ソトブログ

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“草の上の朝食”――Chromebookオフ会にて、Chromebookのためのソングブックを。

 

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それがアキラの撮った写真となるとからだ全体を押しつけてくるような存在感が写ったものに反映されるのか写真に独特なリアリティを与えて、あちこちのコンテストで賞をとったりしてこっちは才能なんだろうとは思うけれど、才能があると思ってアキラとつき合っているわけではない。アキラが寄ってくるからこれがアキラだと観念してつき合っているだけのことで、人が相手の長所や才能を認めてその相手とつき合うわけではないことをそれこそ身をもって証明しているのがアキラだということになる。

 

保坂和志『草の上の朝食』(中公文庫)より

 

 Chromebookオフ会にて。

 

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2018年3月18日。当日の朝、新幹線の車内で直前の気持ちを書いた(上記の記事)とおり、ブログ『おふぃすかぶ.jp』を運営される鈴木章史さんの主催によるChromebookオフ会に参加してきました。ここでもその感想などを書こうと思っていたところ、(当日の雰囲気は気軽な「お茶会」であったにも関わらず)変に身構えてしまい、うまくまとめられず1週間以上経過してしまいました。そのこと(感想をまとめられないこと)自体はひとえに私の性向に拠るもので、何とか整理できれば改めて形(文章)にしてみたいな、とは思っています。

 

さて当日、私は他の参加者の皆さん(私以外に、4人の方が参加されていました)に、「This Charming Chromebook」というミックスCD(プレイリストCD)をお渡ししました。例えばプロ野球について私たちが語るとき、グラウンドで起こること、すなわちプレーの技術や采配の良し悪しだけでなく、選手個々人のバックストーリーや観客サイドの視点(応援スタイルその他の愉しみ方の話etc.)など、様々なパースペクティブの語りが存在します。

 

――だから私は、ガジェット通でもなくコンピューターに精通しているわけでもない私なりの愉しみ方を提示してみたいな、(たとえ興味のない人にとっては「チラシの裏」みたいな話であったとしても)常々そう考えています。世のなか、「有益な」「役に立つ」情報ばかりになってきて、私にとって世界は、私の(そこにあると)想像していた世界と随分違うものになってきたな、と、前厄の歳を迎えて実感しているこの頃なのですが、私にとってのChromebookって、冒頭に引用した小説のセンテンスのように、

 

“人が相手の長所や才能を認めてその相手とつき合うわけではない”

 

ものなんですよね。「<便利だから>好きなわけじゃない」「<便利に>使いたいわけじゃない」というか。じゃあ何なのかというと、「好きだから好き」――というと「バカなんじゃないの?」と思われてアホくさくてこの文章を読むのを止める方がいるのも想像しつつ書くのですが、私は「本当に面白いものが面白いのは、その面白さを説明できないからだ」と結構本気で信じていて、ChromebookにはChrome OSというブラウザオリエンテッドなOSを活かしたそれなりの特性があって、それが使用感に影響して、(合う人にとっては)非常に快適なデバイスであって――なんて説明は、私のような生半可な人間が書くことじゃない。

 

ディスチャーミング、クロームブック(かわいいあの娘)。

 

2018年3月18日、渋谷にて開催されたChromebookオフ会にて。皆さん熱っぽく語られていて、そのこと自体、愉しかったです。

 

というわけでここでは、(いささか手前味噌が過ぎますが)当日お渡ししたミックスCDと、そこに添えた文章を紹介してみたいと思います。私自身の音楽の趣味は広く、浅くですので、例えばChromebookに関心を持ってこの文章にたどり着かれた方にとって、これらが親しみを持って感じられる音楽なのか、それとも全くそうではない、あるいは全く知らない、というようなものなのかは想像がつきません。そしてここではあえて音源に対するリンクを貼ることはしません。

 

“「ただのラップトップのコンピューター」に、こんなふうに親しみを覚えて、音楽とリンクさせて考え、味わうバカなヤツがいるんだ”、あるいは、“そんなふうに人をバカみたいにさせるChromebookって何なんだろう?”と興味を持って下さる方が一人でもいたら、本当に嬉しく思います。そんな人は、こんな文章はすぐにうっちゃって、Chromebookについて有益な情報が書かれたサイト、レビュー等をチェックしてみて下さい。きっと貴方にとってのバディが見つかることでしょう。それだけは、請け合います。

 

いつもと同じ午後なのに――Chromebookのためのサウンドトラック。

 

いつもと同じ午後なのに――Chromebookのためのサウンドトラック

 

“This Charming Chromebook”というテーマの、プレイリストCDを作ってみましたので、本日お会いすることができた皆さんに聴いていただけたら嬉しいです。

 

ChromebookではCDは聴けませんし、ひょっとするとCDを聴く環境をお持ちでない方もいらっしゃるかもしれません。――となるとどういう形態でお渡ししたらいいのか、Googleドライブでファイル共有か、いっそより遊びごころのあるカセットテープでもいいかと思ったりもしましたが、CDの気軽さと“モノ”としての魅力(単に私自身がジャケットを作りたかったともいえます)が好きなので、ChromebookもChromeOSの魅力だけでなく、個々の端末のハードウェアの魅力も大きいとすると、CDでもいいのかな、と。

 

今回のCDには収録していませんが、ホフディランというグループに“Compact Disc”という曲があります。

 

Compact Discは燃やしたりできないらしい
Compact Discは再利用できないらしい
でも君はそれを聴いて楽しんでいる
(“Compact Disc” 作詞:小宮山雄飛)

 

Chromebookといっても私自身は昨年(2017年)6月末に購入した、ASUS C202SAを使ったことがあるだけで色々な機種を比較したうえで書くわけではないことは断っておかなければなりませんが、今回のCDは私がChromebookを使ってきて感じた魅力や愉しさを音楽にスライド/仮託/投影させてみたものです。

 

タイトルはThe Smithsの“This Charming Man”という曲をもじったもの。“This Charming Man”自体は、ゲイの少年の淡い恋心を歌ったものであって、他の曲も直接的にコンピューターやChromebookを想起させるような歌詞や曲はありませんが、どちらかというと、「愉しさ」「心地よさ」「軽快さ」を感じさせる曲が並んだように思います。それは私がC202SAに触れているときの感情の近似値といえます。

 

コンピューターを触っていて直接的に音楽を想起する人はそれほど多くないでしょうか。私がChromebookを使うときというのは、誰かに強制されるものではなく、ただ自分のために、自分が書きたくて書く文章を綴るというシチュエーションが圧倒的に多いのもあって、――例えば昔のAppleのiPodのCMのような――音楽とともに心躍るような感触があるのです。単純に指先がキーボードを叩くリズムが、フィジカルに音楽を想像させもします。

 

Chromebookをそれほど「深堀り」して使うことをしていない私にとっての、Chromebookはこんなイメージです。あなたにとっては如何でしょうか?

 

いつもと同じお日様なのに
いつもと同じかおりなのに
いつもと同じ木や花なのに
いつもと同じ午後なのに
望みもしないのに しあわせなのは
ガーディナーさん ガーディナーさん
きっとあなたの夢のせい
(“ガーディナーさん” 作詞:友部正人)


2018.3.18 ソト

 

Chromebookのためのソングブック、朝から昼下がりまで。

 

 Chromebookのためのソングブック、夕方から夜更けまで。

 

 私は「保坂病」あるいは信者というくらいにこの小説家の書くものの影響を受けていますので、2002年ころに初めて出合ったこの本については、別な記事を何十本書いても足りないくらいですが、これほど多幸感に満ちたフィクションは、そうそうありません。