハジメちゃんはいった。どういうニュアンスの詠嘆なのか、姉妹ってそうだよな、と思った。お姉ちゃん(ハジメちゃんにとってのしおりさん)に対する予断がじゅうぶんにあり、お姉ちゃんがどういおうと、自分にとってのお姉ちゃんの範疇で処理できてしまう。それが本当のお姉ちゃんかどうかわからない。わたしと妹の関係もそうだよな、と思う。
 しおりさんのマッサージのあと、いつものカフェでお茶していたらハジメちゃんがひとりで入ってきて、誰かと待ち合わせというのではなくハジメちゃんもただお茶しに来たようで、わたしたちのテーブルに座った。
「あれ、ハジメもここの餡蜜好きだったの?」
「餡蜜? わたしそれ食べたことない」
「うそー。ここへ来て餡蜜頼まなかったことないですよね?」
「ねぇ」
「そんなに?」
「そんなに」


津森ソト『踊る回る鳥みたいに』(Soto Refireshment Books、2022年)より

 

Kindle Direct Publishingで出版した拙著を、リアルで売りたい、その理由。

 

 わたしの実家である佐賀県、そして現在暮らしている和歌山県――明記はしていないものの両者をモデルにした地方都市で暮らす、30代の女性の日常を描いた小説集『踊る回る鳥みたいに』。
 本書は、Amazonの、書籍をオンデマンド出版できるサーヴィス「Kindle Direct Publishing(KDP)」利用して、出版したものです。それを、AmazonやSTORESといったECサイトだけでなく、現実の場所、リアルな店舗で手に取っていただけたら――。

 そんなふうに思い至ったのは、上述の通り本書がわたし自身が暮らす街の、わたし自身の日常に根ざした物語であること、30代後半から40代半ばの現在までにわたしの生活実感を多分に反映して書いたものであること:だとしたら、オンラインという方法だけではなく、受け手(読者)をより身近に感じられる方法で販売するべきではないか、いや、「べき」というより、
「そうしたいのだ。」と願ったからです。

 

野鳥/映画/登山/アロマテラピー/そして日常――そんな小説集『踊る回る鳥みたいに』、リアル店舗展開中です。【書店編】 - ソトブログ

 

 先には上記の記事の通り、本書をお取り扱い下さっているリアル「書店」さん、3つの店舗を紹介させていただきましたが、今回は、書店以外のお店、喫茶(カフェ)とアウトドアショップ、という、毛色の異なる2つのお店です。

 

<紀南>上富田町「喫茶山猫」

【喫茶山猫】Instagram:https://www.instagram.com/yamanecocco/

 

 和歌山県紀南の最大都市(といっても人口7万弱ですが)、田辺市のお隣、上富田町にある喫茶/カフェ。田辺市に隣接した上富田町の高台、「南紀の台」の住宅街に、隠れ家のように佇む、けれどグリーンの外壁と、猫のイラストのサイン灯がひときわ存在感を放つ「喫茶山猫」さん。店主は紀南、いえ県内でも随一のベースレス・ポップ・トリオ、「メトロロ」(公式Instagram)のソングライター/シンガー/ギタリストでもあるアニさん。

 十数年前にわたしがイベントでDJなどをやらせていただいていた際に、ご一緒する機会があった頃からの旧知ではあるのですが、当時から、歳だけは少し年長のわたしから見ても仰ぎ見る存在というか、とりわけ物語的/幻想的/神話的ともいえる歌詞世界には、日常の延長の地べた、半径2、3メートルのことばでしか文章を綴ることのできないわたしにとっては――、憧憬に近い気持ちを抱き続けてきた方です。

 そんなアニさんが、今年(2022年)2月にオープンされたという素敵な喫茶店が、「喫茶山猫」です。おいしい日替わりランチにコーヒー、手作りケーキ。そしてアニさんの蔵書による本棚、オンライン書店『瑞花堂書店』さん選書による本や、様々な作家の方の雑貨の販売など。それら全てが、違和感なく調和することで、「喫茶山猫」という小宇宙・空間の居心地のよさを作り出している、そんなお店です。
 わたしの本が、そんなミクロコスモスの邪魔にならなければと思いつつも、こちらでは未知の方に手に取ってご購入下さる機会がすでに何度かあり、たいへん有難く思っています。

 

店舗情報:喫茶山猫Instagram
和歌山県上富田町南紀の台5-39
Open:9:00-17:00(日曜定休)
※その他店休日、イベント開催等詳細は喫茶山猫さんのInstagramをご確認下さい。

 

<紀南>田辺市「STOCK OUTDOOR(ストック アウトドア)」

【STOCK OUTDOOR】Webショップ:https://stockoutdoor.theshop.jp/

 

 数年前から日本野鳥の会に所属し、野鳥観察を始めとしたアウトドアに親しんでいたつもりの不肖・わたしですが、田辺市、あるいは紀南のアウトドア・アクティビティの拠点/発信基地ともいえる存在のこの「STOCK OUTDOOR」さんを昨年(2021年)まで知らなかったのは、無知蒙昧の謗りを受けても仕方がない、――それくらいのスポットだと感じています。

 話を急ぎすぎました。店主は新田浩司さん。豊富な知識と、ネイチャーガイドの資格等も持たれ、様々なアウトドア・イベントの企画や地元情報誌への寄稿など、八面六臂の活躍をされながら、柔らかな物腰と優しい語り口で、訪れるお客さん、地元アウトドアラーからも愛される存在。わたしの初歩的な質問にも、いつも丁寧に答えて下さいます。今年の春、拙著『踊る回る鳥みたいに』の宣伝フライヤーを作成したときにも、快く置いて下さり、それからわたしがいくつかの店舗で本を扱っていただけるようになって、

「やっぱり、山のこと、鳥のこと、自然のことを書いているこの本を、ストックさんにも置いて欲しい!」

 と思いお声がけしたときにも、引き受けて下さいました。一見おっとりした語り口、風貌からは想像できないくらい、野心的な試みを続けられている新田さん/「STOCK OUTDOOR」さん。そんなお店に本書を扱って下さっていること、本当に僭越ながら、感謝。こちらでも本書が、<新田的ストック世界>にどれくらい馴染んでいるか心許ないのですが、「アウトドア好き、山好きや鳥好きで、しかも小説が好き」と言う方がいらっしゃいましたら、ぜひ、こちらで手に取っていただけたら嬉しく思います。

 

店舗情報:STOCK OUTDOOR(ストック アウトドア)WebショップInstagram
和歌山県田辺市下万呂577-1 サンフェストプラザ1F
Open:11:00 -19:00(火曜定休)
※その他店休日、イベント開催等STOCK OUTDOORのWebショップ、Instagram等をご確認下さい。

 

和歌山・紀南にお越しの際はぜひ、上記のお店へ!

 

 リアル店舗での販売は、すべて、<野鳥文学>の目線で文学作品を紹介するミニ・エッセイ「<野鳥文学>の世界へようこそ」とその表紙代わりの野鳥写真ポストカードを付録として、850円(税込)で販売しています。どうぞよろしくお願いします。
 また、同ヴァージョンはわたし自身のオリジナル・ストア「Soto Refreshment Books」(STORES)でも通販していますが、こちらは850円+送料150円となります。和歌山にお越しの際はぜひ、リアル店舗で実物を見て、お買い上げいただきますようお願いします。どちらも個性的で素敵な書店さんばかりです。

 

Amazonでの販売はこちら(ペーパーバック書籍:750円、電子書籍:250円)。電子書籍版はKindle Unlimited対象タイトルです。

 

【以前の記事から:書店での取り扱いはこちら。】

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オシドリとニュウナイスズメ――あるいは見られずに探しているあいだがいちばんワクワクする、探鳥の不思議。

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「まだ見ぬ鳥がたくさんいる」という愉しみ。

 

小学生の息子とともにバードウォッチングを始めて2年余り。県内や近場での鳥見が多く、珍鳥を求めてさあ遠征!ということがなかなか難しいなかでも、そして全くの無知から始めたわたしたち親子であっても、100種以上の野鳥を見て、写真に収めることができています。そんななかでもなかなか見ることが叶わない(叶わなかった)鳥たちもいて、わたしたちにとってはオシドリがそう。オシドリというと、「おしどり夫婦」という言葉があるように一般にもその名前はよく知られていて、カモ類のなかでも鮮やかな外観から人気の高い鳥であって、西日本では漂鳥で、ここ和歌山でも冬季には必ず飛来しているはずなので、そのうちに見られるだろうと思いつつもなかなか見られないでいました。

 

そういう「見たい鳥」のリストが息子のアタマのなかには常にインプットされていて、ヴェテラン・バーダーに薫陶を受けることのできる探鳥会や自然観察会などの機会には、そういった鳥が「どこで見られるか」をいつでも訊ねてまわっています。オシドリについてもこれまで色々な飛来場所を伺っていたのですが、先日、その場所のひとつである、和歌山県日高川町の「椿山ダム」を訪れてみることにしました。

 

日高川町というと、広いひろい紀伊半島、和歌山県の中央部、中紀地域の山間部にあたる場所。さらに南の紀南に住むわたしたちはまず、椿山ダムの下流、御坊市にある日高川の河口とその隣り町、美浜町の田園地帯、和田不毛に向かいました。

 

日高川河口でウォーミングアップ。

 

日高川は毎年冬、全国一斉に行われる「ガンカモ類の生息調査」でも調査対象になっていて、今年1月に調査に併せて開催された探鳥会には、息子も参加して(わたしは仕事の都合で行けなかった)たくさんのカモ類のほか、和歌山では他ではあまり見られないナベヅルの群れなどもここで見ています。

 

この日もヒドリガモやマガモ、カルガモ、オオバンなどの水鳥たちがたくさん見られたり、河川敷では冬鳥としてやって来たばかりのジョウビタキが飛び交っていたりと、珍しいものはいませんでしたがまずまずのウォーミング・アップ。

 

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マガモ(日高川河口付近にて)

 

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ジョウビタキ(日高川河口付近にて)

 

和田不毛で思わぬ出逢い(も息子は想定済み)。

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和田不毛(わだぶけ)は上記の通り、以前にもこの「ソトブログ」で紹介した農耕地であり探鳥地で、春・秋のシギ・チドリ類をはじめ様々な野鳥が見られるようです。わたしたちもこの春訪れた際、ムナグロ、オオヨシキリなどに出逢うことができました。今回も農道を、農作業の邪魔にならないように歩いてみることにしました。和歌山県は広い面積のほとんどが山地で、わずかに拓けた海沿いの平地に、見渡すかぎりに拡がる農耕地というのは、意外と少なく、また、ふだんはクルマ移動がほとんどなので、こうして改めて歩いてみる、というのはそれだけで心地の良いもの。というのはしかし、バードウォッチングを始めるまでなかなか気づけないでいました(わたしの場合)。

 

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ケリ(和田不毛にて)

 

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タヒバリ(和田不毛にて) 

 

途中、地元高校の生物部と思われる若いバーダーたちに挨拶をしつつ、スズメやカラス、ハクセキレイにケリ。といったいつもの鳥たちを眺めて(タヒバリもいました)歩いていると――、「あれ、ニュウナイスズメやッ。」と息子の声。畑の上の電線に数羽で留まっているスズメがそうだというのですが、ニュウナイスズメは、「日本にいる2種のスズメのうちの珍しいほう」という程度がわたしの認識で、これまで実際に見たことがなかったのでわたしには遠目では違いがわかりません。息子も初めてなのですが、ここ和田不毛にはいる、という情報を仕入れていたようで、「違いはあとで説明するからッ。」といってカメラを構えてそっと近づいていきます。

 

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ニュウナイスズメ(和田不毛にて)。この写真だと電線が頬に被ってわかりにくいのですが――、

 

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頬に黒い点がありません。スズメの場合は下の写真のように、

 

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スズメ(和田不毛にて)。頬に黒い点。知らないと騙し絵のようですが、確かにこちらが、野鳥に興味を持つ以前から知っていたスズメ。という感じがします。

 

――写真はメスだと思うのですが、よく見るとスズメに特徴的な、頬の黒点がありません。鳴き声も、スズメと同じような「チュン、チュン」なのですが、でもちょっと違う。こんなことも、野鳥に興味がなければまったく見逃してしまうことですが、こうしたディテールを読む面白さは、元来インドア派のわたしにとっての、文学の修辞や文体、「てにをは」や人称の選択へのこだわり、といった愉しみ方に通じるものがあります。

 

オシドリを求めて日高川を遡上!

 

昼食を、息子とこの街に来るといつも行く、ラーメンで済ませたあと、本日のメインターゲット、オシドリを求めて日高川を上流へ向けて、紀伊半島の山間部、日高川町初湯川の椿山ダムへ向けて走ります。美浜町〜御坊市の市街地からダムまでは約30km、クルマで30〜40分程度、その間およそずっと、日高川に沿って登っていくことになるのですが、残り5kmに差し掛かったところで、助手席の息子の眼が、今度は水面の鳥影を捉えました。

 

「オシドリおったッ!」

 

――本当にいつもこんな調子で、息子とともに始めたわたしの鳥見ライフは、今のところこの「眼」なしには成り立ちません。山あいの細道のため、いったん通り過ぎてUターン、通行車両の邪魔にならないところにクルマを停めて、二人で先ほどの「地点」まで走っていくと、やはりいました。作りものめいた派手な色彩のカモ類。オシドリに間違いありません。聞いていたオシドリの特徴らしく、車道から対岸の木陰に数羽、佇んでいます。第一発見者の息子に写真を撮らせるため、息子のカメラより倍率の高い、わたしのNikon P900を息子に渡して数枚。

 

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初めてのオシドリ(日高川にて)。カモ類のなかでも警戒心が強い鳥らしく、近づいて撮ることは叶いませんでしたが、自分たちで撮った写真で作る「My図鑑」にまた一種加えることができました。

 

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そして息子は自分のカメラでも撮りたいといって、クルマに置いてきたカメラを取りに戻ります。息子からP900を受け取ったわたしがほんの気持ち程度、近づいてシャッターを切ろうとするそのとき。視界の左端から、より多く、30〜40羽程度のオレンジ色の塊が飛び込んで来るのがわかります。近くの木陰に仲間がいたらしく、数十〜数百メートル離れたところの、こちら岸の木陰に飛んでいったよう。とりあえず近くに残った数羽をなんとかカメラに収めて、息子が戻るのを待って、群れが降りたあたりまで歩いてみると、またも視界の隅から群れが飛翔して、遠くまで去っていきました。

 

行っちゃったね。まあ、撮れたからいいか。と言い合って、一応。と、当初の目的地であった椿山ダムへ。こちらにはオシドリはおらず、おやつ代わりに持参した菓子パンをダム湖の駐車場(近くに吊り橋と、有名なヤッホー(山びこ)ポイントがある)のベンチで食べて、ささやかな満足感を抱えて家路に就いたのでした。「――野鳥ってさ、まだ一度も見られていない、どこにいるの? あそこにいるらしい、見たい、見たい! と思って探し求めているときが、いちばんドキドキするよな。」

 

日本鳥類目録 改訂第7版』(日本鳥学会)に収録されている日本の野鳥は全633種。その全てを見ることは、おそらく個人には難しいのでしょうが、これから200、300と見ていくことができれば、また違った地平が見えてくるのか、わたしの好きな文学や映画の大海と同じように、泳ぎ、こだわり、愉しみ続けていきたいものです。

 

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オシドリ(奈良市・水上池にて)

 

オシドリは後日、こちらも探鳥地として知られる奈良市は平城宮跡の近く、水上池でも見ることができました。奈良市内でも最も大きく、古いと言われる巨大なため池である水上池を歩いていると、幾人ものバーダーの方々が、カメラや双眼鏡を構えていらっしゃいました。ここでも何人かの方にお話を伺うことができ、これからの探鳥に生かしていくことができそうです。こんなふうに現場をクエストして、新たな情報・知識を得ていくことも、鳥見ライフの密かな愉しみ。

 

 

今回もフルに活躍した野鳥観察、自然観察の友=愛機、Nikonの高倍率コンデジ、Coolpix P900。ヴェテラン・バーダーの諸先輩方の多くはハイエンドな一眼レフに長大な望遠レンズという装備で、それはそれで憧れではあるのですが、2000mm相当の高望遠(83倍ズーム)、「鳥モード」で気軽に野鳥撮影ができるコンデジ、このP900が今は、欠かせません。バードウォッチングはお金をかけようと思えばいくらでも注ぎ込める(込めてしまえる)趣味なのは間違いないですが、そんなに身構えることなく、キラクに愉しめるものなんだよ、ということを教えてくれたカメラ。自然観察会などに参加すると同じ機種を使われている方も多く、頼もしい一台です。

 

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【当ブログの野鳥観察についての記事一覧はこちら。】

俺たちビッグ・ボーイズ――父と子のバードウォッチング・ライフ #001

 

メリル・ストリープ/アン・ハサウェイ共演のファッション業界を描いた女たちのバトル&お仕事コメディの大ヒット作、『プラダを着た悪魔』の監督であるデヴィット・フランケル監督には、バードウォッチングの世界に材を取った男たちのバトル&道楽コメディといっていい傑作『ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して』(2011)という映画があって、今回の記事のタイトルは、そこから。ただ、映画の邦題の「ビッグ・ボーイズ」というのは、原題にもなっている、北米で一年間に見た鳥の数を競う、“The Big Year”という競技名と、主人公たる3人の男たち、というところからかけたものだとは思うものの、ちょっと意味としてはとろけてしまっているところがある(3人のうちのひとり、巨漢コメディアン、ジャック・ブラックの体型にかなり寄りかかったタイトルかも知れない)と思うのですが、キャッチーなのでそのまま引用させていただきました。

 

ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して [DVD]

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私のプライヴェート・ライフで目下いちばんの関心事のひとつであって、愉しみである子どもたちとのバードウォッチングについて、これまで何度もこの「ソトブログ」でも触れてきましたが、結局いま、休みの日というと私は鳥見と、子どもたちとのキャッチボール、野球くらいしかしていないのだから、もっと気負わずに、それを綴ってみよう。というわけで、バードウォッチングの方法論や、探鳥地の紹介などについて大上段に構えて「紹介」「教示」するようなテキストではなくて(もともとそんな大層なことは出来ませんが)、たんに親子で鳥見を愉しむ日々の日記のようなものとして、書き続けていく、という形式で改めて、始めてみたいと思います。

 

こういう趣味、レジャーは何か、きっかけがないと始められないものですが、そういうものの一翼を、当ブログの記事が担うことが出来れば、などと(ちょっとだけ)願いつつ。

 

2019年5月某日(オオルリやクロツグミを求めて/原付きで走り去るバーダーおじさん/喧騒を避けてきたチュウシャクシギ、キョウジョシギ/真ん丸の瞳のイワツバメ)

 

AM

6時に起き、朝イチで市内にある、奇景で知られる峡谷、奇絶峡(きぜつきょう)付近の林道へ。オオルリやクロツグミといった夏の「歌う鳥」たちの、さえずりやその姿を見たくて。夜明けのコーラスを聞くにはちょっと遅かったけど、同じ市内とは思えない、寒いくらいの涼しさのなか、オオルリシジュウカラウグイスといった鳥たちの、美しい声のさえずりを聴く。歩いていると機材を抱えて原付で走るおじさんと出会う。彼もまたバーダーで、たくさん写真を見せてもらい、探鳥情報を教えていただく。近くで見たというヒクイナの写真に、息子が目を輝かせていた。このおじさんのカメラも、私と同じNikon Coolpix P900だった。バーダーや自然観察イベントで、P900使用者に出会うこと多し。

 

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この日歩いた奇絶峡の林道を初めて歩いたのは、この記事のときの自然観察会で。目の前の自然を、一つひとつ仔細に観察しながら歩く面白さ。

 

GW中で釣り客、キャンプや磯遊びなどを愉しむ家族連れ、グループなどで賑わういつも行く探鳥スポットを避けて、地元の川の、河口付近へ。ここは静か。小学生バーダーの長男とふたりで双眼鏡を構えていると、いた! 件のいつもの探鳥地、隣町にある“森の鼻”で最近見かける一羽のチュウシャクシギ。このチュウシャクシギも喧騒を避け、今日はここに来たのかも知れない。近くにはキョウジョシギメダイチドリも。こちらも森の鼻でもよく見かける。

 

PM

一羽きりのチュウシャクシギが波打ち際で屹立する。

 

 夕方から再び、某川河口へ。朝と同じチュウシャクシギ。チュウシャクシギのそばには、キョウジョシギの十数羽の群れ。コチドリの姿も。トビやカワウ、ツバメたちも飛んでいる。息子が「ミサゴが3羽も!」というので見上げて、夢中でシャッターを切って見てみると、カモメ類だった。この辺のカモメやセグロカモメもユリカモメもカモメなど、冬鳥なので、渡り遅れたものたちか。これから渡るのか。

 

キョウジョシギとメダイチドリ。旅鳥である様々なシギチ(シギ・チドリ類)類が見られる海岸の風景は、この季節ならでは。

 

少しだけ上流へ移動。橋の下で巣作りして、夕方にいつも乱舞しているイワツバメの群れが、この日は固まって地面に降り立ってくる。ほんの十数メートル先で、息子とふたり脅かさないようにそっとシャッターを切る。地面をしきりに嘴でつつく彼らの姿を、動画にも収める。真ん丸のつぶらな瞳のイワツバメの可愛さ。そのあと橋の下の巣も覗かせてもらう。巣立ち前の雛の姿も。橋の上からはキジ(オス)の姿も。警戒させてしまったみたいで茂みのなかに蹲っている。ちょっと申し訳ない気持ち。

 

いつもは不規則に乱舞するイワツバメの群れが、この日は目の前に降り立って、じっくり観察させてくれた。下記は同じ場面の動画。

 

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叢に身を潜めるキジのオス。

 

こちらは別の日に、別の場所で撮影したキジの番い。

 

2019年5月某日(小さな身体で目一杯、ドラミングしながら木登りするコゲラ/峡谷にこだまするオオルリの歌声)

 

午前中、市内の某神社へ。ここは九州にある私の実家のある街の神社から勧請されたとの記録があるらしくて、この街に住むようになって不思議な縁を感じた処。神社の森に、アオバズクとかキツツキ類とか、鳥たちが集まるのを期待して。しかして実際、コゲラの姿あり。他にエナガ、メジロ、ヒヨドリ、ツバメなど。ヤマガラやシジュウカラ、キジバトの囀りも。

 

クルクルと螺旋状に登りながらドラミング(木を突く)コゲラ。

 

上流へ移動して、奇絶峡へ。昨日朝の林道ではなく、景勝地としての奇絶峡のバス停のある付近から、川沿いを下流へ向けて歩く。昨日のおじさんから、カワガラスの情報を得て、巨石のあいだを縫うように流れる水面を眺めつつ歩いていると、上方から美しいオオルリの囀り。しばし立ち止まって林を眺めていると、時折、川を挟んで反対側の林へ飛び、そちらで囀ったかと思うと、元の木に戻ってまた囀る。息子と並んで双眼鏡を覗いて、何度かオオルリの美しい青い姿態を目にするも、写真には撮れず。それにしても美しい歌声は、市街地よりずっと涼しい峡谷に似つかわしい。

 

巨岩の転がる、奇絶峡のまさに奇景。

 

このなかのどこかのソングポストで、オオルリが歌っている。

 

撮影は全て、Nikonの高倍率ズームコンデジ(35mm換算2000mm相当、83倍ズーム)のCoolpix P900にて。全て補正なし、ノートリミング。長男とふたり、「ピク」(P900、なので)と呼んでいます。

 

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いつもの場所でいつもの鳥でも、カメラと「彼ら」の姿がそこにあれば、なんだかうれしい。(バードウォッチングの愉しみ)

 

 

「ただただ没頭する」時間そのもの。

 

趣味と言わずレジャーと言わず、どんな領域/ジャンルにも突き詰められる“深さ”があって、追求する愉しみ、面白みがあることは言うまでもないことではありますが、一方で、その愉しみのさなかにあっては、「ただただ没頭する」時間そのものの充実こそが、そのジャンルに長く身を置く歓びの核にあるような気がしています。

 

私はそれほどお金にも時間にも余裕のないバーダー(バードウォッチング愛好家。もちろんまだまだ「駆け出し」です)ですが、息子とともに出掛ける探鳥は、それが近場であっても、遠出であっても、いつも掛け値なしに愉しくて、それが何故なのか、何が、どこかどう面白いのか、簡単に言葉にすることも出来なくはなさそうなのですが、それだけでは説明され尽くされない面白みを感じているからこそ、いつもと同じ場所でいつもと同じ鳥しか見られなかった、「ハズレ」と言えそうな日でも、愉しさは変わらないのだと思っています。

 

いつもの河川敷で見かけた、いつもと違う“白い”ドバトの群れ。

 

ある趣味に、レジャーに、ジャンルに、領域に身を置いてみることで、「今ここ」がそれまでと違って見える経験は、つまらなかったり行き詰まりや、時には「息の詰まる感じ」を味わうこともある日常に、“ある光”をもたらしてくれる(こともある)と思います。それは人によって、それぞれ何だっていいし、私にはこれまで、文学や映画がそういうものの代表としてある人生でした。

 

田舎に生まれ育ち、都会でも暮らして来て、アラフォーになって子どもたちと自然に触れる機会が増えて初めて、鳥を見たり草木を見たり、その名前を覚えたりすることの愉しさを味わうことが出来るようになって――、

 

春になると農耕地や開けた草地のそこかしこで、キジのペアが。

 

繁殖期である春になると農耕地や開けた草地のそこかしこで、キジのペアが見られます。(和歌山県田辺市)

 

例えばこんなふうに、日本の国鳥であるキジが、身近な田畑や河原で、日常的に見かけられるなんて、思いもしていなかった事実に、驚いています。

 

バードウォッチングを始めるきっかけになった、美しいブルーとオレンジの鳥、イソヒヨドリ。

 

美しいイソヒヨドリのオス。南方熊楠や植芝盛平の墓のある、高山寺(和歌山県田辺市)にて。

 

もう3年目になる小学生の長男とのバードウォッチングを始めるきっかけになった、この街では海辺や町中にもいる美しいブルーとオレンジの鳥、イソヒヨドリはやっぱり今でも大好きだし、

 

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河原で見かけるいつものヤツ、千鳥足のコチドリ。

 

 

いつも何となく土手を散歩したり、電車好きの次男と河川敷の橋の下から特急電車が通るのを見たりしながら、チドリ類のなかでも最もポピュラーな種のひとつ、コチドリの文字通り「千鳥足」を眺めてみるのも何だか嬉しい

 

“森の鼻”で強風に煽られながら食事に没頭する、ハマシギとメダイチドリを眺めるひととき。

 

強風のなか身を寄せ合うように、アオサを食むハマシギの群れ。シギチ類が多く飛来する“森の鼻”(和歌山県みなべ町)にて。

 

ハマシギの近くでは、メダイチドリたちも同じように、強い風にもめげず闊歩していました(「千鳥足」で)。 

 

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隣町にある、地元バーダーに愛される探鳥地のひとつ、海辺の岩礁地帯、“森の鼻”に出かけて、吹き抜ける強風に身体とカメラを支えながら、こんなふうに小さなちいさな、メダイチドリや、ハマシギといったで春先の旅鳥であるシギチ類を見かけて、自分たちのカメラでその姿をファインダーやモニターで捉え、手のひらのなかの小さな鳥たちの図像=写真に収めた/押さえたときの小さな、けれど確かな歓び。

 

それがわずかでも、こうした拙い文章や写真で伝われば、と思いつつ。

 

 

なんだかうれしい

なんだかうれしい

 

 

今回の記事のタイトルは、今小学生の長男が定期購読している科学絵本雑誌、『たくさんのふしぎ』(福音館書店)の、私が大学生のときに出合って初めて購入した号のタイトルから、引用させていただきました。 上記のリンクはそれを書籍化したもの。

 

www.fukuinkan.co.jp

 

カメラはいつものように、Nikonの超倍率ズーム機、Coolpix P900。最近若干見た目にこだわって、レンズフードを新調してみました(おそらく高倍率ズームで実用性に乏しいため、レンズフードは本機自体には付属していません)。

 

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【当ブログの野鳥観察についての記事一覧はこちら。】

ソト家の今月の探鳥地――和歌山・紀中地域の和田不毛と阿尾湿地でシギチ、オオヨシキリ。(2019年4月)

 

 

10連休と言われる今年(2019年)のGWですが、私としては初めの3日間だけの休みになりそう――というわけで、遠出とかは出来なさそうなので、近場にある、初めての場所に探鳥に繰り出してみました。いつものように小学生の長男と、幼稚園に通い始めた次男を連れて。

 

バードウォッチングは私の嗜好で始めたのではなくて、自然観察教室に通う長男が興味を持って、私たち父子の共通の趣味になったもの。今回行くことにした、和歌山県は紀中地域の探鳥地として知られる和田不毛と阿尾湿地も、長男が調べて行きたいと言いました。

 

和田不毛(和歌山県美浜町)

(財)日本野鳥の会和歌山県支部 今月の探鳥地 和田不毛
和田不毛/御坊市ホームページ

 

和歌山県、紀伊半島西岸の、中央あたり、すなわち「紀中」に位置する美浜町と日高町にまたがる水田地帯、通称「和田不毛」(わだぶけ)は、四季を通じて様々な鳥が見られる処として県下のバーダーには知られています。いまの季節なら、旅鳥であるシギチ(シギ・チドリ類)が見られるのでは、と期待して訪れてみました。

 

農耕地ですから、GWとはいえ農家の方々は熱心に作業をされているところ。邪魔にならないように気をつけながら、見渡すかぎり拡がる田畑に目を凝らしていると、休耕地らしきヨシ原から、長男とふたり、これまで何度か目にする機会がありながら、その姿をカメラで捉えることができなかった、「ギョギョシ、ギョギョシ」とも表現される特徴的な大きな鳴き声の鳥を見つけました。

 

オオヨシキリ

 

――今回の記事のアイキャッチも挙げた、オオヨシキリです。全長18cmほどの小さな体躯から、どうしてこんなふうに喧しい、いや賑やかな声を出せるのかと驚くばかりですが、だからこそ、ヨシの間を飛び回りなかなか姿を捉えることが出来なくても、その声でその存在を知ることができます。とはいえ、野鳥に興味を持っていなかった頃にはその声も、私には鳥とすら思えず、虫とかカエルくらいに思っていたかもしれません。識っていること/識らないことによって、世界はそんなふうに違って見える。

 

 

和田不毛ではこの他、旅鳥としてのシギチの代表格のひとつ、ムナグロの姿も初めて目にすることが出来ました。また、息子は何度か撮影していたケリも、私は初めて、愛機Nikon P900で収められました。

 

ムナグロ

図鑑に「群れで行動するが、食べるときにはばらばらに動きまわる」(『ヤマケイ文庫 くらべてわかる野鳥 文庫版』より)とあるとおり、この日目にした二羽も行動を共にする、というよりめいめい好き勝手に歩き回っているようでした。

 

 ケリ

 

阿尾湿地(和歌山県日高町) 

煙樹海岸県立自然公園 | 和歌山県
(財)日本野鳥の会和歌山県支部 今月の探鳥地 阿尾不毛

 

美浜町の隣町、日高町のこちらも海岸線に位置する汽水性の湿原、「阿尾(あお)湿地」も、「阿尾不毛」と呼ばれていた処で、約14万㎡と広大な湿地帯ですが、数年前に野鳥観察小屋や遊歩道が整備されたそうで、駐車スペースもあるなど私たちのようなビギナー・バーダーにとっては気軽に訪れやすい場所と言えそうです。

 

 

本当にだだっ広い、有り体にいって広大な湿地と草木の他何もない場所で、アトラクティブで目を惹く観光地、とはいえないスポットであって、私もバードウォッチングに関心を持たなければ訪れることがなかったかも知れません。事実、10年以上和歌山の地で暮らしていながら、今回初めてこの阿尾湿地のことを知り得たくらいです。けれどこの日は、私たちが車で着いてみると、サイクリングの二人組がいらっしゃったり、そばの県道ではツーリングのバイクが行き交っていたり、鳥に興味がなくても、そんなふうにナチュラルに、自然を愉しみながら眺めたり、通り過ぎたりするだけでも、「ここにこんな場所があって良かった」と思える処であるようにも思えました。実際行ってみると、蚊が多かったり、天候・気候にも過ごしやすさが左右されやすい場所でもあるかとは思いますが、何事もない休日や、忙しい合間に訪れたい。そんなスポットに、(私には)なりました。

 

肝心の鳥の方は、広大な湿地の向こうの、遠くの方にカモ類が泳いでいたり、アオサギやダイサギといったお馴染みの水鳥たちがいるものの、「今日はハズレかな?」と思っていると、私からすると「超絶的に目の良い」長男がまたしても、見つけました。遠く数百メートルの向こう岸に、私たちには馴染みのないシギチ類がいるようです。

 

アオアシシギ(?)

 

かなり距離があったのと、天候も曇りがちで自慢の愛機、2000mm相当、83倍ズームのNikon P900でも鮮明に捉えることが出来なかったので、あまり自信はありませんが、おそらくアオアシシギではないかと長男と考えています。ヴェテラン・バーダーの方にご教示頂けるととても嬉しいです。

 

トウネン(?)

 

こちらもかなりぼんやりした写真ですが、こちらはトウネンで間違いないかな? と思っています。トウネンも初めて目にすることができました。

 

「ただ鳥を見る」、バードウォッチングというレジャーの持つ魅力。

 

私たち父子にとっては短いGWになってしまいましたが、今回の鳥見行は、初めての出合いもたくさんあり、新たな探鳥地も開拓することが出来た愉快で悦ばしい一日になりました。こんな日々の積み重ねで、鳥見ライフを充実していくことが出来たら、これ以上の歓びはありません。「ただ鳥を見る」、バードウォッチングというレジャーの持つ、そんなふうに思える魅力に心を捉えられている、そんな今日この頃です。

 

本日見られた鳥たち

和田不毛

ムナグロ/ケリ/スズメ/キジバト/キジ/オオヨシキリ/ハシボソガラス/カルガモ

 

阿尾湿地

トウネン?/ウグイス(声)/スズメ/ダイサギ/アオサギ/アオアシシギ?/コガモ/カルガモ/マガモ/ハシブトガラス/ハシボソガラス

 

 

ヤマケイ文庫 くらべてわかる野鳥 文庫版

ヤマケイ文庫 くらべてわかる野鳥 文庫版

 

何度かこちらで紹介している野鳥図鑑のひとつ。他に優れた図鑑もたくさんありますが、こちらはKindle版があって、スマホをポケットに忍ばせていれば、すぐに調べたり、確認出来るところが重宝しています。

 

既に発売から4年以上経過したモデルであって、後継機のP1000よりもスペックでは劣りますが、P1000と比較してコンパクトな筐体に、2000mm相当、83倍ズームを誇るレンズ一体型の、これでもコンデジ。探鳥会や自然観察会に行くと愛用している方も(本当に)多いモデル。私は数ヶ月前に最近購入したくらいで、今でも全然使える、自然観察/野鳥観察用途の名機だと思います。

  

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この日々を歌い交わす――新宮市熊野川町で、オオルリのさえずりを聴く。

 

春から急に仕事が忙しくなって、この「ソトブログ」を書くことはおろか、帰宅後にPC(Chromebook ASUS C202SA)を開くこともできないでいたのでしばらくぶりの更新になりますが、「あえて気負ったり込み入ったことを書かなくてもいいじゃないか。少しの時間があれば、自分の愉しみのために書きたいことを書けばいいじゃないか。」と今日は思えたので、書いてみることにします。

 

本日、2019年4月21日の日曜日の朝から、7時半に長男とふたり自宅を出て、新宮市熊野川町の峡谷で行われた探鳥会に参加しました。

 

 

あの素晴らしい歌声を二度、三度。――日本三鳴鳥の一、オオルリの囀りに聴き惚れた日。

 

紀伊山地の山あいの自然のなかでの探鳥会であって、レディメイドなイベント、アトラクションと違って予定調和とはいかないというか、めあての鳥に出合えるとは限らないのですが、今日は歩き始めてすぐに、双眼鏡で青く小さな目標を捉えた息子が、

 

「あそこにオオルリがおるっ。」

 

と声を上げて、その瞬間にそれから午前中いっぱいの数時間の充実が保証されたような気がしました。

 

息子の撮ったオオルリ、枝かぶりを物ともせず捉えた彼の「ベストショット」。

 

歩きながら大自然のウォール・オブ・サウンドというか、様々な種類の鳥たちの囀(さえず)り、地鳴きが響き渡ります。霊験あらたかな熊野の山々のなかの鳴き交わしですから、なかなかそのなかで、歌い手である鳥たちの姿を見つけることは叶わなかったのですが、今回ここに上げているように、飛び交いながら、木々の枝のあいだで、てっぺんで、彼らそれぞれのソングポスト(鳥たちが歌うときにいつも止まる、お気に入りの場所)なのか、そのとき偶々停まった処なのかはわかりませんが、オオルリたちの歌う姿は何度か、捉えることができました。

 

 


オオルリのさえずり。

 

他にも、私や息子が全ての鳥たちの声を聴き分けられたわけではありませんが、ヴェテラン・バーダーの方々との「鳥合わせ」では、本日は――、

 

オオルリ、
カケス、
ヤマガラ、
ミソサザイ、
コガラ、
ヒヨドリ、
カワガラス、
ウグイス、
トビ、
コゲラ、
メジロ、
ハシブトガラス、
ハシボソガラス、
アオゲラ、
キセキレイ、
コジュケイ、
アオバト、
セグロセキレイ、
ヤブサメ、
カワラヒワ、
コマドリ、
クロツグミ、
コサギ、
シジュウカラ、

 

と、24種類の鳥たちの鳴き声が聴かれ、そのなかのいくつかの鳥たちの姿が見られたのです。私たち探鳥会に参加した20名弱にとっては、そのこと自体が恩寵といってもいい出来事であり、時間だったのだと思っています。私たちに見られることは彼らには必要な事態ではありませんが、それを見て、聴く私たちはそれを美しく、嬉しく、愉しいものだと感じる。この関係性こそが、バードウォッチングの魅力だと思うのです。

 

 

この日々を歌い交わす---アナレクタ2 (アナレクタ 2)

この日々を歌い交わす---アナレクタ2 (アナレクタ 2)

 

 (今回の記事タイトルは、本書から拝借させていただきました。)

 

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“森の鼻”でクロサギ、シロチドリ。“天神崎”でトビの井戸端会議。

 

遠出しない休日も、外を歩けば鳥がいるだけで愉しい。

 

小学生の息子との自然観察、バードウォッチングをたびたび紹介してきた当「ソトブログ」ですが、小学1年生だった長男と始めた野鳥観察はそろそろ2年近くになり、野鳥の会などの開催する探鳥会に参加するだけでなく、息子と二人、時にはまだ3歳の次男も加えて、休みになるとカメラを携えて地元の自然のなかに繰り出すことも多くなりました。

 

ヴェテランたち、大先輩方に色々なことを教えてもらうことのできる探鳥会などで仕入れた情報をもとに、こちら和歌山、南紀地方の探鳥スポットに、まだ見ぬ、あるいはまだ写真にその姿を収めていない鳥たちを探すのが、今は愉しくて仕方がありません。

 

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相棒は先日購入した、Nikonの超倍率ズーム機、Coolpix P900。正直にいってカメラや撮影については特別な知識も技術も持ち合わせていませんが、そんな私でも簡単に野鳥撮影ができる“鳥モード“を搭載した本機は、野鳥観察の愉しみを拡げてくれた、私にとっては「名機」。後継機の3000mm相当、125倍ズーム機のCoolpix P1000と合わせ、バーダーたちの支持も厚い機種です(実際、この両機は探鳥会や自然観察会でもよくお見かけします。)

 

Nikon デジタルカメラ COOLPIX P1000 ブラック クールピクス P1000BK

Nikon デジタルカメラ COOLPIX P1000 ブラック クールピクス P1000BK

 

 

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和歌山随一の探鳥地、“森の鼻”で見せつけられた息子の千里眼。 

 

先日は、というよりここしばらくは、週末になるというと、隣町のみなべ町、堺漁港のそばに拡がる岩礁地帯、地元で“森の鼻”と呼ばれている場所に出かけています。

 

 

こちらは和歌山県随一のシギ・チドリ類の渡来地として知られる場所。シギ・チドリ類、バーダーたちが「シギチ」と親しみを込めて呼ぶ水辺の鳥たちは、春・秋に日本に立ち寄る「旅鳥」が多く、彼らの季節はこれから、というところだと思うのですが、息子たちと、シロウトから始めて3年目を迎えたバードウォッチング・ライフも、今年は季節感と、探鳥スポットを意識して知識を深めつつ愉しんでいこう。というわけで、「見るべき時期に見られる鳥を見たい」な、ということを意識して観察できたらな、と思っています。

 

さてそんななか、先日の休日には、ぱっと見は今日は空振りかな、という感じで、岩礁で羽を休めるトビが何羽か見えるくらいだったのですが、何十メートル(数百メートルかも?)先の、岩礁の波打ち際に、小さなチドリが一羽、佇んでいるのをまさに“千里眼”の息子が見つけました。

 

 

肉眼と8倍の双眼鏡だけで、それを見つけた息子の場所から見た、等倍の写真を撮りそびれていて、上の写真でももう、かなり近づいたところなのですが、これでもまだ、(ピントが合っていないこともありますが)私にはかろうじて、「鳥、なのかな?」くらいにしか見えていません。

 

 

そして十数メートルくらいかな、というところまで近づいて、2000mm相当、83倍ズー厶のNikon P900でようやく撮れたのがこちら。おそらくシロチドリだと思うのですが、私も息子も初見、そして初めてカメラに収めることのできた鳥でした。

 

 

そのあと見かけることができたのが、こちら、一羽のクロサギ。海辺の街、そして海へ注ぐ河川の走る南紀の街で、ダイサギやコサギ、アオサギといったサギ類は日常的に見かけるわが街ですが、主に海辺で暮らすクロサギの姿はそれほど多くなく、こんなふうに近距離で撮影することができたのは初めてで、岩礁をあちらこちらと歩き回り、飛び回りながら餌を探すのを、邪魔しないようにそっと近づいて、撮らせていただきました。

 

天神崎でトビたちの“井戸端会議”? 

 

それから、わが街に戻って、以前当ブログで、今冬、近畿地方では珍鳥といえるコクガンが飛来したことを紹介した和歌山県田辺市の自然の宝庫、天神崎へ。

 

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この日は目新しい鳥はいなかったのですが、家族連れの磯遊びや、スキューバ・ダイビングに興じる人たちや、釣り人たちに混じって、井戸端会議ふうに集まる、トビの集団が目につきました。

 

 

トビというと以前(数年前)、とある河川敷で家族でお弁当を食べているときに、サンドイッチを狙われて背後から顔を引っかかれたことがあって、至近距離で見かけると身構える癖がついている私ですが、今は83倍ズームのNikon P900という武器でじっくり観察することができます。こういうときに感じる高倍率ズームのありがたさ。

 

 

それで望遠で近づいて見てみると、和気藹々として見えた集団の中央には、大きな獲物の姿が。大きく羽を広げた真ん中にいる一羽の足許には、しっかりと獲物の魚が鷲掴み、もとい鳶掴みされています。

 

猛禽のなかでは最も身近な印象のあるトビですが、全長60〜65cm、翼長150〜160cmと、タカ科のなかではかなり大型の種類でもあって、近くで見るとかなり迫力があります。私が襲われたときは、背後から飛んできて頬を掠められたのですが、この嘴で直撃されていたらと思うとなかなか恐ろしくもありますが、見ているぶんにはやっぱり格好良いな、とも思います。

 

私たちが暮らしているのはそれまでと同じ、ずっと前からそこにある私たちの街なのですが、こんなふうに鳥見ライフを続けていると、ここは人里であると同時に鳥たちや、他の生き物たちの住み処であって、日常のよしなしごと、あるいは面倒なこともつまらないこともちょっとは飛んで行くような、そんな気がする今日この頃です。

  

 

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南紀田辺、天神崎に一羽きりで渡ってきたコクガンの姿を求めて。

 

夕刻にふらっと、一羽きりで飛来してきた渡り鳥「コクガン」を求めて。

 

もともと私の趣味で始めたわけでも何でもなくて――、小学生の長男と地元の自然観察教室に参加し始めると同時期に、たまたま近所で見かけた鮮やかな藍色とレンガ色の鳥(イソヒヨドリ)を見かけて図鑑を眺めたところから始まった、私と息子の探鳥=バードウォッチング・ライフ。週末の予定が特になくても、何となく庭で、近所で愉しむことができる、自然環境も含めた現在の環境は、有り体にいって恵まれているといって差し支えないと思っています。

 

昨日(2019年1月20日)の日曜日も、ちょうど少し前に地元紙の記事になっていた、近畿地方では珍鳥といえるコクガンを求めて、夕食前の少しの時間に長男とふたり、ふらっと出かけてみました。

 

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場所は記事の写真の撮影場所ともなっている田辺市・天神崎。ここは自然保護の市民運動、ナショナル・トラスト運動の日本における嚆矢のひとつともなった場所で、そうした(今も続く)先人たちの取り組みの上に、このような豊かな自然が育まれ続けているということでもあって、さっきまで夜の(単身赴任先へ戻るための)ドライブに備え午睡していたというのに、そんな処へこんなふうに何気なく行けるのは、やっぱりちょっと贅沢かも知れない。

 

天神崎の自然を大切にする会

 

上記、現在も活動を続ける「天神崎の自然を大切にする会」に繋がる天神崎の自然保護運動の歴史についてはこちらに詳しいです。地元においても、その自然の価値(希少価値)も含めて様々な議論があったところのようですが、とまれ、現在のような形で自然環境が残っていることは、やはりとても貴重なことだと思います。

 

週末の宿題を済ませた息子も二つ返事で、いつものように(ダメもとで)海沿いを車で流しながら、塒(ねぐら)入りするカラスの群れや、“和歌山の夕陽百選”な、日の入りの様子を収めるカメラマン、帰り支度を始める釣り人たち――大きな期待をせずにそんな風景を眺めていると(しつこいくらいに繰り返しますが、そのような風景こそ、見るに値する、記憶に焼き付けるべきSceneryなのですが)、岩礁の上に一羽の水鳥を見かけました。天神崎の海岸沿いの、車一台が通るのがやっとの道を、後ろから来る車がないのを確かながら速度を落として徐行しつつ、息子に、 

「あれ、何やろ? カモ?」

 というと、息子が手に持っていた双眼鏡を構え、

 

 

「コクガンちゃう?」

 と。慌てて車を止めてカメラを出していると、後ろからクラクション。気を取り直して少し先の、天神崎の海を臨む最高峰、といっても標高36メートルの日和山(ひよりやま)の登り口のそばの路肩に駐車して、息子とふたり。おそらく家路に就くのであろう行き交う車に注意しつつ、岩礁を半ばは優雅に、半ばは所在なさげに歩き、水に入れば頭から潜り込んで海藻を食む、たった一羽でこの地に渡ってきたコクガンの邪魔にならないように撮らせてもらったのが、以下の写真です。

 

 

最近はこれに限らず、おそらくは地元の熱心なバーダーの方が発見したのであろう、普段こちらでは見られない珍鳥・稀鳥の新聞記事を見て散策し、運良く私たちも遭遇できる、そういうチャンスに恵まれています。ギャンブルはやらない私ですが、こういうビギナーズ・ラックは嬉しいもの。このときばかりは生意気盛りの息子とも気が合うので、バードウォッチングはやめられそうにありません。

 

愛用しているこちらの図鑑によれば、コクガンは「多くは東北地方以北の海岸や沖合に渡来するが、それより南での記録も増えている。」とのこと。自分たちで観察していると、こうしたことを実感できる愉しみもあります。そしてそれは何故なのか?――というふうに考えてみることが、また別の学びに繋がるのかも。

 

天神崎の海岸近く、岩礁に佇むコクガン。

 

前日の1月19日、こちらも同じく地元紙「紀伊民報」で記事になっていた、「シロガシラ」に出会えました(田辺市、左会津川にて)。こちらも僥倖。

 

【2019.2.26追記】その後も何度か天神崎に観察に行ってみると、いつの間にかコクガンは2羽になっていました。以下の記事では2羽で仲良くアオサを啄む姿を動画で紹介しています。

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旧市内随一の自然観察スポット、伏菟野(ふどの)で「シーボルト」を発見!【和歌山県田辺市】

 

ホタルの郷としても知られる田辺市の「伏菟野(ふどの)」地区を、歩く・歩く・歩く!

 

前回書いた「落ちアユせぎ漁」イベントの翌日は、私と長男の月に一度のお愉しみ、「ふるさと自然公園センター」の自然観察教室。今回はこちら、近畿随一の広さを誇る和歌山県田辺市のなかでも、今でも初夏のホタル祭りが開催されるなど、随一の自然観察スポットである伏菟野(ふどの)の地での、ウォーキング。その名もストレートに、「秋の動・植物を観察しよう」でした。

 

ふるさと自然公園センター 自然観察教室のご案内|田辺市

 

 

市街地から車で30分程度、平成29年度を持って閉校した旧「伏菟野小学校」の校庭に集合したこの日は弁当持参。昼食を挟んで半日、伏菟野の林道を講師の先生方とともに歩きながら、目に留まった道々の生き物、植物たちを観察していくのですが、私も小学3年生の息子も、「自然観察教室」に数多く参加するなかで、いちばん好きなのが、こうした「歩く」会です。

 

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もちろん、「バードウォッチング」とか「粘菌採集」「昆虫採集と標本作製」といった、観察対象やテーマの明確なイベントも、愉しみとしても知的好奇心としても非常に面白いのですが、ランダム、不規則でカオスに満ちた自然を享受、体験するという意味で、こうしたラフで、行き当たりばったり、一回性、偶有性に満ちた体験の出来るこうしたイベントは、まさに自然観察の醍醐味というもの。特にこの田辺市の「ふるさと自然公園センター」の観察会は、毎回様々な分野に精通した先生方が参加して下さるので、オン・ザ・ロードでその講義を訊きながら歩くのは、本当に面白いのです。

 

今回も先生方と親しく会話しながら歩く息子の後を追いかけながら、メモを取りとり歩きました。

 

まさにランダムに遭遇する生き物たち、植物たちですから、歩きながら取ったそんなメモを見返しながら、そして写真を見返しながら、振り返ってみます。

 

今回も野帳、メモで活躍したのは、マルマンのクロッキーリーフ&三菱のサインペン、リブ。

 

自然の猛威と恵みに思いを馳せつつ足で稼ぎ、五感を総動員して見つけ、出会う生き物たち、植物たち。

 

 

ちょっとこの写真だとわかりにくいのですが(写真中央奥)、伏菟野に来るとすぐに目に入ってくるのは、一部がごっそりと切り取られたような山の斜面。2011年、紀伊半島を襲った台風12号による豪雨災害の爪痕です。センターの先生からもお話があり、この土砂災害で命を落とされた方々の冥福をお祈りし、自然の恵みだけでなく、猛威にも思いを馳せつつ、一日が始まりました。

 

 

林道に入っていきなり、私の息子が、「カワガラス!」と声を上げました。カワガラスは川や渓流など、水がない場所では生きていけない鳥で、大半を水の中で過ごす鳥です(※参考:叶内拓哉 写真・文『くらべてわかる野鳥 文庫版』)。ちょうど前日、アユ漁イベントの熊野川でも息子はカワガラスを目撃していて、私とともに見つけた鳥の自作写真図鑑作りに勤しむ息子の声に促され、リズミカルに素早く、川面を、そして転がる石の上を次々と飛び移っていくカワガラスの姿を追いかけました。

 

 

 

結局うまく撮れなかったのですが、上の写真の丸のなかに、辛うじてカワガラスが写っていたので、なんとか自分たちの写真図鑑に証拠として、収めることができました。写真のできはともかく、幸先のよいスタートです。

 

朽ち木をひっくり返してその下の虫を探したり――、

 

フユイチゴを見つけては摘んで食べたり――、

 

みんな集まって熱心に聞き入る、先生の手の中には――、

 

鮮やかな脚のサワガニ

 

 

林道沿いには綺麗な川が流れていて、昼食を摂った滝のある辺りには、流れの溜まった水場があったのですが、どこを見ても魚がいません。「2011年の台風以降かな、見なくなったんよ」と先生。不思議なものですが、色々なきっかけで、土地の環境というのは変化するものだということがわかります。

 

先日から活躍している水中カメラでも、息子が撮ってみましたが、カワムツ、オイカワなどの魚影はなし。

 

晩秋の秋の果実たち。

 

ヤブムラサキ(シソ科ムラサキシキブ属)。美しいヴァイオレット!

 

ムロウマムシグサ(サトイモ科テンナンショウ属)

 

こちらはアケビの種? 哺乳類(おそらくテン)の糞のようです。これを見つけた、当日の参加者の地元高校の生物部の生徒さんが非常に歓んでいたのが印象的でした。

 

この日の白眉。巨大で鮮やかな、エメラルドに光るケーブルのような――。

 

道中、川岸に這う太いケーブルの脇に、他と違う細くひときわ美しい、エメラルドカラーの金属光沢を放つケーブルが見えたのですが、それがいきなりスーッと動き出しました。「おっ、シーボルトや! 久しぶりに見たなぁ。」とある先生。

 

 

これ、実は「シーボルトミミズ」という、日本最大級と言われるミミズの一種だそう。一見して生き物のように見えない、あるいは日本の種とは思えない鮮やかな色。「シーボルト」の名は、江戸時代の「出島の三学者」と呼ばれる博物学者の一人であるドイツ人学者、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトにちなむとのこと。

 

 

そのような驚きの出会いもありつつの半日のウォーキング。今回はこれだけの生き物たちに出会うことができました。改めてこんな場所が、そう遠くない場所にあることに感謝しつつ、また改めて訪れて、カワガラスの姿をきちんとカメラのフレームに、美しく収めてみたいと思った次第。

 

和歌山県田辺市伏菟野での観察記録(2018.11.11)
【動物】カワガラス/サワガニ/ヒメフナムシ/カマドウマ/アカザトウムシ/タゴガエル/シーボルトミミズ/モンシデムシ/サツマヒメカマキリ
【植物】スズコウジ/フユイチゴ/タチシノブ/フタリシズカ/チヂミザサ/ミョウガ/ヤブムラサキ/ナンテン/ウマノミツバ/クロモジ/カラスザンショウ/コバノガマズミ/カタヒバ/ホウロクイチゴとフユイチゴの雑種/ヨシノアザミ/ムロウナンテンショウ/ネズミモチ/サルノコシカケ/マダケ/マツカゼソウ/チャワンタケ/ムロウマムシグサ/サカキ/アリドオシ/オオバノイノモトソウ/コシダ/イヌガヤ/ハナショウガ/ヒカゲワラビ/ユズセンリョウ/チャイトスゲ

 

 

【同じ自然観察教室で、春に歩いた「龍神山」も素敵でした。】

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今年も熊野川で、伝統漁法「落ちアユ“せぎ漁”」を体験――自分にとって印象的なことを、ひとつくらい持ち帰ること。

 

和歌山、奈良、三重にまたがる河川、熊野川で落ちアユの伝統漁法「せぎ漁」を体験。

 

去る11月10日、秋晴れの熊野川(和歌山県田辺市本宮町)で、落ちアユの伝統漁法、「せぎ漁」の体験イベントに参加してきました。

 

「落ちアユ」とは回遊魚であるアユ(鮎)が、産卵のために秋に川を下ること。その生態を利用して、アユが下る川を「せぎ」(堰)を作ってせき止め、投網で捕らえるのが、熊野川に伝わる伝統漁法、「せぎ漁」です。

 

石や木、竹などを敷き詰めて並べた「せぎ」(堰)を作って川を下るアユをせき止めます。画面では、向かって左が川上。画面左中央に2本線のように白い石が並んでいますが、これはあえて並べたもので、ここをアユが通るのを待って、網を投げて捕らえるのが「せぎ漁」です。

 

 

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息子(小学生の長男)とこのイベントに参加するのは今年で2回め。昨年も親子共々非常に愉しんで、その様子については、当ブログでも上記のようにまとめています。熊野川の河川敷の場所こそ前年と違うのですが、

 

  1. アユをはじめとした川の生き物の解説
  2. 落ちアユを対象とした伝統漁法「せぎ漁」の見学
  3. アユの串打ち体験・保存法・調理法を学ぶ
  4. 昔から行われている川魚(ウナギ・カニ等)の捕獲道具の解説
  5. 投網体験

 

 ――同イベントの主催団体のひとつである環境省のウェブサイトにも記載されている、上記のイベントの内容についてはほぼ、昨年と同様のもの。しかしそれでも、あるいはだからこそ、というべきか、今回もとても面白かったです。これは昨年に引き続き講師を務められた、熊野自然保護連絡協議会の先生も(今回のイベントの最中にお話させていただいたなかで)仰っていたのですが、

 

「毎年同じことをやって、例えば同じ人、子どもが参加したとしても、また違う発見があるはず。子どもならその間に色々学んでいけば、その知識を基に深く学ぶことができるし、それは大人でも同じ。」

 

であって、「小鷹網(こだかあみ)」と呼ばれる投網を投げる体験をさせてもらった息子などは、小学2年生だった昨年は、うまく投げられなかったものが、今年は上手くなっていて、実際にアユが網にかかるほど。私などは、昨年の記事を読み返して思い出す知識があったり(魚の縞模様の縦縞/横縞の区別など)、進歩しているかどうかはちょっとアヤしいのですが、この1年間、色々な自然観察教室に参加したり、本を読んだりして見聞きしてきたことで、面白さが増してくる感覚が確かにあります。

 

自分にとって印象的なことを、ひとつくらい持ち帰る。

 

熊野自然保護連絡協議会の先生による熊野川の自然についての講義(お話)。大きなバケツのなかには、事前の仕掛けで捉えられたウグイやオイカワ、カジカ、そしてウナギなどの魚や、モクズガニなどのカニもいて、熊野川の豊かな生態系を実感しました。

 

今回のメモ。熊野川にいる魚類の3分の1が海と川を行き来する「回遊魚」で、この割合は非常に高く、熊野川が綺麗な川であることの証だという話が印象的でした。

 

イベントでは、「習うより慣れろ」というか、座学的な知識よりも体験じたいを愉しむ、そして「記録せずとも頭に入る」と豪語する息子に代わって、そして自分の愉しみのためにできるだけメモを取るようにしているのですが、その取り方、というかコツも少しずつ身に付いてきた感じがします。根っからの文系人間で、自然科学や生物学については門外漢の私にとって、こういう自然観察教室/イベントで聴いて、持って帰ることのできる知識は限られています。聴いたこと全てを「自分の知識として」身に付けることは端からできない。ならば自分にとって印象的なことだけでも持ち帰ることができれば儲けものだし、その日の思い出、記憶を脳裏に留めておくことができるように書き付けておきたい。

 

事前に「せぎ漁」で漁師の方が捕まえておいたアユを、河川敷につくった生け簀のなかで、水浸しになりながらつかみ取り。息子は今年も2回、着替えました。

 

そういうふうに考えながら、水浸しになりながらアユのつかみ取りをしたり、炭火で網焼きや串焼きしたアユを美味しそうに食べたり、投網がうまくできるのが愉しくて何度も教えてもらいながら練習する息子の姿を見ていると、来年もこのイベントに参加したいな、と思います。

 

当日の様子から、動画と写真をもう少し、いくつか。

 

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大ベテランの漁師さんによる投網の実演。投げる瞬間からしか撮れていないのですが、この前に、アユがせぎの近くに入ってくるのをじっと待っている「間(ま)」がなんとも言えず、格好良かったです。

 

息子も投網を何度もなんども繰り返し練習させてもらって、最後に実際にアユを捕らえることができて、非常に感激していました。捕らえたアユは持ち帰らせていただいて、自宅で炭焼きにして美味しくいただきました。

 

「小鷹網」にかかったアユ。今回は数匹、多くて十数匹、くらいでしたが、ご講義いただいた漁師の方によれば、最盛期には一度の投網で100匹以上かかったこともあるそう。

 

捕らえたアユは、その場で焼いていただいて、昼食で振る舞われました。

  

今回、息子用に買っていたトイカメラ、「Qlix」とその専用の防水ケースを使って、水中撮影をしてみました。水中の魚はうまく撮れなかったのですが、今後も試してみたいと思います。

 

 

Qlixとその防水ケース。トイカメラ、といいつつクセのない普通の単焦点コンデジなので、画質はたいしたことはないものですが、スナップ用には十分。防水ケースがなかなかいいので、今後も使ってみたいと思います。

 

【筆記具やノートなど、自然観察で持ち歩いてる<必須アイテム>たち。】

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「秋のひき岩群を歩こう」――自然観察教室でウォーク・オン・ザ・ワイルド・サイド。

 

よく晴れた日は、ワイルド・サイドを歩こう。

 

私と、現在小学3年生の長男が自然観察をしたり、バードウォッチングを始めたりするきっかけとなったのが、地元、<ひき岩群国民休養地 ふるさと自然公園センター>(和歌山県田辺市)で毎月開催されている自然観察教室です。

 

 

最近では少し足を伸ばして熊野・新宮方面(といっても、地理、土地鑑は他所の方にはわかりにくいかも?)の観察会にも参加していますが、興味を持って気がついてみると、こういう催しが各地で開かれていることがわかって、有難くもあり、また、大いに愉しませていただいています。

 

私自身はこちら和歌山ではなく九州ですが、田舎の育ちですし、子供のころは普通に川で遊んだり、虫やザリガニを採ったり、川釣りでフナやハヤを釣ったりしていたはずなのに、いつの頃からかすっかり自然とも縁遠い、インドアそのものの生活を続けてオトナになってしまいました。ゆえに今息子とこんなふうに観察会に参加しながら、改めて自分たちの暮らしと、自然との関わりを見つめ直す――というと聞こえがいいですが、単純に新たな趣味として愉しむ――、そのこと自体に面白さと難しさを感じながら、日々過ごしています。

 

SF映画を見ているとよく、野生の動植物や家畜、作物も死滅ないし枯渇した世界で、人工による模造品、複製品のような生き物、食物とともに暮らしているような描写がありますが、あるいは私たち人間が世界から退場する前に、そのような世界が実現すればまだ幸せなのかもしれません。だとすれば、今こうして多様性のまだまだ残された/という言い方が正しいのか、あるいは今でも、多様性に満ち満ちた、という言い方をできるのか、ともかくもそのような自然に触れることそのものを、やっぱりもっと進んで享受していきたいものです。

 

ここでどういう映画を貼るべきか、ディープなSFファンであれば腕の見せ所というべきでしょうが、私は全然そんなこともないので、長いスパンの未来を描いたこちらの映画をなんとなく、思い出しました。

 

あるいはもっとおバカなこちら。無知ゆえに作物に水ではなく栄養ドリンクを与える26世紀の人々を、自然に対して無知な私は笑えないのかも(めちゃくちゃ笑える映画ですが)。

 

というような、無知なのにくだらない能書きを垂れる私の悪癖はさておいて、今回、10月21日の教室はその名も「秋のひき岩群を歩こう」。自然豊かな場所として国民休養地に指定され、かの南方熊楠もフィールドワークしたというひき岩群の地を午前中いっぱいトレイルウォーキングしながら、目の前の植物たち、生き物たちに触れてみようというイベントです。

 

 

今回も、生物学、自然科学に無知な私があれこれいうよりも、当日の写真を振り返りつつ、私自身も写真とメモを照合して復習しながら紹介してみたいと思います。

 

まずはいきなりワイルド・サイドな写真から。<オオゴキブリ>。家住性のチャバネゴキブリなどと異なり、森林などに棲む。先生が朽ち木のなかから見つけてくれました。「綺麗でしょう?」

 

自然公園のウォーキングコースにある、藤棚のフジは<ヤマフジ>。「蔓が左巻きで、フジとは逆なんよ」とY先生。

 

<ヨシノアザミ>。和名の“ヨシノ”は地名ではなく、発見者である植物研究家・吉野善介(1877〜1964)の名から付けられているそう。

 

山道の途中には、岸壁の上に洞穴になっているところがあり、子どもたちもこぞって、岩肌に付けられた足がかりを登って探検気分。

 

いつものように先生に訊きながら、野帳(メモ)を取りつつ歩いていきますが、写真とメモが照合できずにわからなくなることもしばしば。こちらは<ナキリスゲ>(のはず)。

 

メモは携帯性の高い、おなじみコクヨの測量野帳を持っていくことも多いですが、今回も使ったこちらの、リヒトラブのA5サイズのクリップファイルも、野外で立ったまま筆記するのにとても書き易く、重宝しています。

 

――というわけで、こっちは何だったか、<ハゼノキ>の実かな。
→息子が確認してくれたところ、「父ちゃん、全然違う。<ネズミモチ>の実ちゃう?」とのこと。(2018.10.28訂正)

 

よく似ていますが、こちらは<ヤマウルシ>の実(ハゼノキと逆だったかも、また確認しておきます)。 

 

鳥の巣半島でも見た<ツリガネニンジン>。本当に釣り鐘のかたちに見えますね。

 

当日は低学年の子どもたちが多かったこともあって「短縮コース」でしたが、標高100メートルほどの展望台のようなところにも登りました。写真に撮りそびれていますが、景色も素晴らしく天候もよくて、画面左上の海の向こうには四国が見えていました。

 

【2018.10.28追記:息子が写真を確認して、メモと一致したもの。】

<コバノガマズミ>の実。ガマズミ属の実はツグミ、メジロ、ムクドリなどが採食するが、好んで食べるわけではなく、あまり好まれていないよう*1。息子が食べてみたところ、あまり味がなく、人間にもおいしくないようです。

 

<ササクサ>。ササに似た葉の背の低いイネ科の植物。

 

<コバノミツバツツジ>

 

この日のメモ(野帳)より。(2018.10.21 @ ひき岩群)

 

(植物・菌類)
トウバナ(シソの仲間)、ツリガネニンジン、ヒメヤブラン、ノコンギク、ヒメユズリハ、アラカシ、ヤマフジ、コナラ、タイミンタチバナ(軸が白い)、モチツツジ、コバノガマズミ、コジイ、クチナシ、イヌタデ、ナキリスゲ、キイセンニンソウ(レッドデータ掲載種)、ネズミモチ、ホラシノブ、ウラジロ、コバノミツバツツジ、ミミズバイ、クロバイ(幹の点々)、カナメモチ、ヤマモモ、ウバメガシ、ササクサ、ヤマウルシ(ハゼノキに似てる)、ヨシノアザミ、ミツバアケビ(おいしい)、カワラタケ
(動物・虫)
オオゴキブリ、ノスリ、トビ、イワツバメ、アサギマダラ、ホウジャク

 

【以前の記事から:野帳に鉛筆、自然観察の私的必須アイテムについても紹介しつつ、ひき岩からも近い和歌山県田辺市の霊峰、<龍神山>登山について書いています。>

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*1:※参考文献:叶内拓哉『野鳥と木の実ハンドブック』(文一総合出版)

生き物の宝庫「鳥の巣半島」で、今日は海辺の観察会。

 

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先日上記の記事で紹介した「植生調査」に親子(小学生の長男と私)で継続的に参加して訪れている<鳥の巣半島>。こちら和歌山県田辺市のこの半島のみどころは、陸地の植生、生き物だけではありません。

 

目の前の海には、昭和天皇が行幸し、南方熊楠が保護運動に努め、国の天然記念物にも指定された島、<神島(かしま)>が浮かんでいます。沿岸部にはこちらも国指定天然記念物の泥岩岩脈が岩肌を縫うように走っており、その干潟にもたくさんの海辺の生き物たちが棲んでいます。

 

先日の土曜日、10月20日には、いつもの「内之浦の自然を考える会」主催で開かれた、鳥の巣半島の「海辺の生き物観察会」に参加してきました。今回も、県立自然博物館の学芸員の先生のご指導のもと、鳥の巣半島の海岸で様々な生き物を採集しました。

 

観察地へ向かう道中から生き物探しはスタート。今日も色々見つかりそう。

 

 

駐車スペースから歩いて本日の採集場所の岩礁海岸に向かう途中、堤防から見える波打ち際を一羽の小鳥(チドリ類?)が歩いているのを息子が発見します。「父ちゃん、アレ、何やろ?」――本日は魚や貝、カニといった主に磯の生き物目当ての観察会ではありますが、自然相手のイベントではこいう予期せぬ出逢いが醍醐味です。息子に声をかけられた私は、いつもの高倍率コンデジで鳥の姿を押さえます。

 

私のはこの数世代前の機種。リーズナブルなコンデジですが、高倍率が魅力。画質はそれなりですが、光学40倍超のズームは、手持ち撮影で鳥を収めるには十分です。

 

取り急ぎなんとかフレームに収めて、スマホに入れているKinleの鳥図鑑で確認。息子と鳥見を始めて1年ほどになりますが、まだまだ初心者。「チドリとかシギっぽい感じだけど、今まで見たコチドリとか、イソシギとかとも違うっぽいしなぁ」などと息子と言い合いながらも、新たな出逢いに幸先の良さを感じつつ、足取りも軽くなります。

 

あとでじっくり図鑑と付き合わせたところ、こちらは<キアシシギ>でした。

 

Kindle版を購入してスマホのKindleアプリでいつも参照している野鳥図鑑。紙の図鑑ももちろんいいですが、この手のものを野鳥、虫、草花など、各ジャンル1冊ずつくらい電子書籍で手許に(スマホに)入れておくと、野外での観察に非常に便利です。

  

 

沿岸部に出るとこの日は風が強く、奥に見える海に突き出た小高い山のまわりで探索、採集を行いました。干潮によってできた水たまり(タイドプール)を網で掬って小魚を集めたり、ゴツゴツした大きな石を裏返してその下に棲むカニを探したり――。小一時間くらいの間に、かなりの数の生き物が集まりました。

  

県立の水族館、和歌山県立自然博物館のH先生。子どもたちに混じって、というより先頭に立って次々に水の生き物たちを発見していきます。

 

岩をひっくり返すと次々にカニが見つかりました。

 

見つけた生き物たちをみんなで鑑賞、そして解説――観察会の愉しみ。

 

 

こうした観察会の面白さは、その日発見し、採集した生き物について、その場で専門家の先生方が解説してくれること。一つひとつ写真を撮るのを忘れてしまいましたが、カニを集めたバット(四角い容器)のなかでも、

 

先生「これは<イソカニダマシ>といって、カニではなくてヤドカリの仲間で、ハサミ以外の脚が左右3本ずつ、6本しかありません。タラバガニもそうですね。」

 

――そんなふうに、毎回何かしら発見というか、新しい知識を持って帰る愉しみがあるというか。その割には私などは、なかなかそれが蓄積されていないのですが。

 

カニだけでもこの日、イソガニヒライソガニケフサイソガニイシガニ、イソガニダマシ(繰り返しますがこちらはカニではありません)と、たくさん見つかりました。

 

こちらは細長いですが、<ムラサキクルマナマコ>というナマコの一種。ナマコは身体の基本構造が五角形=五放射相称をした棘皮(きょくひ)動物、ヒトデやウニと同種の生き物である、というのはようやく覚えました。

 

それでもこの日は息子も、「タカラガイが採れたから良かった」と歓んでいましたし、博物館の先生にハゼ釣りの仕方を教えてもらったり、帰り際に見上げた上空でタカ(息子曰くサシバやオオタカ、ミサゴだったとのこと)を見つけて、「今度はタカの渡りを見に来よう」と、自分たちで行く観察行の計画を立てたりして、採集した生き物以上の収穫があったようで、この日も参加した甲斐があったというもの。

 

私も負けないように、というか子どもたちや先生に少しでもついていけるように、せめてこうしたブログでの振り返りなども利用して、自然や生き物についての知識を深めていけたら、と改めて思った一日でした。

 

こちらが長男お気に入りの<ハナビラダカラ>(タカラガイの一種)。

 

この日見られた生き物一覧。(2018.10.13 @ 鳥の巣半島)

 

(水の生き物以外)キアシシギ、アオサギ、トビ、サシバ、オオタカ、ノスリ、ミサゴ
(水の生き物)ハゼ類:ドロメ、アゴハゼ、シモフリシマハゼ、クモハゼ、マハゼ、甲殻類:イソガニ、ヒライソガニ、ケフサイソガニ、イシガニ、イソカニダマシ、テッポウエビ、フジツボ、カメノテ、その他の魚:スズメダイ、アイゴ(バリコ)、メジナ(グレ)、貝類など:ハナビラダカラ、コモンダカラ、ケマンガイ、イタヤガイ、フネガイ、マガキ、ヒザラガイ、その他:ムラサキクルマナマコ、ミノウミウシ、ゴカイsp. など

 

おまけ。道中にて。

 

<ハゼノキ>とその果実。こちらの実のなかの種子は、「キツネノコバン(狐の小判)」と呼ばれていて地面に落ちているものを子どもたちが集め、「100個集めると願いごとが叶う」というような伝承?が全国にあるようです。実は鳥が好んで食べ、糞として落とした種が洗い流されたもの。

 

秋はタカの渡りの季節。一度「渡り」の観察もしてみたいです。こちらはあまり鮮明には撮れていませんが、姿形や色などから、<オオタカ>かなぁ、と思っているのですが、いかがでしょうか。

 

【これまでの記事から:鳥の巣半島での自然観察記】

南方熊楠記念館で粘菌探し。和歌山県立自然博物館主催イベントにて。

南方熊楠記念館(和歌山県白浜町)正門に続く階段にて。

 

南方熊楠の偉業を讃えた<南方熊楠記念館>で、粘菌を探そう!という贅沢なイベント。

 

小学生の長男と私の、休日のいちばんの愉しみとなっているフィールドワーク、自然観察教室への参加。稀代の博物学者、南方熊楠を輩出したこちら、和歌山県では、自治体や博物館、大学など、様々な主体が趣向を凝らしたイベント=自然観察教室を開催しています。

 

今回は、去る2018年10月13日、白浜町にある<南方熊楠記念館>での、「キノコや粘菌をさがしてみよう!」という教室に参加してきました。

 

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粘菌というと、生物学における熊楠の主要な研究テーマのひとつとして知られていて、上記の記事でも紹介したとおり、私たちも毎年、<ひき岩群国民休養地>での自然観察教室で粘菌観察を愉しんできました。

 

今回の教室は、海南市にある和歌山県立自然博物館の主催。講師は学芸員の川上新一先生。粘菌について、一般向けにも数々の粘菌(変形菌)関係の入門書等を著されている、一級の専門家です。そんな方から、南方熊楠記念館のある<番所山公園>で、粘菌の採集と観察について学べるというのですから、非常に贅沢なイベントです。

 

 

南方熊楠記念館入口。熊楠の唯一無比の偉業を讃えた展示も、一見の価値あり。

 

南方熊楠記念館は、関西随一の海水浴場で知られる白良浜(和歌山県白浜町)から徒歩20分の地にある臨海エリアにあります。近隣には国立自然公園である<番所山公園>、京都大学大学院理学研究科附属瀬戸臨海実験所の附属施設、<京都大学白浜水族館>(こちらでも磯観察など、様々なイベントが開かれています)、海水浴場やグラスボート乗り場、白浜のシンボルとして知られる名勝<円月島>などがあり、自然観察にも行楽にも最適な場所で、私たち家族も折々に触れて訪れ、過ごしているところでもあります。

 

講義を訊きながら取ったメモより:「粘菌(変形菌)は世界で900種(日本国内で500種」「分布的特徴として、汎世界的に分布する種が多い(胞子がよく飛ぶことから)」「生態学的役割:バクテリアやカビなどの「分解者」を食べることで、それらの分解を遅らせているのではないか」などなど。一度きちんと本を読んで、吸収してみたいと思います。

 

まずは川上先生から、粘菌の基礎知識についての講義を聴きます。最近はこういうお話もちゃんとメモを取るようにしています。「その方がより愉しめるから」というのが主な理由ですが、もう一つには、そうしないと吸収力の早い小学生の息子の知識や興味、好奇心に追いつかない、というのもあります。そしていざ、粘菌採集へ!

 

いざ、足許に拡がる小さなワンダーランド、粘菌の世界へ! 

 

 

記念館の敷地を一歩出るとそこは、豊かな植生の拡がる番所山公園。虫除けスプレーを振り、腰からは蚊取り線香をぶら下げて虫刺されに注意しながら、普段は見向きもしない朽ち木や腐葉土、落ち葉を掻き分けて、というより一枚いちまい枯れ葉をめくりながら、宝探しをするように粘菌を探します。

 

「先生、これは?」「菌類、キノコの一種だね。粘菌ではないけど、良かったらこれも持ち帰って観察してみて」。――「先生、こっちはどうですか?」「うーん、残念。これは虫の糞だね」。――「お、これは粘菌の変形体(粘菌の活動、成長期、アメーバ状になり移動する状態)の這ったあとだね。これも持ちかえってみよう」。

 

――そんなふうにトライ&エラーを繰り返しつつ、結構次々に粘菌が見つかるのが驚きでした。とくに子どもたちの観察眼は鋭い! 小さな葉っぱのうらについたものなどを、相次いで発見し、先生に報告していきます。

 

 

私たち父子もいくつか、発見することができました。下の写真の中央下、菓子箱に入れた朽ち木の塊には――、

 

 

こんなふうに小さく白い粒々がこびりついていますが、こちらが粘菌の一種、<シロジクモジホコリ>です。1時間ほどかけてひと通り採取したあと、先ほど講義の行われた研修室に戻って、ルーペで観察します。

 

海岸部らしく傍らにはこんな、ハマアザミの花も咲いていました。

 

研修室に戻って観察。図鑑を見たり先生に訊いたりしながら、同定(種の特定)をします。

 

驚いたのは観察でお借りしたこのルーペ。40倍の倍率に、LEDライトが点いてとても見やすいのです。 

 

おそらくこの製品あたりでしょうか。ただ、野外での使用なら40倍は倍率が高すぎるようで、下記の10倍くらいのものが、最適なようです。

 

高品質な天体望遠鏡で知られるビクセン社のルーペ。ひとつ持っておいて損はなさそう。

 

 

ルーペで拡大して――、スマホを当てて撮影した写真がこちら。先ほどのシロジクモジホコリです。こうしたルーペは見る面積が拡く、スマホのレンズが当てやすい。これは色々試してみたら愉しそうだな、と思いました。

 

シロジクモジホコリ(子実体)。肉眼では気が付かなかった丸い胞子嚢がくっきり観察できます。

 

その他、息子の見つけたジクホコリなど、いくつかを標本にするために持ち帰りました。せっかく和歌山に住んでいるのだから(粘菌じたいは和歌山に限らず、全国どこでも見ることができますが)、これからも粘菌生活、愉しんでみたいと思っています。

 

 

 

 【以前の記事から:昨年参加した自然観察教室でも、粘菌を採集・観察しました。ミクロで奥深き粘菌の世界。】

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吉野熊野国立公園「鳥の巣半島」で、春・夏・秋と植生調査。定点観察の愉しみ。

 

春・夏に続いて秋の「鳥の巣半島 植生調査」に参加。季節ごとの自然の移り変わりを見つめるいい機会になりました。

 

久しぶりの「自然観察」カテゴリの更新です。

 

当「ソトブログ」は、もともと小学生の長男との、地元の自然観察教室を中心とした野外活動について、何らかの形で思い出として、記録として残しておきたい、と思って始めたもの。今も毎月さまざまな教室/イベントに参加していますが、ぐんぐん知識も経験も蓄積している息子と違って、私の方の知識やボキャブラリーが追いつかず、うまく文章にまとめらないことも多く、参加したきりになってしまっているものがいくつもあります。

 

そしてそのたびに、このブログを読んでいる息子から、「父ちゃん最近さぼってるなァ」「クオリティが落ちてんで」などと突っ込まれています。

 

先日もまた、以前こちらでも紹介した、「鳥の巣半島」の植生調査に参加してきました。

 

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以前テレビ『ザ!鉄腕!DASH!!』の「グリル厄介」でも取り上げられた外来種、アフリカツメガエルの繁殖にも悩まされている鳥の巣半島のため池。継続的な調査、防除活動により拡大を抑え、生態系を守る試みが続けられています。

 

和歌山県田辺市新庄町にある鳥の巣半島は、奈良県・和歌山県・三重県にまたがる「吉野熊野国立公園」の一部で、大小40以上のため池の周囲に豊かな自然の拡がる土地です。こちらでは季節ごとに、地元ボランティア「内之浦の自然を考える会」によって、「鳥の巣半島の植生調査」として観察会が開かれています。

 

観察会では講師の先生方や「内之浦の自然を考える会」の方々と半島を歩いて巡りながら、目の前や足許の植物、生き物たちについて教わるのですが、「植生調査」の名の通り、そうやってその日観察した動植物について、記録していきます。

 

私と息子(長男)も今年に入って春(5月)、夏(7月)に続いて今回の秋の調査(10月7日)で3回目。こんなふうに同じ場所で観察を続けていると、これまで取ったメモと、この日の記録を見比べるだけでも、季節ごとの移り変わりが分かるようで面白いものだな、とようやく気づき始めています。「夏に見たアケビの実が、今回熟していないか、見つけて食べてみよう。」とか、そうしたささやかな愉しみを求めて、引き続き参加していきたいな、と思っています。

 

今回出会った生き物たち、植物たち。

もうこのくらいは息子にとってはお茶の子さいさい。サクッと捕まえたアオモンイトトンボ

 

ほのかな淡紫色が美しい、ツリガネニンジンの花。

 

ホシダ。シダ植物は、日本国内だけで約700種あると言います(世界で約1万種!)。これはやっと覚えました(先端が穂状に伸びている)。

 

「秋になったら採って食べよう」と目を付けていたアケビの実。まだ完熟とは言えない渋いものもありましたが、ねっとりとした果肉の、まったりとした甘みが口の中に拡がりました。

 

足許に這って咲くハイメドハギ(這蓍萩)。

 

アキノノゲシは東南アジア原産の史前帰化植物。 

 

ため池、そしてそこから水を引いた田んぼなど、水辺が豊富な鳥の巣半島では、トンボが多く見られます。この赤トンボはアキアカネ? ウスバキトンボ?(分かる方、教えて下さい)。

 

春に見たカスミサンショウウオがいないかと、田んぼや水路のまわりを探してみましたが、見つからず。新春〜春先の繁殖期まで待ちたいと思います。

  

 

今回見られた生き物、植物は、先日までお借りしていたスタイラスペンを内蔵したタブレット端末、「Ace Chromebook Tab 10」でメモしておきました。こうやって季節ごと、年ごとに記録を残しておいて、定点調査を続けてみたいと思います(子どもたちの自由研究にも役立つかも?)

 

鳥の巣半島、2018年5月12日の野帳(観察記録)より:シオカラトンボ、ハルゼミ、アカメガシワ、シゲオマイマイ(殻)、ガの幼虫、イボタノキ、アワフキムシ(巣)、イシガケチョウ、アオスジアゲハ、ウリハムシ、ヤマトシジミ、ヒメウラナミシジミ、テングチョウ、ニワゼキショウ、アオモンイトトンボ、シャクガのなかま、クロスジギンヤンマ、ヒメゲンゴロウ、ヒメコバンソウ、ハハコグサ、ヒメウラナミジャノメ、ラミーカミキリ、ハラビロトンボ、ヨツボシトンボ、ヒメミズスマシ、カスミサンショウウオ、ヒメツルニチニチソウ、モンキチョウ、トノサマバッタ など

 

同、2018年7月16日の記録より:シオカラトンボ(オス)、アオモンイトトンボ(オス/メス)、ベニシジミ、キタキチョウ、モンキチョウ、ママコノシリヌグイ(継子の尻拭い!)、ツリガネニンジン、コマツヨイグサ、キマワリ、カラスザンショウ、クサスギカズラ、ハマボウ、ハマユウ、キマダラヒカゲ、ヌルデ

  

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Chrome OSというデスクトップ、ラップトップ向けのOSを搭載しながら、Androidアプリも動くタブレット。Kindle書籍やスタイラスを使ったメモなど、自然観察や野外活動でも活躍しそうなデバイスです。

 

 

【以前の記事から:春の植生調査では、トンボやチョウなど、虫博士にたくさん教えていただきました。】

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新宮市熊野川町の<たんぼ水族館>でトンボ三昧――「熊野学講座 自然探訪スクール」にて。

<たんぼ水族館>の看板に貼りついてくつろぐキイトトンボ(新宮市熊野川町日足、2018.7.1)

 

美しい虫たちのフォルム(※食べても美味しい)。

 

ここでは繰り返し書いていますが、現在小3の長男と、地元の自然観察教室に通うようになるまで、私自身はアウトドアに繰り出すことはあまりなく、昆虫や野鳥その他の生きものたち、あるいは草木にいたるまで人並みの知識も覚束ないくらいでしたが、こうして改めて触れてみると、その多様さと、フォルムの美しさに驚くこともしばしば。

 

特に私たち人間、ほ乳類と随分造形の異なる、虫たちの美しさには、ほんのしばらく前まで(つまり息子と自然観察に行くようになるまで)虫に手を触れるのも億劫になっていたことも忘れて、見とれてしまう自分に気づく今日この頃です。

 

先日、息子が生きもの好きと知る知人から、こんなものを頂きました。

 

「伊丹市昆虫館」のお土産ですが、本場? 信州・長野県の商品のようです。

 

いなごの佃煮です。リアルに素材の形を活かした、というかそのまま炊いた佃煮で、(苦手な人もいらっしゃるかもしれないのであえてここには載せませんが)白いご飯に載せてみた姿はなかなかグロテスクにも思えますが、意外なほど美味しいのと同時に、やっぱり虫って格好いい。

 

と言いつつやっぱりちょっとお見せする飯テロ。意外にも美味しいですよ。ご飯がススム。

 

熊野学講座 自然探訪スクール「トンボを調べよう」に遠征して来ました。

 

そんな日々のなか、去る2018年7月1日、いつもの地元・和歌山県田辺市の自然観察教室ではなく、お隣の新宮市主催の「熊野学講座 自然探訪スクール」の講座「トンボを調べよう」に参加してきました。

 

 

お隣、といっても和歌山県の南部、紀南地方は、面積としては国内最大である世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を構成する広大なところです。今回の目的地、新宮市熊野川町の<たんぼ水族館>も、新宮市とはいえ、熊野三山のひとつ熊野速玉大社のある新宮市街からも20kmほど離れた、新宮川のほとりにあって、休耕田と湿地帯を利用した生きものたちの保全の場所です。私たちの住む田辺市内からは車で2時間弱。9時半集合に合わせ、今回も眠い目をこすりながらの日曜日の朝となりました。

 

 

なんとここでは年間を通して45種ものトンボが観測されているというトンボの宝庫。和歌山県内で観測されたことのあるトンボが全94種(絶滅種1種含む)ということですから、生きものにとってその生育環境がいかに大事がよくわかります。――というような解説を受けたあと、実際に現場に繰り出して採集、観察が始まりました。以下、当日の写真を見ながら振り返ってみます。

 

泥だらけになりながら観察したトンボたち。

 

湿地に橋を渡し、観測しやすいように整備されています。水路には小魚がいたり、アメンボが泳いでいたり。

 

3室に分かれた大きな捕虫カゴいっぱいにトンボを集めます。当日だけで、参加者全員で最終的に14種、100匹以上を捕まえました(先生が一種ずつ解説してくれたのち、逃がしました)。

  

鮮やかなコバルトブルー?が美しい「オオイトトンボ」(泥々の指とのコントラスト!)

 

「赤とんぼ」にも色んな種類が。こちらは前身まさに真っ赤っ赤の「ショウジョウトンボ」

 

今回最もたくさんいた、「ハラビロトンボ」。この日捕まえた数だけで、なんと60匹!

 

カゴのなかで他のトンボを捕食していた「ヤマサナエ」。カゴから出しても飛び立たず、ずっと食べています。近くで見ると顎の力強さが凄い。

 

当日観測できたトンボたち、全14種(※リストは「自然探訪スクール」ウェブサイトより)

ホソミオツネントンボ/アサヒナカワトンボ/キイトトンボ/クロイトトンボ/オオイトトンボ/ヤマサナエ/オニヤンマ/ヒメアカネ/マユタテアカネ/ショウジョウトンボ/ウスバキトンボ/ハラビロトンボ/シオカラトンボ/オオシオカラトンボ

 

“いくさのあと”――熊野の川のほとりのカフェで、ジビエシチュー。

 

 

午前中で自然探訪スクールを終え、湿地に飛び込んでおしりまで泥まみれになった息子を着替えさせたあと、以前当ブログで、田辺市本宮町は川湯温泉の<仙人風呂>について書いた際にも紹介した、「Bookcafe kuju」へ。このあたり、実は意外と近いのです。といってもそれぞれ10kmくらいは離れているのですが。

 

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こちらでは、廃校になった小学校校舎を利用し、本屋とカフェが併設された「Bookcafe kujuu」と、石窯パン屋さん「パン むぎとし」が営業されています。

 

 

先ほどの成果を互いに労いつつ、特製ジビエシチューを頂いて、 本のコーナーで、こちらも以前当ブログで紹介した、“街と山のあいだ”なリトルプレス『mürren(ミューレン)』のvol.21(2017.7)、「多摩丘陵」特集を買って帰りました。

 

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 図らずも当ブログの和歌山案内、自然観察案内のプチ総集編のようになりましたが、紀州のど真ん中で、都心の自然にも思いを馳せつつ、息子はというと、今度は憧れの<ハッチョウトンボ>(全長2センチほどの、<日本一小さいトンボ>)が見たい!と張り切っていました。和歌山県のレッドデータブックでは準絶滅危惧種としても知られるこちらは、県下では古座川町でよく観測できるとのことですので、一度行ってみたいな、と思っています。

 

今回は、トンボたちを眼前で観察するのに役立った、最短焦点距離50cmの“マクロな双眼鏡”、ペンタックス Papilio IIについても紹介したかったのですが、長くなりすぎたのでこれはまた次の機会に。

 

「近く」を見れる唯一無二の双眼鏡。目の前の花や虫などを見ると、本当に小人気分が味わえます。これ、本当に素晴らしいので、改めて紹介してみたいと思っています。 

 

日本のトンボについてはこれ一冊で完璧だそうです。当日の講師、和歌山のトンボ博士M先生もお薦めの一冊。 

 

田んぼ水族館の桟橋に来ていたスズメたち。どうもお騒がせしました。