2017-01-01から1年間の記事一覧
映画レビューをいくつか書いていると色々と考えることもあり、自分のアタマのなかを整理する意味でも、読んでいただいている方に、「どういうつもりで書いていて、どういうふうに読んでもらいたいのか」ということがいくらかでも伝われば――という思いもあっ…
観そびれてしまったために未だに観ていなくて、おそらくこれからもしばらく観ない映画というものが誰にでもあって、映画を観ない人だったら小説でもマンガでもゲームでもいいのですが、そういうものは直接に生活に影響しないものだからこそ、その人の人生を…
“恋愛したらスクールカースト三段落ち”――真偽の程はアラフォーの私は知る由もないし知る気もありませんが、そんなことさえ囁かれる世のなかであって、20年も前の、アメリカの片田舎を舞台とした、「流れ者の中年男と有閑マダムの不倫恋愛映画を観る意味がど…
私も毎週聴いているTBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」で、明日、10月21日の放送において、リスナー投票で選出する“一番好きなスピルバーグ作品”を選ぶ『第1回スピルバーグ総選挙』が開催されるとのこと。私はスピルバーグ全作品…
エドガー・ライト監督作品は、映画を日常的に観るようになったのがここ数年のため、ほとんど後追いですが『ショーン・オブ・ザ・デッド』から『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』まで、あるいはそれ以前のテレビドラマ『SPACED ~俺たちルームシェ…
先日Chromebookの記事でも書いたのですが、個人のお気に入りの道具、というのは突き詰めるとフェティッシュな部分が大きくて、ボールペンにおいても一人ひとり持ち方書き方筆圧等々も異なるし、「左利きにとってこれが正解」というものがあるわけではないと…
私自身左利きで、様々な道具が右利き用に作られていることから不便に思うことがいくつかあって(あるいは、「不便」であることにさえ気づいていないことも多い)、大学の卒業論文は「社会における左利き」というようなテーマで書いた憶えがあります。そのな…
これを買うまで自宅のノートPCを毎日開くなどということはなかった私の生活を変えたChromebook、Asus C202SAにAndroid用テキストエディタ「Jota+」を入れてから早1ヶ月あまり。こちらも既にこれなしでは考えられなくなるくらい愛用しています。
先日ノーベル文学賞の受賞が決定した日系英国人の作家、カズオ・イシグロがオリジナル脚本を担当した作品。カズオ・イシグロというと私は『わたしを離さないで』の原作小説とその映画版を観たきりで、どちらもとても面白かったのですが、SF的ともいえる虚構…
孤高の博物学者、南方熊楠のフィールドとしても有名な和歌山県の紀南地方、田辺市や白浜町には様々な景勝地がありますが、市街地のある河口から7km程度、車で約10~15分で行けるところに、その名も“奇絶峡”(きぜつきょう)という奇景の峡谷があり、先日の3…
日曜日の朝。前の晩に約束していたとおり、6時半に起きて小学生の長男と二人、カワウの群れを追いかけに行きました。彼は毎朝、7時過ぎに家を出ると、緩やかな勾配の登り坂の上にある小学校の近くで、空の向こうにV字隊列を成して飛行するカワウの群れを見送…
映画『ダンケルク』に物語がない、というのは実はウソというか、雑な言い方で、端的な語り口の問題だと思います。しかしながら、戦争を題材にしたフィクションには(少なくとも私の好きな作品には)、物語を逸脱していく傾向があって、戦争というテーマをフ…
はじめて観た彼女の出演作は何だったか、パトリシア・クラークソンは日本のタレント・女優のYOUにすごく似ています。見た目だけでなく、雰囲気、喋り方まで、互いに入れ替わっても違和感のないくらい。とくに、エマ・ストーンの母親役を演じた『小悪魔はなぜ…
夜見る夢のなかでは、学生に戻っていたり、会社の同僚に今はもう会うこともない学生時代の友人たちがいたりして、それについてどう解釈するべきなのか、私にはわかりませんが、私は大人になって、「学生時代に戻りたい」と思ったことはありません。“リア充”…
愛用しているChromebook、Asus C202SAでAndroidアプリが使えるようになり、その使用、特にAndroid用テキストエディタとして評判の高い「Jota+」を入れるかどうか迷っていることは先日書きましたが、結局は試してみなきゃわからない。と思い使い始めています。
自分の子どものことだからといってこういうところに何でも書いてしまうのは、子どもに対してフェアじゃないような気もして少し気が引けるので詳細には書かないけれど、先日の日曜日は運動会で、小学2年の長男は「風邪をひくか怪我でもして休めればいいのに。…
クリストファー・ノーラン監督の新作『ダンケルク』を観て、ダンケルク海岸で死んだ兵士も、生きて帰った者も、この映画によって、「今もあの時間のなかで生き続けている」ことになった、あるいは、「今もあの時間のなかで生き続けていることが証明された」…
先日私は自身で書いた祖母の告別式での挨拶を引用し、祖母の思い出について書きました。そこで私は、祖母と同世代の作家たちが晩年に書いた小説について触れています。(…)
昨年の公開時、興行的にも批評的にも大きな評判を呼んだ本作。当時、“欠点がないのが唯一の弱点”といった評も耳にしつつ、私は今日まで、この『ズートピア』を観ていませんでした。「観たら絶対面白いし、感動することもわかっているのだけど……。」そう思っ…
私自身、元来「ホラーというだけで観ない(恐いから)」というホラー映画(食わず)嫌いだったのですが、映画を日常的に観るようになってくると、「どうも映画好きの人ほどホラー映画が好きらしく、ホラー映画には映画本来の魅力の本質が詰まっているらしい…
「官僚機構の不条理」というと使い古された常套句ですが、ここまでひどいと笑うしかありません。 心臓発作のためにドクターストップがかかり休職中の大工、ダニエル・ブレイクは、国からの手当を受けようと役所に行きます。しかし、面談の結果、「就労が可能…
私にとっての初めてのChromebook、ASUS C202SAとの日々もはや3ヶ月が過ぎ、少し落ち着いて使用感を振り返り、評価してみようと思います。とはいえ基本的なスタンスとしては、購入時に他機種と迷ったものの、基本的には始めから惚れていたし、今もそれは替わ…
今年の夏、いちばん聴いた「CD」であり「アルバム」が、SSW、青羊(あめ)さんのソロプロジェクト、“けもの”のニューアルバムにして、初メジャー作となったこの『めたもるシティ』です。
役所広司扮する林業に従事する寡夫の克彦。朝、ひとり黙々と朝食を済ませつつ昼食の弁当を詰めて妻の遺影に手を合わせます。山林で黙々とチェーンソーを振るい木を切り倒す。夜は同業の仲間たちと酒を飲み、家ではいい年をして無職の長男といつもの言い争い…
1999年に公開された本作は、デヴィッド・リンチ監督作としては異色の人情物だと言われています。しかし、デヴィッド・リンチの映画が感動のヒューマン・ドラマでなかったことは一度もなかったのではないか。私は『ストレイト・ストーリー』を観ながら何故か…
このはてなブログでは、自己紹介めいた文章とか、作品や対象について書かない本当の雑文はいままで書いていなかったのですが、「お題スロット」というものに触発されて、少し個人的なことを書いてみます。「もう一度行きたい場所」について――。
ここ最近、とくに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のヒット以降、映画のサウンドトラックがまた面白くなっています。 また、『シング・ストリート 未来へのうた』など音楽そのものがテーマになった映画の場合、劇中の人物(バンド等)の作品がそのま…
『第三の男』を書いた英文学の巨匠、グレアム・グリーン原作とあって、先に小説を、と思い『情事の終り』を読んだのが一年以上前で、面白かった記憶はあるけれど、内容も何もすっかり忘れ去っていました。映画を観ていなかったのにはとくに理由はないのです…
任天堂のゲームボーイ用ソフト「ポケットカメラ」は、普通のゲームカートリッジのように本体に差し込んで起動することで、本体の液晶画面で確認しながら写真撮影ができ、専用プリンタおよび専用紙(感熱式のシール用紙)で印刷できるというもの。 先日たまた…
文章を書くうえで、おおきな影響を受けた作家が何人かいます。はじめに、高橋源一郎。小説や、文章で表現できること(してもいいんだ、ということ)の可能性の拡がりを教えてもらった。そして、リチャード・ブローティガン。「針の穴を通して世界を見る」よ…