ソトブログ

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“A Midsummer's Fantasia”――Amazon Musicでプレイリスト、2018年夏のサウンドトラック Vol.1

 

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――これまでのあらすじ。

 

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当ブログでは、毎月、Amazonプライムミュージックでプレイリストを作成、そして読者の方からも送って頂き、毎月、紹介してきました。前回(6月)、7月のテーマは七夕にちなんで“Couples”とお伝えしましたが、7、8月とここまで記事にしそびれていました。7月、8月もプレイリスト自体は私自身も作り、また、送って頂いたものもありますので、まだこの暑い暑い暑い暑い夏が終わらないうちに、「“A Midsummer Fantasia”――2018年夏のサウンドトラック 」と題して何回かに分けて、紹介してみたいと思います。

 

今回は7月に作っていた、私のプレイリストです。

 

“Couples in Stereo”(選曲:ソト)

 

※以下、選曲は全て、「演者/曲名」で表記しています。
※プレイリストのリンクをクリックすると、Amazonプライム会員の方は、ブラウザやAmazon Musicアプリでプレイリストが聴けます。

 

“Couples in Stereo”(選曲:ソト)

 

M01. Anna Kendrick and Justin Timberlake/Can't Stop the Feeling! ※Ost: Trolls(邦題『トロールズ』)より
M02. パスピエ/MATATABISTEP
M03. 環ROY/midnight breaking fishman
M04. Mark Ronson feat. Rivers Cuomo/I Suck
M05. TLC/Waterfalls
M06. Brandy/Never Say Never
M07. 赤い公園 feat. KREVA/TOKYO HARBOR
M08. noodles/wall flower
M09. Joy Division/Love Will Tell Us Apart
M10. Fifth Harmony/Work from Home
M11. 泉まくら/いかれたBaby
M12. Tahiti80/DARLIN'(ADAM & EVE SONG)

 

プレイリストの作り方。

私の場合、プレイリストを作るとき、何となくテーマを頭の片隅に置いて、良さそうな曲をどんどんプレイリストに放り込んで行きます。だいたい最終的な曲数がアルバム1枚分、10曲くらいとして、少なくも2倍、多ければ3倍くらいになったところで、そのなかから、「自分にとってベストの10曲を選ぶ」のではなくて――、全体のバランス、曲の繋がり、通して聴いたときの気分みたいなものを意識しつつ構成していきます。その構成の仕方で、よりテーマにふさわしいアイデアが出てきたり。

 

プレイリストなんて、ただ既存のライブラリから好きな曲を選ぶだけの作業ですが、こうして改めて言葉にしてみると、意外に頭(この場合、耳?)の使い方として面白い作業だな、と思ったりもします。

 

――今回のプレイリストの話に戻ると、選んでは捨てたり、また戻したり、何度も並び替えたりしながら、今回は、曲と曲との「カップル」を作っていく、つまり、2曲ずつの「組」を作っていくように並べてみることにしました。ただ、全体のまとまり、プレイリストして並べたとき、聴いたときの“華やかさ”と“耳心地の良さ”も考慮して、その「カップル」に当てはまらない、「ボーナストラック」的な曲として、M05、M12を配置しています。

 

全曲解説。

M01. Anna Kendrick and Justin Timberlake/Can't Stop the Feeling ※Ost: Trolls(邦題『トロールズ』)より
M02. パスピエ/MATATABISTEP

www.youtube.com「Can't Stop the Feeling!」、アナ・ケンドリックの「楽屋ダンス」が最高なプロモムーヴィー(Official)

 

M01、02が1組めのカップル。
ジャスティン・ティンバーレイク×アナ・ケンドリックという2大スター共演のパーティ・トラックを1曲目にした時点で、今回は「オレ的ビルボードTOP100」感、というか、メインストリーム感、メジャー感で行こうと決めました(実際この楽曲は、第89回アカデミー賞歌曲賞ノミネート曲でもあります)。――というわりにM02はオルタナ・ポップ感のある日本のロックバンド、パスピエです。しかしながら、いやいや、M01に十分見合うテンション。実は今回のプレイリストに限らず、私がAmazon Musicで見つけるのは、旧知の曲ではなくて、自分の音楽の好みとの関連で、これまで興味はあったけどあまり聴いたことのなかったものや、初めて聴くもの(アーティスト、曲ともに)を中心に選んでいるのですが、このパスピエ、この曲は、以前から愛聴しています。

 

M03. 環ROY/midnight breaking fishman
M04. Mark Ronson feat. Rivers Cuomo/I Suck

M03、04はヒップホップ部門。環ROYは日本のラッパー/トラックメイカー。ハードなトラックですが、曲名にもある通り、90年代最高のバンド(主観です)にして私の最も好きなバンド“フィッシュマンズ”へのオマージュのようで、フィッシュマンズの様々な歌詞や曲名がリリックに織り込まれたアクロバティックな楽曲になっています。M04は先頃、星野源とのツーマンライブも決定したグラミー賞受賞DJ/プロデューサー、マーク・ロンソンに、米ロックバンド、Weezerのリヴァース・クオモがft.された1曲。Weezer/リヴァース・クオモというと、90年代アメリカ、オルタナ/インディーロックの文脈から登場しながら、ナードなルックスとナイーヴな歌詞と泣きのメロディで、日本でも非常に人気の高いアーティストですが、近年はラッパーのB.o.Bやバイオリニスト、リンジー・スターリングといったメジャーでアッパーな客演ワークや、自作の日本語詞を拙い発音で歌うJ-Popユニット「スコット&リバース」など、肩の力の抜けたような、吹っ切れたような雰囲気の活動が目立ちます。何となく、「私もこんなふうに年を取っていきたいな」と思えるような(何の話だ?)。

 

M05. TLC/Waterfalls
M06. Brandy/Never Say Never
M07. 赤い公園 feat. KREVA/TOKYO HARBOR

M06、M07はアーバン路線。M06は90年代後半に一世を風靡したR&Bの歌姫、ブランディ。実は同じく90年代を席巻したTLCのM05と迷ったのですが、両方とも入れてみました。そしてM07は、私は完全に初めて聴いた日本のバンド、“赤い公園”。これはバンドとしては例外的らしいシティポップ・マナーな佳曲。それにしても今のバンドって、本当に皆、センスもいいし腕も巧みだし、感心してしまいます(おじさんの意見)。そしてこの辺りで気づかれたかも知れませんが、今回のプレイリストの2曲ずつのカップリングは、洋/邦の組合わせにもなっています。


M08. noodles/wall flower
M09. Joy Division/Love Will Tell Us Apart

www.youtube.comJoy Division「Love Will Tell Us Apart」Official MV(今これがオフィシャルで見れるという驚き!)

 

私は90年代ノットデットなアラフォー世代で、ギリギリまだ、ロックミュージックにムーブメント(たとえメディア等によって作られたものだととしても)があった時代であって、オルタナティヴ・ロックやブリットポップといった、当時の雰囲気を持った音楽を聴くと、いっぺんに10代の気分に引っ張られていってしまうのですが、M08のヌードルスも、90年代デビュー組。日本の女性のみのスリーピースバンドです。とはいえ私は当時は彼女たちの音楽は聴いていなくて、こちらは2017年の作品。ずっと変わらないでいられる、ということの格好よさ。M09は時代を遡って、70年代後半は英・マンチェスター。当時のポストパンク/ニューウェイヴの代名詞的バンド、Joy Divisonの代表曲。後のNew Orderの前身ですが、Vo.のイアン・カーティスの自殺(享年23歳)によって、バンドは幕を閉じました。「愛はまたしても、僕たちを引き離す」という歌詞が痛切ですが、軽快なビートとキラキラした当時のシンセサイザーの響き、気だるく優しいボーカルが、暑い夏に涼しさをもたらします。

 

M10. Fifth Harmony/Work from Home
M11. 泉まくら/いかれたBaby

www.youtube.comFifth Harmony「Work from Home」Official MV。こういうのはやっぱり、MVも合わせてひとつのエンターテイメント、という感じがしますね。ちなみに泉まくら「いかれたBaby」のOfficial MV(というよりほぼ静止画で、試聴用?)との此彼の違い、この落差!

 

M10のFifth Harmonyは米オーディション番組から誕生したガールズグループ。というわけでまさにビルボードTOP100、アメリカのティーンが聴くようなこの手の音楽こそ、私は普段全然聴かないタイプのものなのですが、意外にも、年を取るごとに音楽って、結構「何でも」聴けるようになって来るものです(皆が皆そうではないでしょうが)。それに、こういうエンターテイメント最前線な音楽はやっぱり、ビートや手法の面白さ、音楽としてのキャッチーさ、活きのよさに充ちています。一方でM11 。こちらは日本の女性ヒップホップMC。とはいえこの曲は、先にも挙げたフィッシュマンズの代表曲にして、オリジナルはレゲエ/ロックステディをベースにしつつ、独特の涼しさを持ったラブソングであって、このカヴァーも、ラップではなくて普通の歌唱なのですが、原曲とは随分違う、ナイーヴで独特の暗さを纏ったものになっています。実はこれも、今回初めて聴きました。20年前の私なら許せないカヴァーだったかも知れませんが、今は、「今の空気に置き換えるとこうなのかも」とも思えてくるから不思議。

 

M12. Tahiti80/DARLIN'(ADAM & EVE SONG)

ラストは90年代後半からゼロ年代にブレイクしたフランスのインディーポップ/ロックバンド、Tahiti80。歌詞はちゃんと読んでいないのですが、タイトルから、“Couples”というテーマにふさわしいクロージング・トラックとして。

 

次回に続きます。

 

軽い気持ちで、ライトに紹介しようと思っていたのですが、思わず長々と書き連ねてしまいました。プレイリストについての記事は、いつも切り口を探し、丁度よいテンションを探すのが難しくて、結構時間がかかってしまうのです。――と、7月サボってしまった言い訳ですが、もしよかったら、引き続きお愉しみ下さい。次回は同じ“Couples”というテーマで、当ブログに送って下さった素敵なプレイリストをいくつか、ご紹介します。

 

 【これまでに紹介したプレイリストについてはこちら】