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映画と本、自然観察(あるいは30代後半、2児の父の日常)

ひき岩群ふるさと自然公園センターにて。「植物の採集と標本作製」。

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植物採集中に、枝にじっと止まって動かないトンボを見つけました。

 

 本日はダブルヘッダー

 7月22日。7月17日に続き、「ひき岩群ふるさと自然公園センター」(和歌山県田辺市)での2週続けての自然観察教室。ふだんは月1回の、こちらでの自然観察教室ですが、子どもたちが夏休みの7、8月は、今年も計5日間6回の開催となっています。
しかも今日は午前、午後の2回。午前中は「植物の採集と標本の作製」、午後からは「粘菌の観察」です。 

 

自然観察は長袖・長ズボンが基本。

 植物は、わが長男の得意とする分野。田舎育ちのわりに草木の名前を全然知らず、ミュージシャンや作家等、カルチャー関連の固有名詞ばかりに耽溺してきたインドアな親の子であって、どうしてそうなったのか、2年弱、この自然観察教室に通いつめた結果、長男は、道端の植物をかなり見分けられるようになっています。
他の回もそうですが、この「植物の採集と標本の作製」も、我々は昨年に続き2度目の参加。勝手はわかっています。真夏ですが長袖・長ズボン(草むらのマダニなどの虫除け、そしてマムシなどが出る可能性もあります)、そして帽子。軍手をして大きなポリ袋を持って植物採集に出発!です。
今回、残念ながら前週の昆虫採集よりも参加者が少なく、小学生はウチだけでした。小学生は植物なんか興味ないのかな、などと軽く嘆いてみますが、私自身も子どもの頃は、全然興味を覚えなかったために、まったく草木の種別のわからない、無風流な大人になってしまっています。なかなか今の世の中、日常的に花鳥風月を愛でる暮らしを送るのは難しいもの。そんななか、こういった教室が身近にあって、気軽に参加できるのは本当にありがたいものです。端的に愉しいし。

 

大自然は足許から広がる。

 さて、どんな険しい自然のなかに入って採集するのかな、と思うと、まずはセンターの建物のまわりの地面にしゃがみ込みます。そう、まるで自宅の庭の草むしりをするかのように、です。すぐに先生方が、「これは○○で」「こっちは×▲」と次々に解説して下さいます。
今回、あとで採集したものを調べられるから、とメモを取っていなかったのでその場その場での植物の名前(や特徴)を出せないのが残念ですが、こういうところがこの教室の醍醐味です。すなわち、対象を目の前にして、「その場で」「リアルタイム」で先生方のレクチャーが聞ける!ということ。息子など、私よりずっと先生方に慣れていて、「先生、これ何ていうの?」と次々に聞いていきます。
ここが豊かな自然に囲まれた場所、ということもありますが、例えば近所の公園や道端の雑草にも様々な種類があり、それぞれに名前があって、どこからでも自然観察ができるということ。よく言われることですが、この教室に来るとそれを肌で実感できます。

 

測量野帳は野外で本当に便利。

 そして、書き忘れていましたが、自然観察のもう一つの必需品、それは紙とペン。見ていると先生方も参加者の方も、コクヨ測量野帳を使われている方が多いことに気づきます。私もいつも、ファミリーマートで売っている無印良品の(コクヨOEMらしい)を持参していますが、これ、野外で使うノートとして、本当に使いやすいです。新書ほどのサイズで薄いので持ち運びしやすく、しかも厚紙入りの表紙が硬くて書きやすい。本当によく考えられた「道具」だと思います。  

この野帳に、植物の名前や採集場所のメモを取ったり、時としてスケッチなどを描くのも面白いです。

コクヨ 測量野帳 スケッチ 白上質紙 40枚 セ-Y3

コクヨ 測量野帳 スケッチ 白上質紙 40枚 セ-Y3

 

スタンダードなタイプ。「野帳」にふさわしいグリーンのカラーが無骨でいい。

 

コクヨ 測量野帳レベル合成紙24枚  セ-Y11

コクヨ 測量野帳レベル合成紙24枚  セ-Y11

 

ビニールのカバーがついたタイプ。こちらは表紙の紙はやわらかいですが、濡れやすい場所ではこちらが便利かも。  

 

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 愛用の「無印野帳」こと、「手のひらサイズポケットノート」

 

植物の採集方法について。

 それからも近くを散策しながら目についた植物を、植物標本を作ることを念頭に置いて採集していきます。つまり、それぞれの植物の特徴を捉えることができるようにします。すなわち、


・小さい草などは根から(全体をまるごと)採集する
・できるだけ花や実がついているものを選ぶ
・大きな樹木の場合、枝先を切り取る


という感じ。植物標本は、八つ切り(新聞の1面の半分のサイズ)で作ることが多いので、採集するのはそのサイズに収まるくらいのサイズ、ということになります。ただし、大きいもの、長いものは折り曲げればよいので、採集のときはあまり厳密には考えません。
などとごたくを並べる前に、長男はどういう基準で選んでいるのか、興味を持った植物を先生に名前を訊いたうえで、「これ、ホシダ」「これはホラシノブ」「オニヤブソテツ」などと、私の手にしている持参した大きなポリ袋に次々と、入れていきます。ちなみにいま挙げた3つは全て、シダ類です。私にはなかなか、区別がつきませんが。

 

標本の作り方。――2週間は毎日吸水紙を換える!

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採集した植物を新聞紙に拡げ、挟み込んでいきます

 

 暑さもあって、30分から1時間程度で採集を切り上げ(それでもウチの袋はパンパンです)、クーラーの効いた研修室に戻って標本作製の開始です。植物も昆虫と同じ、ナマモノですから乾燥させる工程があり、今日だけで完成!とは行きません。


本日の工程は、
・取った植物を、大きく拡げた1枚を2回折った新聞(つまり、1面の半分のサイズ)に挟みこむ。長いもの、大きい物は茎などを折り曲げて、1枚に収まるようにする。新聞のオモテには、マジック等で植物の名前(わかれば)、採集場所、日にちを書いておく。
・その上に何も挟んでいない、同じ大きさの新聞を載せる。
・さらにその上に、別の植物を挟んだ新聞を載せる。
・以下、繰り返し。

こうやって何重にも積み重ねた新聞紙の上から、なるべく均一に重量をかけられるもの(石とか分厚い本とか)で重しをします。ようするに、「押し花」を作る要領。基本的にはこれだけです。


ただし、ここからが肝心。


あいだに交互に挟み込んだ、何も植物を入れていない新聞は、標本から余分な水分を取るための「吸水紙」です。これを植物によりますが、2週間から1ヶ月、毎日交換します。これをちゃんとやらないと、カビが生えてしまったり、色が黒ずんで、いい標本になりません。昨年もやったのですが、小学校低学年の長男には、この作業が面倒なのか、「やるやる」といいつつかなり私任せになってしまっていました。確かに毎日同じことの繰り返しで、退屈な作業なのかもしれません。ただ私は、吸水紙を換えながら、採った植物が毎日少しずつ、「標本」らしくなっていくさまを眺めていくのは、けっこう楽しいものだな、と思います。

 

「現場」だけでそっと教えられる裏ワザも。

 この作業を簡略化する方法として、ある先生は、

「いまみたいな真夏だったら、車のループトップや単車の荷台にギュッとくくり付けて、日中一日走れば、シダみたいなものなら一日で乾く」

とおっしゃいます。
また、もうひとりの先生は、「吸水紙を紐で束でくくっておいて、交換したときに乾燥した場所に干しておけば、繰り返し使える」といった小ワザを紹介されていました。


植物標本の作成方法などは、ネットでも検索できますが、こうした実際に作業をする上で役に立つ情報を得られるのも、こういう場ならではなのかな、と思います。

 

大切なのは、「いつ」「どこで」「だれが」採集したのか。

 きっちり乾いて乾燥した標本は、台紙(ケント紙など)に、和紙を細くテープ状にして貼り付け(セロハンテープは耐久性がないので不適。私はマスキングテープを使用しています)、ビニールの袋に入れて保管します。ここで標本として最も大切なものの一つ、ラベルを作成します。


ラベルには、
・植物の名称
・採集地
・採集者
・採集日
を記載します。

このうちとくに大切なのは、採集地、採集者、採集日だそう。

先生いわく、
「植物の名称は、モノがあるのだから、その場でわからなくても調べたり、専門家に聞いて同定できます。いつ、どこで、誰が採ったのかわかることが、研究のうえでも、新発見があったときにも重要なのです」
ということです。

 

f:id:tkfms:20170731193952j:plain 昨年の教室で、長男と作成した標本

 

昨年は採集後の作業の大部分を私がやってしまったのですが、長男は今年、植物標本で自由研究をやる、と言っているので、今年はがんばってくれるといいなあ、と思っています。長くなってしまったので、午後からの「粘菌観察」は次回、紹介します!

 

ふるさと自然公園センター|田辺市

ふるさと自然公園センター 自然観察教室のご案内|田辺市

 

 

※上記の記述のなかの、植物採集の仕方や標本の作成方法は、まったくの素人である筆者が、参加したこの教室等で聞きかじったり、その後多少調べた程度の知識ですので、誤っている部分もあるかもしれません。その点、ご了承のうえでお読みいただきますようお願いします。