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環境省レッドリスト掲載種<ウチヤマセンニュウ>を観ました。――孔島・鈴島の探鳥会にて

 

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環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB類の希少種、ウチヤマセンニュウ。でもその前に――、

 

5月27日、いつものように小学生の長男と二人で自然観察会に出かけました。

 

今回のターゲット、ではなくて観察対象は、野鳥の<ウチヤマセンニュウ>。環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB類の希少種で、冬は中国(中華人民共和国)南部などで越冬し、日本では繁殖期である夏場、伊豆諸島や紀伊半島、九州などの限られた島嶼にのみ飛来するという珍しい鳥です。

 

――ということは私は、環境省と日本野鳥の会和歌山県支部主催の今回のイベントに参加するまで全然知らなくて、写真を見る限りぱっと見はウグイスのような、地味めのたたずまいのウチヤマセンニュウ。しかしながら昨年から長男とともに(気軽に)始めた野鳥観察のなかで、そんな珍しい鳥を見る機会はなかなかないので、ふたりともワクワクしながら、朝6時に起床。2時間車を走らせて、参加してきました。

 

場所は和歌山県新宮市、孔島(くしま)、鈴島。市内の三輪崎漁港のそばにある小さなふたつの無人島です。本州最南端に近いこの場所だけあって、ハマユウ、ノアサガオといった暖地性の海浜植物の宝庫だと言われています。

 

www.shinguu.jp

 

 

9時前に漁港近くに集合。この会はウチヤマセンニュウの生息数調査も兼ねているとのことで、日本野鳥の会和歌山県支部のヴェテランバーダーの方たちが沢山いらっしゃっていました。色々と教わるつもりで付いていきます。まずは歩いてすぐそばの鈴島へ。

 

島というより岩山に木々が生えた程度、といった感じの<鈴島>。

 

こちらは本当に奥行き10数メートル?くらいのほんの小さな島ですが、足許の蟹などを眺めていると、チュピチュピチュピ。すぐに鳴き声が聞こえてきます。「これ、そうですよ」。――絶滅危惧種とあって、こんなに簡単にいるものだとは思っていませんでしたが、ちょうど岩の向こう側のようで、姿は見えません。それでもまた、孔島にもたくさんいるだろうということで、堤防で繋がった孔島へ向かって歩いていきます。

 

 

しかし自然観察教室というといつもそうなのですが、こういうときに、ただ目的地まで、目標物まで一直線!とならないのが面白いところ。いつも参加しているふるさと自然公園センターの観察会でもお世話になった、野鳥の会のTさんが、「ほら、見て。ずうっと水辺線が続いていて、地球が丸いのがわかるわねぇ」と言えば、別の方がずっと沖合を眺めて、「<オオミズナギドリ>がいますよ。ほら、あの船のあたり」。

 

うまく見つけられないので、言われたあたりになんとかズームして、とりあえずシャッターを押したもの。小さく写っているミズナギドリ類(後述の通り、オオミズナギドリとは特定できない、ということで)の群れ。

 

ビギナーの私には、肉眼では全然分かりません。かすかに何か飛んでいるように見えるあたりに、以前このブログでも紹介したフィールドスコープや、今回新調した双眼鏡を向けて、息子とふたりで交互に覗き込みます。なかなかうまく視界に収められないでいると、ここでも優しい先輩方。こうした探鳥会ではいつも、達人のバーダーの皆さんが、三脚に設置した自らのフィールドスコープの視界に鳥たちを捉えて、見せて下さいます。それでもかなり遠くなので、なんとなくしか分かりません。ヴェテランの皆さん方凄い! 

 

孔島でウチヤマセンニュウを発見! なんとか証拠写真に収めました。

 

なんて感心しながら、孔島へ到着。孔島には言われていたとおり、ノアサガオなどが咲いていて南国の雰囲気漂う自然豊かな島です。――期待しつつ耳を澄ませていると、聞こえてきました。

 

 

咄嗟であまり録音がいいとは言えませんが、よく通る囀り(song)です。

 

ウチヤマセンニュウの囀りです。聞こえてくる林の方に一斉に目を向け、各々カメラや望遠鏡を持って構えます。私も探しつつ、今回、初めてスマホで録音してみたのが上のファイルです。そして待っていると、出てきました。囀りつつ、枝と枝へと飛び移り、ちょうど見やすい、木の真上に止まったところを息子は双眼鏡、私はカメラを向けましたが、私のカメラのピントがなかなか合わない! ズームがうまくいかず、なんとか画角内に収めたのが、実は今回のアイキャッチにも使っている下の写真。どこに写っているか分かりますか?

 

 

上の写真の画面右中央あたり、写っているところを切り取ってみました。惜しくも向こうを向いています。ウチヤマセンニュウのはっきりした姿を知りたい方は、他サイトを確認して下さい。スミマセン。 例:♪鳥くん野鳥図鑑◇ウチヤマセンニュウ

 

ちょっと顔が向こうを向いちゃっていますね。「証拠写真」はこれだけですが、息子は持参の双眼鏡――今回新調した「ペンタックス Papilio II 6.5x21」。実売1万円前後と比較的手に取りやすいモデルながら、最短焦点距離0.5mで、「近くを見れる」双眼鏡として唯一無二のモデルで、今回、あるヴェテランの方にも「お、パピリオ持ってるやん」と一目置いて頂きました。また機会があれば紹介してみたいと思います――でしっかり目視できたようで、満足していました。

 

そのあとも何度かウチヤマセンニュウの姿を見ることができましたし、それ以外にも、樹上で鳴くカワラヒワや、砂利浜の上でおそらく卵を暖めているコチドリを、少し遠くからみんなで見守ったりして、当日の陽気と同じ、愉しく暖かい雰囲気の自然観察会、探鳥会でした。

 

そして「鳥合わせ」。バーダーたちの探鳥会では、終了時、当日観察することのできた鳥の種類を挙げて、確認し合います。ここでスズメやカラスのような、ごく普通の鳥たちもちゃんと数えるところがいいな、と思います。今回見られたのは以下の18種。また、ウチヤマセンニュウは計6箇所で囀りを確認。少なくとも6つがいは、繁殖に来ているということが確認できました。

 

トビ/ハシボソガラス/ツバメ/カワラヒワ/ウチヤマセンニュウ/スズメ/ササゴイ/イソヒヨドリ/キジバト/アマツバメ/クロサギ/ムクドリ/コチドリ/チュウシャクシギ/キアシシギ/カワウ/キョウジョシギ/ミズナギドリsp.※ 


※オオミズナギドリといっていたのは、やはり種が特定できないということで、ミズナギドリ「sp.」(ミズナギドリ「類」)だということ。

 

今後とも大先輩たちに教わりながら、息子とともに鳥見を愉しみたいと思います。3歳になった下の子も続いてくれるといいな。

 

その他、鈴島、孔島の自然グラフ。

 

そこかしこに咲くノアサガオ

 

樹上で鳴くカワラヒワ

 

卵を暖めているらしいコチドリ。実はけっこう遠くて(数十メートル先)、砂利に紛れているのにどなたかが見つけて下さるのです。探鳥家凄い!とここでも。

 

こんなのもいました。先日の鳥の巣半島にもいらっしゃっていた、トンボ博士のM先生が見せてくれたオジロアシナガゾウムシ

 

見渡す限りの水平線。孔島・鈴島、またゆっくり来てみたいと思います。

 

6倍と通常鳥見で使う8倍より倍率は少し低めですが、「近く」を見れる唯一無二の双眼鏡。目の前の花や虫などを見ると、本当に小人気分が味わえます。「自然観察の最強アイテムを手に入れた!」と親子で歓んでいます。こちらは、また改めて紹介してみたいと思っています。 

 

【気軽に始められる鳥見ですが、少しずつ道具を揃えていくのも愉しいです。】

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