ソトブログ

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こんな夕方に逢えるなら、いつも鳥を見ていたい。――父と子のバードウォッチング・ライフ #003

 

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2019年11月某日/スーパースターとの探鳥会との翌日は、親子でご近所ソロ探鳥。本日はミソサザイを求めて。

 

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大阪は長居公園でのレジェンド=叶内拓哉さんとのバードウォッチングの翌日は、長男と二人でご近所ソロ探鳥。とはいえ2年も続けていると身近な場所でも色々と、「ここにはあれがいるらしい」「あの場所のこの季節にはこの鳥が」といった情報が得られるもので、また、そうした目的を持たないとディスティネイションにならないスポットが、まだ見ぬ鳥を求めてわざわざ訪れる価値のある処になる――というそのこと自体が面白い。

 

本日の目的地は隣り町の山あいの渓流のほとりにある小さな神社。そこで野鳥の会の大先輩(そうそう、先日ついに、息子とふたりで日本野鳥の会に入会した)が会誌に観察記録を書かれていた、ミソサザイが本日のささやかな、しかし一番のめあて。

 

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道路わきのGSの手前のクルマ一台分の下り坂をゆっくり降りると、渓流、というには穏やかながら、なかなか雰囲気のある川の流れが見えてくる。たしかにミソサザイがいてもおかしくない、というかいて欲しいという期待をしながら近づいていくと、やはり息子がいち早く、鳥影を捉えた。

 

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「頭央線がないからやっぱりメボソかな?」と息子と。

 

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この10〜11月にかけて、何度か各地で見かける機会のあったメボソムシクイ。一度見ることができると、次からは自然と視界に入ってくるようになるから野鳥は不思議。

 

ミソサザイではないが、おそらくムシクイ、このところ色々な場所で見かける機会のあったメボソムシクイだろうか。もう11月の中旬だけど、夏鳥のムシクイが見られるのはギリギリの時期だろうか。対岸の藪のなかをすばしこく動き回る相手の姿を、ふたりしてファインダーや画面ごしにひとしきり追いかけた。――こういうとき、人里とはいえ、自然のなかは「彼ら」のフィールドだと思い知る。いかに田舎に暮らしていても、わたしたちは建造物の内で生活している。

 

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それからはピヨピピーヨといつでもどこでも五月蝿いくらいに鳴くヒヨドリのほか、めぼしい野鳥は見られなかったものの(それにしてもどこにでもいる、というだけで何となく、バーダーにさえ嫌われている、とまでは言わなくてもさして好かれていないヒヨドリの不憫さ!)、渓流のせせらぎ、午後の光の陰影。神社の境内にはアサマリンドウの群落がこぞって蕾をつけているのをかがみ込んで写真に押さえたり。

 

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アサマリンドウは紀伊半島と四国(資料により中国地方や九州などとも)の山地の林のなかに自生する多年草。三重県の朝熊山(あさまやま)の周辺に多産するので「アサマ」の名がついている。

 

街へもどり、馴染みの場所でオオジュリンを探す。

 

CD声でわかる山野の鳥―ハンディ図鑑「新・山野の鳥」対応

CD声でわかる山野の鳥―ハンディ図鑑「新・山野の鳥」対応

 

同じく日本野鳥の会の『新・山野の鳥―野鳥観察ハンディ図鑑』に対応した鳴き声CD。めあての鳥をあらかじめ聴いておいたり、後で確かめたりと、探鳥ライフにとても役立っています。

 

街へもどり、いまだわたしたちの写真に捉えることが出来ていない、オオジュリンの姿を求めて主戦場にしている下流域のヨシ原へ。日本野鳥の会の『CD声でわかる山野の鳥』をリッピングしてスマホに入れている音源で鳴き声を聴き返し、オオジュリンが確かにここにいることを改めて確認。すると、時折ヨシ原のなかからそれらしい姿があちらからこちらへ飛び去ったり、ちょっと脇の、河原に出る人が通って踏まれて開けて道のようになったところの地面に下りた!――カメラを慌てて構えると、またヨシ原のなかへ消えていったり。

 

そんなことを繰り返して、一度仕切り直しのためちょっと歩いて、昨年からこの場所で越冬、繁殖しているらしいシロガシラの姿を今日も見かけたり。

 

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いつも見かけるバンのペア(かなりピンぼけ)。

 

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不本意ながら脅かしてしまい、対岸へ飛び去ったキジ。近くにメスもいます。

 

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シロガシラ。国内では主に沖縄や八重山諸島にいると言われるヒヨドリ科の野鳥。地元紙で記事になった昨年から、ツーペアくらいが居ついている様子。本州では迷鳥のようですが、和歌山は比較的温暖だからでしょうか。

  

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こういう枝先のてっぺんにいるこのサイズの鳥はだいたいモズだな、とわかってくると、なんとなくモズのことを侮ってしまって、モズに対して少し申し訳ない気持ちになる。(↓へ続く)

 

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ところがこれより後の別の日、別の場所の写真ですが、「小さな猛禽」の異名もとるモズの、モズらしいこうした猛々しい姿を見ると、やっぱり格好いいな、と思ってしまうのも、こちらの勝手な解釈、思いこみか。

 

他にいつもここで見かけるバンのペア、ヨシ原の茂みのなかで、それと気づかずに不用意に近づいて脅かしてしまい、奇声とともに飛び立ったキジのペア。いつものようにてっぺんに屹立する夕暮れのモズ。そしてふたたびオオジュリンの姿を探すものの、本日は捉えきれず。

 

――そんな折の夕暮れの光と影に、ちょっと感激して、息子とともにリベンジを誓う。

 

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ヤマケイ文庫 野草の名前 秋冬

ヤマケイ文庫 野草の名前 秋冬

 

植物(野草)の種類はこちらの電子(Kindle)版をインストールして、参考にしています(今回のアサマリンドウは神社に群生地として記載がありましたが)。同書はシリーズとして、「」「」編もあり。

 

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