ソトブログ

文化系バーダー・ブログ。映画と本、野鳥/自然観察。時々ガジェット。

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And Your Bird Can Sing.――外を歩けば鳥がいる限り、世界は楽しい。

 

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野鳥観察、始めました。そして自分たちの自作図鑑づくり。

 

昨年、2017年1月頃から小学生の息子(長男)と野鳥観察を始めました。

 

――きっかけは何だったか、当時1年生の息子と自分たちで見かけた、見つけた鳥たちの写真を撮ってスケッチブックに貼り付けた自分たちの図鑑を作ろう、ということで始めたMy(Our)写真図鑑が、先日、ようやく1冊目がいっぱいになりました。

 

48頁のスケッチブックなので、48種。プラス、実物は見たけれどうまく写真が撮れなかったもの、識別に自信がないもの、2種の写真は息子いわく「番外編」だということで、表紙ウラ(いわゆる表2と表4)に貼って、計50種に。

 

私たち親子の自作図鑑、50種目となったビンズイ。タヒバリとかアカハラとか、息子と2人、見分けで随分悩みました。 →後日、観察会で教えていただいて、ハチジョウツグミであると分かりました。日本におけるナショナルトラスト運動の先駆として知られる田辺市天神崎にて。(2018.2)

 

『身近な鳥の観察図鑑』(ちくま文庫)という本によれば、日本国内で、私たち人間の身近な生活圏のなかで1年間で見られる鳥は、だいたい40~50種程度だということです。私たち家族の野鳥観察も、そのために探鳥旅行をするようなことは(今のところ)していなくて、私たちの住んでいる和歌山県の街周辺の鳥たちで、おそらくそれほど珍しい鳥を見られたり、写真に撮れたりしているわけではありません。ごくごく、身近な鳥たちです。

 

それでもこうして鳥見を始めるまではこうして街場や近隣の自然にいる鳥たちのことなど意識したことなどなく、まして40〜50種類もの鳥たちがいることなど考えてもみませんでした。

 

ビギナーに嬉しい/優しい野鳥観察会。

 

ふるさと自然公園センターの野鳥観察会にて。ノスリ。こちらも先輩方が見つけて下さいました(本文参照)。初心者にとって、こういうイベントは本当に貴重です。(2018.1)

 

先日、1月末は私たちの住んでいる街にあるひき岩群国民休養地「ふるさと自然公園センター」で定期的に開催されている自然観察教室の野鳥観察会に参加しました。昨年、野鳥観察を始めたばかりの頃にもこの会に参加したのですが、この会では、自然観察教室の常駐の指導員の先生方の他、日本野鳥の会の和歌山支部の方など、豊富な知識を持った先輩方がいらっしゃって、毎回丁寧にレクチャーいただけるだけでなく、三脚に据えたカメラやフィールドスコープに捉えた鳥たちを、見せていただくことができます。

 

メジロ。昨年のふるさと自然公園センターの野鳥観察会。南方熊楠翁も眠る高山寺境内にて。(2017.1)

 

ここが面白いところなんです。

 

バードウォッチングというのは、双眼鏡やカメラなど、最低限の道具は必要ですが(あるいは肉眼で見えればそれすら必要ありませんが)、基本的には鳥をただ「見る」ことで成立する、楽しみなんですよね。そして基本的には、野鳥を観察するのですから、どこか特別な施設にお金を払って入場するわけでもない。もちろん、日本国内に限っても、気候や植生など、自然環境の違いから場所によって見られる鳥も変わってきますし、身近なものから珍しいものまで、国内で1年間に観測できるという600種以上という鳥を見ようと思えば日本全国津々浦々を旅して観察行に出掛けることもできるわけですが(実際、そのような本格的なバーダーの方も沢山いらっしゃると聞きます)、4、50種くらいでも、色々な鳥の姿形、鳴き声、生態を知ると、それまで何ということもなく見過ごしていた街場のカラスたち、スズメたち、ツバメたちのような本当に身近な鳥たち(普通種、などと言いますが)の姿も、気負って出掛ける観察行だけでなく、たまたま近所を歩いていて、あるいは旅先で、通勤や通学途中で姿を見かけるだけで、楽しい気分になる。

 

外を歩けば鳥がいる限り、世界は楽しい。

 

昨年は鳥に目が行くようになって初めての夏。ツバメたちのシャープな姿態と飛行の美しさに見とれました。(2017.7)

 

上空でトビとカラスが小競り合いをしていたり、カワウがV字隊列を成して一直線に飛行していたり、スズメが民家や電柱の樋や隙間に巣を作りそこから顔を出していたり、クルマを運転している目の前をツバメが乱舞したり――おおげさに言えばそれを意識するだけで、日常から飛躍させてくれるもの。それが鳥たちです。人によっては当たり前かも知れませんが、映画や音楽や文学といった人が創り出してきたものばかり享受していた私にとっては、これは発見でした。つまり、こういうことです。

 

“外を歩けば鳥がいる限り、世界は楽しい!”

 

身近であればあるほど、例えば糞害とか、騒音(群れを成して街場で生活するムクドリなどの鳴き声は近隣の人にとっては不快になることもあるそうです)などによって、私のように牧歌的なファンタジーに浸るばかりではいられないでしょうが(私だって愛車に糞を落とされて嫌な気持ちになることもあります)、少なくとも私にとってはこうして存在を意識することで、そうしたことも幾分かは中和されるというか。あるいは私たち人間の暮らしの変化によって鳥たちの生活圏も変わって、以前には山野に暮らしていた鳥が街に来て身近になったというケースも少なくないわけで、鳥について知ることで、今まで気がつかなかったことを知ることができるようになってきた気がします。私より全然鳥に詳しくなっている小学生の長男もそうであって欲しいな、と思いつつ、この1年間のゆっくりした歩みのなかから、いくつか写真とともに紹介したいと思います。

 

1年間の観察記録から。

 

以前にも紹介しましたが、野鳥観察を始めるきっかけになったブルーとオレンジ(レンガ色)のコントラストが美しい海辺の鳥、イソヒヨドリ「奥みなべ梅林 受領の里」にて(2017.2)。

 

木の実をついばむヒヨドリ。右隣には橙色の鮮やかなオオキンカメムシの姿も。串本町大島のトルコ記念館近くで(2018.2)。 

 

モズ(メス)。こうした小鳥もだいぶ見分けられるようになってきました。 (2017.12)

 

庭木に刺したミカンに集まるメジロ。自宅リビングから。すっかりあてにしてくれているようです。(2017.12)

 

近くで見ると本当に大きく雄々しいアオサギにはいつも圧倒されます。(2018.3)

 

 

【野鳥図鑑について】

自作図鑑の記述はこちらの図鑑を参考にしています。学習図鑑ながら、簡潔でわかりやすい説明と美麗なイラストで息子共々重宝しています。フィールド用の網羅的な野鳥図鑑としては日本野鳥の会による『フィールドガイド  日本の野鳥』もおすすめ。

 

【過去記事より、フィールドスコープ他、野鳥観察アイテムについて】

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記事タイトルは、振付師・竹中夏海さんのこちらの書名から拝借?、もじってみました。