ソトブログ

映画と本、自然観察(あるいは30代後半、2児の父の日常)

読書

映画『ダンケルク』――物語らない、あるいはノーランと田中小実昌。船底の穴と寝台の穴。

ダンケルク原題:Dunkirk製作年:2017年監督:クリストファー・ノーラン クリストファー・ノーラン監督の新作『ダンケルク』を観て、ダンケルク海岸で死んだ兵士も、生きて帰った者も、この映画によって、「今もあの時間のなかで生き続けている」ことになっ…

祖母と“第三の新人”たち、祖父とビルマ戦線――小島信夫から『ダンケルク』まで。

今週のお題「私のおじいちゃん、おばあちゃん」 先日私は自身で書いた祖母の告別式での挨拶を引用し、祖母の思い出について書きました。そこで私は、祖母と同世代の作家たちが晩年に書いた小説について触れています。 sotoblog.hatenablog.com わたしはおば…

映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』――悪夢的不条理に立ち向かう、私たちの“スーパーヒーロー”。

わたしは、ダニエル・ブレイク 原題:I, Daniel Blake 製作年:2016年 監督:ケン・ローチ あらすじ: イギリス北東部ニューカッスルで大工として働くダニエル・ブレイク。心臓に病を患ったダニエルは、医者から仕事を止められ、国からの援助を受けようとし…

こんな文章が、書けたなら――。片岡義男『彼らと愉快に過ごす ―僕の好きな道具について』

文章を書くうえで、おおきな影響を受けた作家が何人かいます。はじめに、高橋源一郎。小説や、文章で表現できること(してもいいんだ、ということ)の可能性の拡がりを教えてもらった。そして、リチャード・ブローティガン。「針の穴を通して世界を見る」よ…

くたびれて寝転んだ縁側で空を仰ぐと、遥か上空を猛禽類が飛んでいる(野鳥観察の愉しみ)。

炎天下の日曜日の夕方。 疲れ果てて帰ってきて、縁側に仰向けになって空を仰ぐと、澄み渡ったはるか上空を滑空する鳥が見えました。 それが見慣れたトビではなく、いつか先生に教えてもらったあの「オスプレイ」ではないかと思って、肩から斜めがけにしたま…

映画『恋するふたりの文学講座』――ロマンティックコメディの皮を被った「俺たち」ムービー。

恋するふたりの文学講座原題:Liberal Arts製作年:2012年監督:ジョシュ・ラドナーあらすじ:「ハッピーサンキューモアプリーズ ニューヨークの恋人たち」のジョシュ・ラドナーが監督・脚本・主演を務め、ヒロイン役に「GODZILLA」のエリザベス・オルセンを…

映画『ミスター・ノーバディ』――人生のあらゆる分岐を全て、私は経験した。

ミスター・ノーバディ 原題:Mr.Nobody製作年:2009年監督:ジャコ・ヴァン・ドルマルあらすじ:「トト・ザ・ヒーロー」「八日目」で知られるベルギーのジャコ・バン・ドルマル監督が、人生の選択によって生じるさまざまな可能性を、複数のパラレルワールド…