ソトブログ

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ソト家の今月の探鳥地――和歌山・紀中地域の和田不毛と阿尾湿地でシギチ、オオヨシキリ。(2019年4月)

 

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10連休と言われる今年(2019年)のGWですが、私としては初めの3日間だけの休みになりそう――というわけで、遠出とかは出来なさそうなので、近場にある、初めての場所に探鳥に繰り出してみました。いつものように小学生の長男と、幼稚園に通い始めた次男を連れて。

 

バードウォッチングは私の嗜好で始めたのではなくて、自然観察教室に通う長男が興味を持って、私たち父子の共通の趣味になったもの。今回行くことにした、和歌山県は紀中地域の探鳥地として知られる和田不毛と阿尾湿地も、長男が調べて行きたいと言いました。

 

和田不毛(和歌山県美浜町)

(財)日本野鳥の会和歌山県支部 今月の探鳥地 和田不毛
和田不毛/御坊市ホームページ

 

和歌山県、紀伊半島西岸の、中央あたり、すなわち「紀中」に位置する美浜町と日高町にまたがる水田地帯、通称「和田不毛」(わだぶけ)は、四季を通じて様々な鳥が見られる処として県下のバーダーには知られています。いまの季節なら、旅鳥であるシギチ(シギ・チドリ類)が見られるのでは、と期待して訪れてみました。

 

農耕地ですから、GWとはいえ農家の方々は熱心に作業をされているところ。邪魔にならないように気をつけながら、見渡すかぎり拡がる田畑に目を凝らしていると、休耕地らしきヨシ原から、長男とふたり、これまで何度か目にする機会がありながら、その姿をカメラで捉えることができなかった、「ギョギョシ、ギョギョシ」とも表現される特徴的な大きな鳴き声の鳥を見つけました。

 

オオヨシキリ

 

――今回の記事のアイキャッチも挙げた、オオヨシキリです。全長18cmほどの小さな体躯から、どうしてこんなふうに喧しい、いや賑やかな声を出せるのかと驚くばかりですが、だからこそ、ヨシの間を飛び回りなかなか姿を捉えることが出来なくても、その声でその存在を知ることができます。とはいえ、野鳥に興味を持っていなかった頃にはその声も、私には鳥とすら思えず、虫とかカエルくらいに思っていたかもしれません。識っていること/識らないことによって、世界はそんなふうに違って見える。

 

 

和田不毛ではこの他、旅鳥としてのシギチの代表格のひとつ、ムナグロの姿も初めて目にすることが出来ました。また、息子は何度か撮影していたケリも、私は初めて、愛機Nikon P900で収められました。

 

ムナグロ

図鑑に「群れで行動するが、食べるときにはばらばらに動きまわる」(『ヤマケイ文庫 くらべてわかる野鳥 文庫版』より)とあるとおり、この日目にした二羽も行動を共にする、というよりめいめい好き勝手に歩き回っているようでした。

 

 ケリ

 

阿尾湿地(和歌山県日高町) 

煙樹海岸県立自然公園 | 和歌山県
(財)日本野鳥の会和歌山県支部 今月の探鳥地 阿尾不毛

 

美浜町の隣町、日高町のこちらも海岸線に位置する汽水性の湿原、「阿尾(あお)湿地」も、「阿尾不毛」と呼ばれていた処で、約14万㎡と広大な湿地帯ですが、数年前に野鳥観察小屋や遊歩道が整備されたそうで、駐車スペースもあるなど私たちのようなビギナー・バーダーにとっては気軽に訪れやすい場所と言えそうです。

 

 

本当にだだっ広い、有り体にいって広大な湿地と草木の他何もない場所で、アトラクティブで目を惹く観光地、とはいえないスポットであって、私もバードウォッチングに関心を持たなければ訪れることがなかったかも知れません。事実、10年以上和歌山の地で暮らしていながら、今回初めてこの阿尾湿地のことを知り得たくらいです。けれどこの日は、私たちが車で着いてみると、サイクリングの二人組がいらっしゃったり、そばの県道ではツーリングのバイクが行き交っていたり、鳥に興味がなくても、そんなふうにナチュラルに、自然を愉しみながら眺めたり、通り過ぎたりするだけでも、「ここにこんな場所があって良かった」と思える処であるようにも思えました。実際行ってみると、蚊が多かったり、天候・気候にも過ごしやすさが左右されやすい場所でもあるかとは思いますが、何事もない休日や、忙しい合間に訪れたい。そんなスポットに、(私には)なりました。

 

肝心の鳥の方は、広大な湿地の向こうの、遠くの方にカモ類が泳いでいたり、アオサギやダイサギといったお馴染みの水鳥たちがいるものの、「今日はハズレかな?」と思っていると、私からすると「超絶的に目の良い」長男がまたしても、見つけました。遠く数百メートルの向こう岸に、私たちには馴染みのないシギチ類がいるようです。

 

アオアシシギ(?)

 

かなり距離があったのと、天候も曇りがちで自慢の愛機、2000mm相当、83倍ズームのNikon P900でも鮮明に捉えることが出来なかったので、あまり自信はありませんが、おそらくアオアシシギではないかと長男と考えています。ヴェテラン・バーダーの方にご教示頂けるととても嬉しいです。

 

トウネン(?)

 

こちらもかなりぼんやりした写真ですが、こちらはトウネンで間違いないかな? と思っています。トウネンも初めて目にすることができました。

 

「ただ鳥を見る」、バードウォッチングというレジャーの持つ魅力。

 

私たち父子にとっては短いGWになってしまいましたが、今回の鳥見行は、初めての出合いもたくさんあり、新たな探鳥地も開拓することが出来た愉快で悦ばしい一日になりました。こんな日々の積み重ねで、鳥見ライフを充実していくことが出来たら、これ以上の歓びはありません。「ただ鳥を見る」、バードウォッチングというレジャーの持つ、そんなふうに思える魅力に心を捉えられている、そんな今日この頃です。

 

本日見られた鳥たち

和田不毛

ムナグロ/ケリ/スズメ/キジバト/キジ/オオヨシキリ/ハシボソガラス/カルガモ

 

阿尾湿地

トウネン?/ウグイス(声)/スズメ/ダイサギ/アオサギ/アオアシシギ?/コガモ/カルガモ/マガモ/ハシブトガラス/ハシボソガラス

 

 

ヤマケイ文庫 くらべてわかる野鳥 文庫版

ヤマケイ文庫 くらべてわかる野鳥 文庫版

 

何度かこちらで紹介している野鳥図鑑のひとつ。他に優れた図鑑もたくさんありますが、こちらはKindle版があって、スマホをポケットに忍ばせていれば、すぐに調べたり、確認出来るところが重宝しています。

 

既に発売から4年以上経過したモデルであって、後継機のP1000よりもスペックでは劣りますが、P1000と比較してコンパクトな筐体に、2000mm相当、83倍ズームを誇るレンズ一体型の、これでもコンデジ。探鳥会や自然観察会に行くと愛用している方も(本当に)多いモデル。私は数ヶ月前に最近購入したくらいで、今でも全然使える、自然観察/野鳥観察用途の名機だと思います。

  

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