ソトブログ

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新宮市熊野川町の<たんぼ水族館>でトンボ三昧――「熊野学講座 自然探訪スクール」にて。

 

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<たんぼ水族館>の看板に貼りついてくつろぐキイトトンボ(新宮市熊野川町日足、2018.7.1)

 

美しい虫たちのフォルム(※食べても美味しい)。

 

ここでは繰り返し書いていますが、現在小3の長男と、地元の自然観察教室に通うようになるまで、私自身はアウトドアに繰り出すことはあまりなく、昆虫や野鳥その他の生きものたち、あるいは草木にいたるまで人並みの知識も覚束ないくらいでしたが、こうして改めて触れてみると、その多様さと、フォルムの美しさに驚くこともしばしば。

 

特に私たち人間、ほ乳類と随分造形の異なる、虫たちの美しさには、ほんのしばらく前まで(つまり息子と自然観察に行くようになるまで)虫に手を触れるのも億劫になっていたことも忘れて、見とれてしまう自分に気づく今日この頃です。

 

先日、息子が生きもの好きと知る知人から、こんなものを頂きました。

 

「伊丹市昆虫館」のお土産ですが、本場? 信州・長野県の商品のようです。

 

いなごの佃煮です。リアルに素材の形を活かした、というかそのまま炊いた佃煮で、(苦手な人もいらっしゃるかもしれないのであえてここには載せませんが)白いご飯に載せてみた姿はなかなかグロテスクにも思えますが、意外なほど美味しいのと同時に、やっぱり虫って格好いい。

 

と言いつつやっぱりちょっとお見せする飯テロ。意外にも美味しいですよ。ご飯がススム。

 

熊野学講座 自然探訪スクール「トンボを調べよう」に遠征して来ました。

 

そんな日々のなか、去る2018年7月1日、いつもの地元・和歌山県田辺市の自然観察教室ではなく、お隣の新宮市主催の「熊野学講座 自然探訪スクール」の講座「トンボを調べよう」に参加してきました。

 

 

お隣、といっても和歌山県の南部、紀南地方は、面積としては国内最大である世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を構成する広大なところです。今回の目的地、新宮市熊野川町の<たんぼ水族館>も、新宮市とはいえ、熊野三山のひとつ熊野速玉大社のある新宮市街からも20kmほど離れた、新宮川のほとりにあって、休耕田と湿地帯を利用した生きものたちの保全の場所です。私たちの住む田辺市内からは車で2時間弱。9時半集合に合わせ、今回も眠い目をこすりながらの日曜日の朝となりました。

 

 

なんとここでは年間を通して45種ものトンボが観測されているというトンボの宝庫。和歌山県内で観測されたことのあるトンボが全94種(絶滅種1種含む)ということですから、生きものにとってその生育環境がいかに大事がよくわかります。――というような解説を受けたあと、実際に現場に繰り出して採集、観察が始まりました。以下、当日の写真を見ながら振り返ってみます。

 

泥だらけになりながら観察したトンボたち。

 

湿地に橋を渡し、観測しやすいように整備されています。水路には小魚がいたり、アメンボが泳いでいたり。

 

3室に分かれた大きな捕虫カゴいっぱいにトンボを集めます。当日だけで、参加者全員で最終的に14種、100匹以上を捕まえました(先生が一種ずつ解説してくれたのち、逃がしました)。

  

鮮やかなコバルトブルー?が美しい「オオイトトンボ」(泥々の指とのコントラスト!)

 

「赤とんぼ」にも色んな種類が。こちらは前身まさに真っ赤っ赤の「ショウジョウトンボ」

 

今回最もたくさんいた、「ハラビロトンボ」。この日捕まえた数だけで、なんと60匹!

 

カゴのなかで他のトンボを捕食していた「ヤマサナエ」。カゴから出しても飛び立たず、ずっと食べています。近くで見ると顎の力強さが凄い。

 

当日観測できたトンボたち、全14種(※リストは「自然探訪スクール」ウェブサイトより)

ホソミオツネントンボ/アサヒナカワトンボ/キイトトンボ/クロイトトンボ/オオイトトンボ/ヤマサナエ/オニヤンマ/ヒメアカネ/マユタテアカネ/ショウジョウトンボ/ウスバキトンボ/ハラビロトンボ/シオカラトンボ/オオシオカラトンボ

 

“いくさのあと”――熊野の川のほとりのカフェで、ジビエシチュー。

 

 

午前中で自然探訪スクールを終え、湿地に飛び込んでおしりまで泥まみれになった息子を着替えさせたあと、以前当ブログで、田辺市本宮町は川湯温泉の<仙人風呂>について書いた際にも紹介した、「Bookcafe kuju」へ。このあたり、実は意外と近いのです。といってもそれぞれ10kmくらいは離れているのですが。

 

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こちらでは、廃校になった小学校校舎を利用し、本屋とカフェが併設された「Bookcafe kujuu」と、石窯パン屋さん「パン むぎとし」が営業されています。

 

 

先ほどの成果を互いに労いつつ、特製ジビエシチューを頂いて、 本のコーナーで、こちらも以前当ブログで紹介した、“街と山のあいだ”なリトルプレス『mürren(ミューレン)』のvol.21(2017.7)、「多摩丘陵」特集を買って帰りました。

 

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 図らずも当ブログの和歌山案内、自然観察案内のプチ総集編のようになりましたが、紀州のど真ん中で、都心の自然にも思いを馳せつつ、息子はというと、今度は憧れの<ハッチョウトンボ>(全長2センチほどの、<日本一小さいトンボ>)が見たい!と張り切っていました。和歌山県のレッドデータブックでは準絶滅危惧種としても知られるこちらは、県下では古座川町でよく観測できるとのことですので、一度行ってみたいな、と思っています。

 

今回は、トンボたちを眼前で観察するのに役立った、最短焦点距離50cmの“マクロな双眼鏡”、ペンタックス Papilio IIについても紹介したかったのですが、長くなりすぎたのでこれはまた次の機会に。

 

「近く」を見れる唯一無二の双眼鏡。目の前の花や虫などを見ると、本当に小人気分が味わえます。これ、本当に素晴らしいので、改めて紹介してみたいと思っています。 

 

日本のトンボについてはこれ一冊で完璧だそうです。当日の講師、和歌山のトンボ博士M先生もお薦めの一冊。 

 

田んぼ水族館の桟橋に来ていたスズメたち。どうもお騒がせしました。